投稿 種子法廃止を許すな 戦後農政解体狙う8法案
週刊『三里塚』02頁(0966号02面04)(2017/04/17)
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種子法廃止を許すな
戦後農政解体狙う8法案
新共謀罪と並んで、農業改革関連8法案の国会審議が進んでいる。朝鮮半島の戦争危機と利権腐敗の露呈で、崩壊の危機に立つ安倍政権。その最重要の攻撃が「農業改革」である。
農業民営化攻撃
これらの法案はTPPに沿った国内の法整備としてある。TPPは米の離脱によって破産しているが、2国間FTAなどによって「TPP以上」が押し付けられようとしている。『総合的なTPP関連政策大綱』が、昨年の「農林水産業・地域の活力創造プラン」に引き継がれ、法案化されたのが関連法である。その狙いは戦後農政の全面解体にある。それは農民だけでなく、農業関係団体、行政の農業部門に関わる攻撃である。「農業の民営化」とも言える、農業改革関連法案の内容を見ていきたい。
「モンサント法」
3月27日「日本の種子(たね)を守る会」が国会内で集会を開き、全国から250人が集まった。集会では、「種子の自給は農民の自立・国民の自立の問題」と訴え、種子法廃止反対の声をあげた。問題になっているのは、育種の民営化である。規制改革推進会議農業ワーキング・グループで、昨年秋「民間の品種開発意欲を阻害している種子法を廃止しろ」と、新自由主義者たちが言い出した。種子法は1952年に制定され、食料の安定的確保を目的にしてきた。「都道府県が基礎食料の稲、麦、大豆について種子を生産する」ことを義務付けた。
種子法廃止で、民間企業にこれまでの研究成果、ノウハウが提供されることになる。それだけでなく外資がどんどん参入し、遺伝子組換え作物が全面的に浸透していく懸念がある。だから「モンサント法」(米国の巨大農薬会社・種会社)と批判されている。
また、種子を民間企業が開発することによって、種子の値段が跳ね上がることが懸念される。現在、三井化学の販売している「みつひかり」の種籾は、コシヒカリの種籾(10㌃で1400円程度)の4~5倍である。民間企業による種子の独占は、さらに種子の価格を高騰させ、農民を苦しめることになる。
さらに、都道府県の農業試験場を民間企業が乗っ取っていくことになる。農業試験場で働いている公務員労働者を配転や分限免職(解雇)にすることにもなる。
総合農協つぶし
農業競争力強化支援法は、昨年秋、自民党内で大騒ぎしたJA解体、全農解体を進める法案である。法案の中身は3つである。①農民に対して農業資材の調達または農産物の出荷・販売を農協から離反させること、②全農改革とJAの准組合員制度変更を2019年5月までに進めること、③JA共済を株式会社にすること。露骨な総合農協つぶしである。規制改革会議農業ワーキング・グループで「資材コストや流通コストの引き下げによる農業所得の向上を図る」と説明しているが、全農を解体し、その業務を大手流通・資材会社が乗っ取ろうとしているのだ。
安倍農政粉砕を
その他「土地改良法の改定」「農村地域工業等導入促進法の改定」「畜産経営安定法の改定」「農業機械化促進法の廃止」などの法案がある。いずれも戦後農政の重要な柱である法律や制度を解体しようとしている。戦前の地主制から解放され、生まれた自作農を守ることが戦後農政の柱であった。安倍農政は、あらゆる農民保護的な制度・団体の破壊へ進んでいる。協同組合としてのJAを解体し、株式会社にし、ゆくゆくはJAの全業務を民間大手企業が乗っ取っていこうとしている。「規制緩和」=民営化を旗印に、自作農保護のために公的・準公的に行なってきた事業を、民間大手企業に「ただ同然で」払い下げようとしているのだ。
金のため、利権のための規制緩和・民営化だ。安倍「農政新時代」を粉砕しよう!
(全国農民会議事務局)