「空港機能強化案」とは Q&A 騒音と新滑走路で生活を破壊 断固反対し労働者・農民の連帯を

週刊『三里塚』02頁(0967号01面01)(2017/05/08)


「空港機能強化案」とは Q&A
 騒音と新滑走路で生活を破壊
 断固反対し労働者・農民の連帯を





(写真 来日した韓国・民主労総の労働者【右から2人】とともに闘志表す反対同盟)

(写真 動労千葉は三里塚に連帯してジェット燃料阻止のストに立った【1977年】)


 今年51年目を迎えた三里塚芝山連合空港反対同盟は、成田空港の軍事使用に一貫して反対し続け、農民の命である農地を守り、「国策」を阻んできました。安倍政権は、シリア攻撃を行ったトランプ政権とともに東アジア・朝鮮半島における戦争準備を進めています。集団的自衛権・安保法・武器輸出解禁に加え、共謀罪の制定が狙われています。今号は、「国策」と真っ向から闘う三里塚闘争を多くの人に知っていただき、現地にも駆けつけて欲しいと願って作成した特別号です。とりわけ周辺住民のみなさん。ぜひ忌憚のない感想・意見をお寄せください。

羽田と一体で発着回数増加

Q 空港機能強化案とは何ですか?
A 首都圏の航空需要の増加に応えるためとして成田空港・羽田空港一体の航空機の発着回数を増やすための方策のことを指します。
 具体的には、羽田では、2020年までに首都圏上空の飛行経路の制限を緩和し、都心上空の超低空飛行を可能とするとしています。
 成田では、①2020年までに現在23時〜朝6時の夜間飛行制限を深夜1時〜5時に緩和、②B滑走路をさらに北側に1000㍍延長、③第3滑走路新たに建設する、とされています。
 特に第3滑走路は、現在のB滑走路の南側に位置する芝山町の広大な地域に、3500㍍の巨大な滑走路を建設するというものです。農地、山林、水系が大規模に破壊され、敷地に直接かかる200戸と騒音被害で400戸、計600戸の住民が移転を迫られと予想されます。
 これによって空港の面積は今の約2倍の2400㌶に拡大されます。
Q 航空需要の予測とは何ですか?
A 2014年に国土交通省・首都圏航空機能強化技術検討小委員会で報告された机上の空論です。ありもしない経済成長予測にもとづく得手勝手なものです。

夜間騒音による健康被害

Q 日本経済が発展するためにはある程度の騒音もやむを得ないのではないですか。
A 夜間の騒音は単に「生活の迷惑」ということではなく、健康被害(心筋梗塞・高血圧など)をもたらします。欧州WTO(世界保健機構)の指標では、ダイオキシンやホルムアルデヒドなどの化学物質よりも、はるかに有害であるとされています。多少の犠牲というレベルではなく、原発事故による放射性物質の拡散と同じく殺人的行為なのです。しかも、成田の夜間の騒音発生頻度は、高裁で差し止め命令が出された厚木基地の10倍です。現在の朝6時から夜11時までの飛行制限でも十分とは言えません。
Q 空港で働く労働者のことはどう考えますか
A 空港機能強化でもたらされるのは労働条件の悪化です。深夜労働が増え、発着回数の増加によって時間的余裕が奪われ、安全もないがしろにされます。そもそも、空港関連の労働者は圧倒的に非正規雇用であり低賃金が強制されています。さらに、2011年の原発事故の際には、空港関連で働く4万8千人の労働者のうち1万人もの首が切られました。誤った前提による拡張でもし空港が破綻したら真っ先に追い出されるのは労働者です。だから空港機能強化反対で共に団結できる仲間だと私たちは考えています。

軍事空港として使われる

Q 空港機能強化と戦争はどうつながるのですか。
A 小泉成田市長は成田の軍事使用を認めると言っています。
 そして、成田空港は日米新安保ガイドラインによって有事になれば30万人とも言われる米兵の兵站(へいたん)拠点として位置付けられています。成田におけるB滑走路の1000メートル延伸と第3滑走路の建設は、大型の爆撃機や輸送機のためのものです。4000㍍の滑走路は民間空港では成田と関空に1本ずつあるだけです。ジャンボジェットはすでに引退しており、3500㍍滑走路を2本も加える必要性は全くありません。
 現在、日米両政府は北朝鮮への核先制攻撃も辞さないと宣言し、その準備を進めていますが、沖縄を先頭とした怒りの前にうまくいっていません。空港機能強化案はその巻き返しをかけた戦争準備に他ならなりません。

働く者の団結で社会変わる

Q 国と闘って勝てるのでしょうか。
A 社会を回しているのは労働者と農民など生産・流通に携わっている人々です。株主などの資本家や政治家ではありません。安倍首相の食べているものや着ている服、給料もすべて労働者・農民の労働があってこそのものです。労働者と農民が団結して生産・流通をストップさせるストライキを行えばだれが社会の主人公なのかはっきりします。
 韓国では鉄道の労働組合が民営化に反対してストライキを打ち抜いたことで「民営化は悪だ」と社会的な関心事となり、セウォル号事故(民営化による利益優先の結果、船長も非正規雇用で積載量も基準を大幅にオーバーして運行されたために死者・行方不明者304人の大惨事が引き起こされた)や農民の闘い、パククネ大統領と財閥との癒着・腐敗をきっかけに民衆総決起が作られ、ついにパククネ政権を打倒しました。
 日本においても、30年前の国鉄分割・民営化に唯一ストライキで闘った動労千葉を先頭とした闘いが、政権を追いつめています。民営化がもたらした安全と雇用の崩壊、地方の切り捨てに対して、正規と非正規の労働者が一緒にストライキに立って、外注化の撤回に向けた展望を切り開いています。そのことで地域をあげた反撃が勝ちとられています。
 さらに、動労水戸は常磐線全線開通で被曝と帰還を強制し、被災者を切り捨てようとしていることに反対し、被曝労働拒否のストライキに立ち政府の原発政策に立ちはだかっています。
 成田においても農地を死守する反対同盟の闘いが空港の完成を阻み続けています。労働者と農民の団結した闘いで「命よりも金」の社会をひっくりかえすことは必ずできます。今回の空港機能強化案に対しては、周辺住民の激しい反対の声があがっています。騒音下住民と団結して断固阻止しましょう。

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