反対同盟・農民会議新春座談会 実力闘争で市東さんの農地を守ろう! 強制執行阻止・安倍打倒へ 労農連帯・国際連帯の力を軸に

週刊『三里塚』02頁(0958号01面01)(2017/01/01)


反対同盟・農民会議新春座談会
 実力闘争で市東さんの農地を守ろう!
 強制執行阻止・安倍打倒へ
 労農連帯・国際連帯の力を軸に

(写真 拳をあげて2017年決戦の勝利を誓う)
(写真 決戦に突入した農地を守る闘いについて語り合った)


 2016年、反対同盟と三里塚闘争は、50周年集会を中心に、大きな前進をかちとった。市東孝雄さんに対する最高裁の農地法裁判上告棄却決定に猛然と反撃し、強制執行差止訴訟で3月2日の弁論を認めさせ、強制執行停止申立でも「2月中の審尋」をかちとった。三里塚闘争は、市東孝雄さんの農地死守をめぐる巨大な決戦に突入した。三里塚が連帯してきた、民主労総を牽引車とする韓国の闘いでは、パククネ政権の打倒に向け前進している。ロシア革命から100年の17年、安倍戦争政治を打ち砕く反戦・反権力の砦として、三里塚は新たな前進を開始する。朝鮮半島有事の切迫に対応した軍用の第3滑走路建設を粉砕する。騒音地獄拡大計画にたいして、決起を開始した数千〜数万の騒音下住民と連帯して前進する。決戦の勝利にむけて、反対同盟4氏と全国農民会議の共同代表に語り合って頂いた。
 
《新春座談会出席者》
市東孝雄さん(敷地内・天神峰)
萩原富夫さん(敷地内・東峰)
伊藤信晴さん(事務局員)
太郎良陽一さん(事務局員)
小川浩さん(全国農民会議)
(司会 「週刊三里塚」編集委員会)

体張って強制執行阻止 市東
三里塚闘争勝っている 萩原
この闘いに全力投入を 伊藤
決戦本部を立ち上げた 太郎良
農民会議は先頭に立つ 小川

 ----2016年を振り返ってもらえますか。
 太郎良 まず50周年集会だよね。三里塚闘争を勝利的に切り拓いてきたことを、市東さんの農地決戦とどう結びつけていくのかということ。おれ自身も自分の生活を転換して、決意を固めた年だったと思う。


 伊藤 闘争の開始から50年経って、市東さんの農地決戦を闘えていること自体がすごいことだよ。昨年をやりぬいて、三里塚の次の段階をつくる闘いとしてやりきった。


 太郎良 少しは責任を果たせたかなという気持ちだよね。
 市東 親父が亡くなって帰ってきて、その当時は「空港反対」のみだったんだよね。でもおれの農地が裁判にかけられてから、農業問題として現れてきて、小川さんなんかの力も借りてその陣形ができてきたと感じる。萩原進さんの「霞が関に攻め上ろう」という言葉がものすごくみんなの闘志に火をつけた。


 ----市東さんの農地問題が三里塚闘争に幅と厚みを与えましたよね。
 市東 それで楽になった。おれの農地の問題にいろんな人が共感して、関係ができて、一人だけじゃないという気持ちが出てきた。毎年「決戦だ決戦だ」というわけだけれども、昨年は最高裁の上告棄却決定が出て、今年は本当の決戦だと思うよ。
 萩原 最高裁の判決が確定したけど署名運動は判決が出た後に闘える支援の陣形を作ることを目標に頑張ってきた。もうひとつは、50周年の集会をどうするのかということを結構議論した。それが三里塚闘争を広げるきっかけになると思ったので。いろんな人に当たってみて、あれだけの集会をやることができて、天笠啓祐さんとか、新崎盛吾さんとか来てもらって。


 太郎良 かなり関心が高かったよね。
 萩原 いろんな人が三里塚50周年ということを意識したし「自分だってやった」という人もいるし、そういう思い出なりが蘇ってきて、発言の中に表れてきたし。結局7月の集会は大成功した。
 小川 50年にわたって反対同盟が国家権力と真っ向から闘いぬいているということについては、評価してもしきれない。おれなんかは最初から農業・農民問題をどうするのかというところで入ってきて、三里塚闘争が始まったころにちょうど「農業の曲がり角」と言われて三里塚とダブって。そういう意味では、三里塚闘争の中に農業・農民問題の展望があるんじゃないかとものすごく感じてきた。三里塚闘争が国家権力と実力闘争で闘ってきて、農民と国家権力との関係っていうのはどうなっているのかというのが非常にはっきりと見て取れたというか。
 ----萩原富夫さんは昨年は韓国へも行かれたわけですが。
 萩原 人が多いっていうのはもちろんそうだけど、それがなんで生み出されたかっていうと、闘いの中で自分たちの権利をかちとってきた歴史が大きいと思う。生きるために闘っているという凄さは感じたよね。デモに出るのが当たり前っていうのが。あとは民主労総の度量の広さ。それが100万を超える決起に結びついたんだと思う。
 小川 韓国では農民も数千の単位で民主労総と一緒にデモをしている。韓国では今年は米が20年前の値段より下がって、本当に生産費の方が高くて赤字になっているという話も聞いている。韓米のFTAなんかの影響も大きいけど、全国農民会総連盟が5万人くらい組織している。日本でもそういう農民を組織する団体が必要だと感じる。


 伊藤 やっぱり動労千葉と反対同盟の労農連帯の闘いが民主労総との交流の中で伝わったっていうのは大きいと思うよ。それが「民衆ゼネスト」という形で、労働者だけでなく農民や露天商なんかも巻き込む闘いにつながっていった。
 ----さて、最高裁決定も出て、今年は本当に市東さんの農地問題が決戦中の決戦です。
 太郎良 3月までの闘争日程をまとめてきたんだよ。どの辺にポイントを作って、どういう風に闘っていくのかということを考えてたんだけど。
 萩原 決戦本部長だもんね。
 太郎良 そう言われたからそういう格好をしないと。1月30日の耕作権裁判を焦点にして、3月2日の強制執行差し止め訴訟の弁論へ。次に次に大きくしていくという気持ちでやっていく。
 市東 旗開きでいつも今年は決戦だって言うけど、17年は常にそういう緊迫感を持ってやらなきゃだめってことだよね。 伊藤 おれもちょうど仕事の区切りがついた。
 太郎良 あとは決戦本部ニュースを発行する。ネットとかそういう媒体も活用して。ニュースのネタとか全国に協力を呼びかける中でいろんなアイデアを膨らませていきたい。まずは動労千葉にばーんと登場してもらうとか。
 伊藤 現地調査など。 萩原 現実的には12・4でやったように、現地での企画・イベントなり、決戦本部の出す現地行動をやる、そこに来てください、そういう力で強制執行を跳ね返していくしかないと思うよ。どれだけ本当にやる人が出てくるのかが勝負だ。
 市東 現地に来る人をいかに増やせるかっていう話だと思う。12・4の時だって、250人集まって権力だってあわてていた。
 太郎良 そういう意味では12・4はギリギリの線はクリアーした。
 市東 成田警察の課長が「ちょっと人数多すぎるんじゃねえか」って。
 太郎良 あれをもっと大きくしていかないと。3月2日の強制執行差し止め訴訟に加えて、強制執行停止の仮処分の審尋が入ってくる。そこに闘争を組んだっていい。問題は、3月26日の全国集会までの闘いだ。
 小川 市東さんの問題は農業・農民問題そのものだから、農民を獲得しなければならない。昨年は東大の鈴木宣弘教授を呼んでTPPの集会をやって。生協なども含め130人近く来た。全国農民会議は安倍農政反対から、労農の権力の樹立なんかも見据えながら、取り組んでいきたい。とくに市東さんの農地問題が第一課題だ。

動き出した住民

 ----第3滑走路に対し住民が動き始めた。
 萩原 画期的だよね。想像以上に住民の反発が出てきた。
 市東 前は他人事っていう意識があったけど、自分のところにきて、これはひどいという意識が芽生え始めている。中には「こういうことにならないために反対同盟が頑張ってください」とかいう人もいる。
 伊藤 芝山町でも反対の旗を揚げて運動を始めた人もいる。
 市東 一斉行動のやり方も変えていかなきゃいけないよね。
 太郎良 回るところによって獲得目標をはっきりさせてやることが重要だと。活動家を作るような行動にしていこう。そこに執着していきたい。
 萩原 もう選挙と一緒だからね。集中と選択だよね。重点地域に密着。
 ----成田市を皮切りに「対話型説明会」が始まります。
 太郎良 9市町から11市町に広がっちゃったよ。これだけ取り組める人が増える可能性があるんだよ。絶好のチャンスじゃん。これは面白くなってきたね。
 伊藤 決戦本部ニュースでも日程出して、集まってくれって呼びかけたらいいんじゃないかな。
 ----16年は世界的にも激動の情勢でしたね。
 萩原 今は戦前になっているんだよね。経済が苦しくて、生活が苦しいから任せられるのは自民党しかないって考えになっちゃってるわけ。トランプの登場なんかもそうだし。イギリスのEUだってそう。ここで資本主義そのものと闘っている三里塚闘争が力を発揮してくると思う。
 市東 安倍の強行的な政治の中で、最高裁の反動判決が三里塚であって、厚木であって、辺野古であり、裁判のひどさがはっきりしてきてる。
 萩原 多見谷裁判長ら三里塚で反動判決出した奴が、他でもやってる。あいつらしかいない。 
 太郎良 つながったよね。すそ野を広げる絶好のチャンスだよね。萩原家の清水の畑も、東峰部落も含めて、空港を造らせてないっていうところで、本当に勝っていると思う。
 萩原 あそこに手をつけられなくしちゃったんだから勝ってるんだよ。
 市東 うちなんか「猫の額の面積だからいつでもどかせる」って言われそれでも50年どかせられない。
 小川 続けるっていうことがどれだけ大きな力になるかっていうこと。
 萩原 辺野古なんかは3カ月で最高裁が判決を出しちゃうわけでしょ。早いわけよ。それを三里塚は1年2カ月かけないと判決を書けない。向こうの意図もあると思うけど。最優先にされてるよね、沖縄の問題はさ。
 太郎良 沖縄の闘いももう一回火をつけよう。
 伊藤 戦争情勢も絡んでくるからな。切迫感あるんだよね。
 ----最後に、2017年の意気込みを。
 市東 同盟は原則を守ってきた50年だから、それを変えることなくやりながら、今まで以上の広がりを作っていく。向こうは相当な圧力をかけてくると思う。それにいかに立ち向かうかという年になると思う。
 萩原 沖縄の闘いも一回りしてきたという感じがするから、ここにどこが続くか。空港を阻んで三里塚闘争が50年間勝ってきたと、もっとアピールしていきたいよね。
 伊藤 やっぱりそこで三里塚を結集軸にしていくっていうのが重要で。
 市東 昔は三里塚みたいに闘うと権力に攻撃されるという話があったけど、今は三里塚みたいに闘わないと闘えないという風に変わってきている。
 太郎良 まずは1月30日の耕作権裁判への大結集。ここから運動のすそ野を広げていきたいね。
----長時間ありがとうございました。

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