非常事態宣言破る仏での闘い 120万人がゼネスト突入 労働法制改悪反対を叫び

週刊『三里塚』02頁(0942号02面02)(2016/04/25)


非常事態宣言破る仏での闘い
 120万人がゼネスト突入
 労働法制改悪反対を叫び

(写真 120万人がゼネストに決起した3月31日の闘い【パリ】)

(写真 3月9日、ストライキと同時にデモが行われた)


 3月31日、フランス全土で労働法制改悪に反対する労働者と学生のスト、デモ、集会、大学・高校の校舎の封鎖(バリケード・ストライキ)が120万人の決起で力強く闘われた。
 これは、3月9日の第1回総決起での50万人の2倍を超える結集であり、3月17日、24日の闘争を引き継いだものだ。さらに4月5日、全国で2万4千人の決起と大学・高校のバリケード封鎖が行われた。
 パリをはじめフランス全土は、昨年11月のIS襲撃以来、オランド大統領による非常事態宣言下にあり、3月中旬現在で、3397件の令状なしの家宅捜索、「テロ容疑者」274人の自宅監禁、大学の門前の公安当局による監視態勢などの強権的弾圧体制下におかれている。この非常事態宣言を突き破り、今回の決起がかちとられたのだ。3月31日のストライキに入ったのは、パリ交通(地下鉄・バス)、国鉄、フランス・ガス、フランス電力、エールフランス、その他の公共部門、商店、新聞社、港湾、カジノなど広範な部門の労働者。これに連帯して、全国200の高校がバリケードで封鎖された。大学生も「68年5月革命」の拠点=パリ・ソルボンヌ大学などで大学当局の弾圧を粉砕して大学封鎖を闘っている。
 パリ、リヨンなど主要都市をはじめ、全国200カ所以上でデモ・集会が行われ、非常事態下で凶暴化した警官隊との激突が各地で起こり、多数の負傷者、数百人の逮捕者が出た。
 オランド社会党政権が昨年来策動している労働法制の抜本的改革法案は、以下のようなものだ。
 ①「経済的理由」による整理解雇の要件の緩和
 ②「不当な解雇」の際の補償金額の上限の設定
 ③現行の週35時間労働制の解体、44~46時間への延長
 ④1日の労働時間の制限を10~12時間に延長
 ⑤未成年の見習い工の労働時間の延長
 ⑥残業手当の削減
 ⑦こうした一切の改変を会社レベルでの交渉でできるようにすること
 その狙いは、「競争力の強化、雇用の創出」の名による労働時間・労働条件・賃金・職場での権利などへの全面的攻撃、とりわけ非正規職の拡大にある。そして一連の改変を、労組との全国的・産業別の労働協約ではなく、企業・会社・経営レベルでの協定、就業規則の改定でやれるように労働法制を改悪し、就業規則を労働協約に優先させることにある。これは、労働組合の解体攻撃だ。 オランド社会党政権が、12年にサルコジ保守党政権に代わって登場して以来進めてきた新自由主義攻撃の上に、今回の労働法制改悪が体制内労組の存在すらも形骸化する攻撃であることから、労組間の共闘団体がつくられ、学生団体も加わって反対運動を開始した。今回の労働法制改悪は、大学生と高校生を直撃している。フランスはEU内でドイツに次ぐ「大国」だが、大恐慌で経済成長率が落ち込み(成長率は15年10~12月前期比で0・3%増)、失業率が10%を超え、とりわけ青年層(18~24歳)では24%に及んでいる。非正規職の拡大とともに貧困が広がり、大学生の大半が低賃金・無権利の職場で働いている。
 青年たちは口々に「こんな法案では、私たちの未来はさらに大変なことになる」「職場に入れても、会社の言いなりにさせられてしまう」「長時間働かされ、しかもいつ首になるかも知れない」と語り、プラカードや横断幕には「若者は怒っている」「高校生・大学生は、労働者と団結して闘おう」「未来を決めるのは私たちだ」などと書かれている。
 非常事態宣言と対決し、労働法制改悪に反対して、労働者はストライキを、学生はバリストをもって闘う──まさに韓国・民主労総ゼネスト、動労千葉のCTS就業規則改悪粉砕闘争、京大バリストなどと共通の立場での闘いである。階級的労働運動と国際連帯のさらなる前進へ!

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