７・９現地闘争・樫の木まつりへ
　共謀罪成立に三里塚から反撃を
　東峰・萩原富夫さんに聞く
　市東さんの農地を守る

　安倍政権は共謀罪を強行成立させた。断じて許すことはできない。しかし、金権腐敗の極みであることを暴かれ、がむしゃらに改憲・戦争に突き進む安倍の最期のあがきだ。共謀罪恐るるに足らず。いかに警察権力の暴力・監視で恫喝しようが、自らの正義性・勝利性を確信した労農学の団結を崩すことは絶対にできない。三里塚闘争は、半世紀にわたり日帝・国家権力の改憲・戦争・共謀罪の先取り的な攻撃と真っ向から闘い、団結を守り抜いてきた。その力をあらためて国家権力に思い知らせるのが、７・９現地闘争だ。反対同盟事務局の萩原富夫さんに、農地死守・空港機能強化案粉砕の闘いへの決意と展望をうかがった。

「見直し案」はまやかし

　----４者協議会で空港機能強化案の一部「見直し」が出されました。（２面に解説）
　まやかしだよね。そもそも提案自体がおかしい。開港時は９時間は飛ばない時間を確保していたんだ。最低限必要なものだよね。なし崩しで削ったあげく、今回最初の提案は４時間だと突きつけた。それを引っ込め６時間は確保したとＮＡＡの夏目社長は威張っている。みんな茶番だってわかってますよ。
　----周辺の町長は振興策が示されていないと言っています。
　今までだってＮＡＡは振興策なんてやってないでしょ。ただ物流倉庫が増えただけ。撤回以外に住民の生活を守ることはできない。この間も落下物があったばかりだけど、機能強化されれば住民はそこで暮らしていけなくなる。騒音下は福島の放射線汚染地帯と同じで若い人が帰って来ない。うるさくて帰れない。人の住める環境じゃなくしておいて振興策も何もないよね。
　----今後どういう闘いを展望していますか。
　空港機能強化案というのは国策なわけだから、それに対する闘いは全国区になる。マスコミは地域限定にしようとしているが、そうはさせない。市東さんへの農地取り上げの攻撃と一体であることを署名活動を通して訴えていく。もっと宣伝活動を強化していきたい。
　----国策に抗している力は何ですか。
　やっぱり人としての心を失いたくないというのが一番。農地を売って金をもらって出て行くということは簡単だけど、おやじや先輩たちの闘いをそれで終わりにしていいのか。自分の人生それでいいのかって考えるよね。農民という立場から言っても、大切な農地をぶち壊し、出て行った先に一体何があるのか。それで本当に幸せだと言えるのかと。市東さんとも「お金をもらうことは簡単だけど、それじゃ人間ダメになるよね」って時々話をする。お金で人間のつながりが断たれちゃうのはやっぱり嫌だよね。

〝軍事空港反対〟貫いて

　----安倍政権は今国会で農業関連８法案を成立させました。
　資本の論理に任せ、企業のやりやすいように法体系を変えるということだろうね。大規模農業をやっている国から農産物を輸入して、自動車なんかの輸出産業で儲ければいいと考えている。だけど、本来は、自分の地域で食べるものをまかなうというのが基本なんじゃないかと思う。
　----農業を始められて今年で15年目だということですが、どんなときが楽しいですか。
　野菜も生き物だから、生き物を育てるという点での楽しさはある。種を蒔いて、育てて、収穫までいったときはやっぱりうれしいよね。コスレタスはとうだちが遅いが、サラダ菜は早い。そういうことが分かってきて、蒔く時期をずらしたりするけど、気温が高くなると後のが追いついちゃう（笑）。
　----逆に大変だと感じるのは
　農業は一生勉強。特に産直の場合は作る野菜の品目が60種類くらいになるんで、野菜を切らさないように作るのは大変だよね。週２回の出荷をやりながら、作付け、畑の管理を同時並行でやる。種蒔きや植え付けのタイミングはなかなか思った通りにはいかない。もうちょっと人がいれば。
　----今後の目標・夢はありますか。
　今のままの政治で行ったら農業はつぶされちゃう。やっぱり労働者との連携が大事だと思う。労働者が農業の大切さを自覚して農地を守る立場に立つ。そして農民の側も、単に消費者と生産者というのではなくて、労働者との共同ファームみたいなのができればと思う。たとえ労働者が首になったりしても、ちゃんと闘えるように労働者の食料を維持、確保していくことが大事だと思うから。生きる基盤を作りながら労働組合と一緒に闘えれば、地域とのつながりも生まれるだろうし、もっと労働組合の魅力も出てくるんじゃないかな。
　----三里塚闘争は農地死守と同時に、軍事空港絶対反対を掲げて闘ってきました。
　もし、今戦争になるとしたら朝鮮半島をめぐる戦争だと思う。自衛隊も転換して海兵隊のようなものを作って上陸作戦の演習をやっている。攻撃が始まることを想定して日本や韓国の米軍基地の一部をグアムなんかに移している。日本もアメリカも中国も自国の本土では戦争したくないから、前線基地を守ろうとは思っていない。
　----戦争がはじまったら間違いなく攻撃対象になりますよね。
　そうなんだよ。だから基地があったらいけないんだよ。成田だって原発だって攻撃対象になる。住民は簡単には逃げられない。戦争のリアリズムを考えればすぐにわかるでしょう。資本家たちは日本にこだわる必要はない。実際タックスヘイブンだとかいって自分の金・利益はちゃんと確保して、いつでも海外に逃げられるようにしている。ひどい話だよね。だからこそ軍事空港反対を貫きたい。
　----共謀罪が成立しました。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部が共謀罪反対のストに立ち、11日の午前中には３労組の呼びかけで銀座デモが闘われました。
　あまりにも自民党のやり方が横暴だから民主主義を守れという運動は出てくるというのはわかるけど、それが何で階級的にならないかと言えば、労働組合がつぶされてきているからでしょ。労働者が労働組合に組織され、みんなが階級性、階級的な視点を持たない限り問題は解決しない。労働運動で突破していかないと展望が開けない。絶対そこですよ。

歴史を学び現場を見よ

　----この間、動労総連合青年部が結成され、京大では同学会新執行部が信任されました。青年・学生への訴えを。
　ほんの数軒の農家ががんばっているだけで、空港の完成を阻んでいる。農地を守って闘っている現場を見るというのが一番大事だと思う。そして、歴史を学ぶということだよね。沖縄の闘いもそうだけど、現場に行かないことには分からない状況にされている。若い人に見せないようにしているから。ぜひ現場に行って自分の血や肉とするような精神・感覚を学んでほしい。
　----７・９現地闘争に向けてアピールを。
　自分たちもここから世の中を変えるという意気込みでがんばります。この土地を愛し、守るぞと心から思えるような集まりにしていきたい。天神峰の樫の木は80年以上前からあり、子どもの頃市東さんも昼寝をしたりしたそうです。開拓１００年の歴史を生きる樫の木のように抵抗の根を今こそ広げましょう。
　７・９に集まってください。