憲法違反 高裁判決破棄を 1・28最高裁署名提出行動 葉山岳夫弁護士の発言

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週刊『三里塚』02頁(0941号02面04)(2016/04/11)


憲法違反 高裁判決破棄を
 1・28最高裁署名提出行動
 葉山岳夫弁護士の発言


 反対同盟は、市東さん農地法裁判での反動判決阻止のために、1月28日、第1次の最高裁署名提出行動を行いました。前段集会で、葉山岳夫顧問弁護団事務局長から、空港会社の策動を打ち砕くあいさつがありました。そのあいさつに加筆していただい文章を掲載します。反対同盟は第2次提出を計画しています。さらに闘いましょう。(編集委)
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 お忙しいところ、最高裁に対する要請行動、署名提出行動に結集された皆さんに連帯のご挨拶を申し上げます。市東孝雄さんは、祖父の市東市太郎さん以来100年近く、天神峰の農地を耕作してきました。1966年の三里塚空港の閣議決定よりずっと前から、営々として農業を営んでいるものであります。空港絶対反対、農地を絶対に守る決意の下に、この農地を耕し、完全無農薬・有機農業を営んで闘っています。
 一審の千葉地裁・多見谷寿郎裁判長、控訴審の小林昭彦裁判長は、成田国際空港株式会社、そして千葉県のおこなった所業が実質的な公用収用であるということについて、一切無視しました。強制収用は収用委員会だけが行うもので、本件は民事裁判で空港株式会社という一般私人が明け渡しを求めているにすぎないという、とんでもない理屈をつけているわけであります。まさに憲法違反の判決を1審2審が強行したのであります。
 判決は一会社がおこなった民事訴訟というのですが、空港会社は80%の株式を国土交通大臣が持ち、20%を財務大臣が持っています。すなわち、国営企業、国家そのものにほかならないわけであります。国家でありながら、会社の皮をかぶって、そして民事訴訟という形で市東さんの農地を取得しようとしているのです。しかもその底地の買収は、1988年の4月に、市東さんの同意を一切得ないで、地主の藤﨑、岩澤と底地の売買契約を結んで違法に取得したものです。これは公団の規定そのものにも違反します。公共用地の取得に関する損失補償要綱というものがありますが、これにも違反します。なによりも憲法29条そのものに違反します。
 その買収した農地は、農地法18条によって、市東家の絶対的な耕作権が存在します。したがって転用しようにも転用できない、そういう農地を農地法に反して取得しました。小作権そのものを認める形で公団はその農地を取得したのであります。取得した上で、15年も経ってから、2003年に登記をして、「これは空港会社のものだから、農地の賃貸借契約を解除して明け渡してくれ」と言いだしました。とんでもないことであります。

第2次提出行動へ

 この明け渡しを市東さんが断固拒否するや、空港会社はあろうことか、賃貸借の契約の解約の許可申請を千葉県に申請しました。千葉県は、これに易々と許可を出してしまいます。千葉県の許可の前には成田市農業委員会の審理があったわけでありますが、「耕作の場所が違う」と何遍も言ってもいっさいこれに取り合いませんでした。まあ、農業委員会としてさすがに空港会社に「同意を得ないのは、問題だ、同意を得るべきだ」と意見をつけたんですが、千葉県農業会議は市東さんの意見陳述も認めないうちに千葉県知事が許可決定を出してしまったのです。この過程そのものは、憲法違反の固まりです。
 最高裁は、憲法の番人という看板を出し、標榜しているのであります。市東さんの農地取り上げは憲法の規定そのもの、29条、そして適正な手続きという31条に違反しているわけであります。最高裁は、違憲、違法きわまる二審小林判決を破棄することを断固とした勇気を持ってやってもらいたい。そのことを訴えるために、今日、11126筆の署名をたずさえて最高裁に来ました。われわれとしてはさらに新たな意見書等々も出して、また署名についても皆さんと共に集めて再度ここに集まって闘いますが、本日はその第1回であります。皆さんと共に弁護団も闘います。
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