国際医療福祉大の正体 「特区」使い医療民営化 成田市が税金130億投入
週刊『三里塚』02頁(0973号01面03)(2017/08/14)
国際医療福祉大の正体
「特区」使い医療民営化
成田市が税金130億投入
(写真 京成電鉄公津の杜駅前の国際医療福祉大学【成田市】)
森友、加計に続く、「第3の忖度(そんたく)」と言われる安倍政権の誘致疑惑大学が千葉県にある。今年4月に成田市に開学した国際医療福祉大学(国福大)だ。
加計と同じ手法
これまで大学における医学部新設は、1979年以来、認められてこなかった。だが、安倍政権は、国家戦略特区によって「規制緩和」を行う動きを見せる。これに対し、日本医師会などが新設反対の声明などを発表。医師の人材養成には特区はなじまないという獣医学部と同様の理由だ。国は国家戦略特区で「新設するとしても1校」「際だった特徴を有する医学部」と条件をつけて医学部新設方針を決定。2015年11月には、国は成田市に医学部を新設すると決定。このプロセスは加計学園と同じ手法がとられた。
加計学園のケースと違うのは、今治市が公募で加計学園を選んだのに対して、成田市は最初から国福大と連名で特区申請した点にある。公募すらない異例の事態だ。国福大の担当者と成田市の小泉一成市長との会食は、応募前までに12回おこなわれ、綿密な打ち合わせが行われてきた。成田市はまさに国福大ありきで、他の私立大学が入り込む余地すらなかったのである。
市は事業決定のだいぶ前から、京成線公津の杜駅近くの広大な土地を23億円で購入。成田市は国福大の用地購入費や建設費約130億円の税金を投じている。このプロセスや資金額を見ても最初から「国福大ありき」であった。加計学園では、土地無償譲渡に36億円、建設費に96億円の公的資金が使われていたが、成田市の例は全国的に見てもダントツの金額だ。この大盤振る舞いの成田市の潤沢な資金源は、成田国際空港株式会社の固定資産税なしにはありえない。農民から暴力的に土地を奪い、作られた空港会社の腐敗の極致がここにある。
徹底した金儲け
この公的資金をあてにする手法はこれにとどまらない。国福大の医学部や病院の運営に約500億円かかると言われている。この資金調達のために、大学理事長は、病院の所有を大学から分離することに固執した。国福大は特区の特例としての株式会社方式を企んだ。これにはさすがに自治体が営利企業に土地を無償提供などできないということで頓挫。この構想に代わって「社団法人・成田国際医療都市機構」がつくられた。この社団法人が成田市から出資を受け、独自に資金を集めて病院を建設し、国際医療福祉大学はそれを借り入れるという方式をとった。この手法をとることにより、病院の賃料やコンビニや調剤薬局のテナント料など、医療外収入を得られるからだという。徹底した金儲け、徹底した民営化こそが国家戦略特区の特徴だ。経営を別会社化し、医療そのものを金儲けの道具にする安倍の「成長戦略」の目指すコースと合致している。地元から反撃を
なぜマスコミは報道しないのか? それは、国福大が厚労省や文科省の官僚、マスコミOBの天下り先となっているからだ。しかし、この腐敗の事実は加計グループの千葉科学技術大学(銚子市)とともに、早晩暴露される。地元から住民訴訟もはじまっている。千葉県から安倍政権へ闘いを起こそう!(ちば合同労組組合員K)