誘導路裁判 国・NAAの暴論を徹底弾劾 市東さんの怒り叩きつけ

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週刊『三里塚』02頁(0944号02面03)(2016/05/23)


誘導路裁判
 国・NAAの暴論を徹底弾劾
 市東さんの怒り叩きつけ

(写真 弁論の後の報告会。NAAの暴論を打ち砕いた勝利感に満ちた【5月17日】)

 第3誘導路許可取り消し訴訟が、5月17日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で行われた。今回の弁論で弁護団は、前回、被告の国・NAA側が突然、無茶苦茶な暴論を準備書面として出してきたことに対する全面的な反論を行った。
 前回の国・NAA側の主張は、❶原告市東は、自らの自由意思で空港敷地にとどまっているから騒音を受忍すべき❷法律で騒音防止措置を規定しているのは、空港周辺についてであり、騒音の発生源である空港敷地内は保護の対象ではない❸市東の住む土地は収用されるべき土地であり、人の居住を予定しないから、騒音防止措置は無用だ、というもの。
 これに対して、弁護団は、市東家が大正時代に開拓して以来100年近く天神峰に居住し、農業に従事していること。そもそも勝手に空港計画を言い出し、後から割り込んできたのが、成田空港であり、その上、国家暴力を発動し、空港拡張のために違法を積み重ねて市東さんを追い出し農地を強奪しようとしているのは、国・NAAであること。まさに本末転倒の主張であることを、語気鋭く主張した。
 ❷の「敷地内は騒音の保護対象ではない」論について、弁護団は三里塚闘争50年の闘いの経過や騒音調査に基づく松井利仁鑑定意見書や厚木基地騒音訴訟の判例なども引用して、〝空港周辺ではなく騒音発生源だから〟などと市東さんの住んでいるところを切り捨てるのは、航空機騒音防止法などの趣旨をねじ曲げるた珍論だと断じた。騒音の発生源においてこそ最も深刻な被害が発生するのは子どもでも分る理屈だ。それを明文がないことを利用してケチ付けの珍論を展開しているところに国とNAAの危機が表れている。
 ❸の「土地収用予定地で人が住むことを予定していない」論について、用地取得のために農家の軒先まで工事を進め、機動隊の暴力を背景に立ち退きを迫るというこれまでのやり方そのものを全面的に弾劾し、その空港建設の破産が事業認定の失効となったことを指摘し、国・NAA側の苦しまぎれの主張を全面的に打ち砕いた。さらに弁護団は、前記、北海道大学の松井利仁教授の騒音被害に関する意見書を提出した。市東さんの怒りを代弁した弁護団の奮闘に傍聴席から拍手が巻き起こった。
 国・NAA側の主張は一言でいえば、「空港敷地内に住む人間には生きる権利がない」という農民抹殺宣言だ。「国策で決まった以上住民は出ていけ。出て行かない者には居住権も人格権も存在しない」という、権利の全面否定だ。
 こうした暴論を粉砕された国・NAA側は「反論があれば次回までに出す」と発言することで体裁を取り繕うしかなかった。弁論終了後、千葉県弁護士会館で報告会を行い、この日の勝利を確認した。
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