新やぐら裁判 〝底地買収は無効だ〟 3人退廷に怒りの反撃

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週刊『三里塚』02頁(0968号02面01)(2017/05/22)


新やぐら裁判
 〝底地買収は無効だ〟
 3人退廷に怒りの反撃

(写真 報告会で怒り語る萩原富夫さん【5月22日】)

 三里塚新やぐら裁判(第9回)が5月22日千葉地裁民事第2部・内田博久裁判長により行われた。この裁判は、市東孝雄さん方に建てられているやぐらや大看板など四つの物件が反対同盟の所有であると認め、NAAが、その物件の収去及び物件の底地の明け渡しを求めて反対同盟を提訴した裁判である。別件の農地法裁判で昨年10月、最高裁による上告棄却決定が強行されたが、本件は市東さんの農地への強制執行を阻止するために密接不可分の重要な裁判である。
 この日は冒頭、左陪席交代に伴う更新意見陳述が行われた。弁護団の先陣を切って西村正治弁護士が本件の争点を全面的に展開した。NAAが旧地主から買収したとする当時は不在地主であったため「買収」は違法・無効であり、明け渡しを請求する資格も権利もないこと。耕作者に秘密にして買収し旧地主が15年間も地代を受領していたこと。少なくとも1年以内に農地転用せねばならないのに17年間も転用後の計画がなかったこと。NAAは実質上「公用収用である」と認めていながら、公用収用に不可欠の前提条件である完全な補償がなされておらず供託もされていないこと。県知事の「賃貸借解約許可決定」には、離作補償が条件であると明記されていること。市東東市さんの署名まで偽造されていること。市東さんは開拓以来親子3代100年近く耕作し、今は完全無農薬野菜を作り、実質上の自作地になっていることなど。したがって、NAAはいまだ農地を取得できておらず、今も耕作権は市東さんに厳然として存在しており、NAAの明け渡し請求は違法・無効であることを鮮明に陳述した。
 内田博久裁判長は、強制執行を一刻も早く強行するために日帝・寺田体制のもとで早期結審の使命を受けて送り込まれてきた裁判長である。この日も内田は、弁護団からの求釈明に対して「NAAがもうこれ以上の回答はない、と言っているのだから次に進めてください」などとNAAにむき出しの助け舟を出した。露骨なNAAの手先と化した裁判長に怒りが爆発した。
 反対同盟の萩原富夫さんが傍聴席から立ち上がって猛然と弾劾した。「まだ何も答えてないじゃないか。裁判長は違法なことを強行しているNAAの手先だ。なんでNAAに答えるよう命令を出さないんだ。そんなことで農地を奪うことは許さない」。萩原さんの迫力に圧倒され追いつめられた内田裁判長は、危機感をつのらせて退廷命令を強行してこの場を乗り切ろうとした。それは逆に、傍聴団・弁護団全体の怒りに火をそそぎ、法廷は怒号に包まれた。3人の傍聴人に退廷命令を強行した後も裁判長は動揺を隠せず、警備員が戻るまで裁判を再開することができなかった。
 その後、次回までに主張を全部出させてようと策動したが、この裁判長のあがきは全体の怒りで粉砕された。
 裁判終了後に内田裁判長が今後の進行協議を行ったが、弁護団としては今後も密室での進行協議は必要ないことを突きつけた。早期結審を狙っている内田裁判長の策動を絶対に粉砕しよう。
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