住民の怒り圧殺するNAA 第3滑走路パンフ弾劾

週刊『三里塚』02頁(0935号02面02)(2016/01/11)


住民の怒り圧殺するNAA
 第3滑走路パンフ弾劾

(写真 NAAが配布を開始した第3滑走路パンフ)

(写真 石毛博道らの第3滑走路推進策動を弾劾【昨年7月29日 成田市】)


 成田国際空港株式会社(NAA)は、第3滑走路建設、発着容量の拡大といった空港機能強化策の必要性を訴える住民向けのパンフレットの空港周辺への配布を昨年末から開始した。地域住民の「理解」・「協力」をまったく得られていないという危機感から、昨年11月の4者協議会での確認にもとづき、2万部を印刷した。NAAはパンフレットの中で、①空港機能強化の必要性②航空機騒音の影響③周辺地域へのメリットについて得手勝手な見解を述べている。
 しかし、結論から言えば、成田空港の機能強化は、軍事空港としての機能強化であり、切迫する朝鮮侵略戦争に対応するためのものだ。労働者人民とは一ミリも相いれない。最末期帝国主義の絶望的な延命策である成田空港の拡張を粉砕し、空港労働者をはじめとする地域住民の総決起をかちとらなければならない。
 まず何よりも、第3滑走路建設が多数の予定地住民、膨大な数の騒音下住民の生活破壊の上にのみ成立する〝住民殺し、農民殺し滑走路〟であることについて、はっきりさせなければならない。
 NAAパンフレットはこの点について徹底的に逃げ回っている。その上で以下、NAAの主張について批判する。
 ①についてNAAは航空旅客輸送量予測、首都圏航空需要予測なるものを根拠として航空需要は拡大するとし、空港間競争に負けている現実をまきかえすために空港機能を強化し、日本の経済や社会の成長、周辺地域の活性化を図るのだという。実際、2006年から2014年の国際線旅客数の推移は、韓国・仁川、香港、シンガポール・チャンギ、ドバイは1・5倍から2倍になっているが、成田は右肩下がりだ。要するに、成田も他の主要空港のように拡張すれば需要が増えると言っているに過ぎない。こんな本末転倒した論理があるだろうか。
 空港間競争に負けているのは、成田空港がおびただしい人民の犠牲の上に造られた人民圧殺空港である上に、都心から70㌔も離れた内陸に位置するという、致命的欠陥によるものだ。論理のすり換えもはなはだしい。
 ②の航空機騒音の影響について。移転補償、防音工事、騒音測定といった対策を取ると述べるだけで、何ら騒音による被害の深刻さについて考慮していない。厚木基地爆音訴訟でも明らかになっているように、騒音には殺人的な影響がある。しかも、成田は厚木の10倍の頻度で夜間騒音が起こっている。今すぐ差しとめられなくてはならないレベルであり、機能強化など論外だ。
 さらに、NAAが隠ぺいしている重大問題がある。第3滑走路の影響は騒音だけではない。人命に直結する落下物問題だ。この間、成田市内で航空機部品の落下が相次いでいる。しかも、すべての事案で航空会社は部品欠落を把握していないか隠ぺいしている。
 周辺地域の住民と会話すると、必ずこの落下物への怒りを語る。そもそも人が生活している民家の上を航空機が飛んでいること自体が問題だ。
 ③について。パンフは周辺地域への経済波及効果、雇用創出効果、税収増を挙げているが、まず、住民の労働条件・生存条件の破壊で潤う経済とは何なのかが問われなくてはならない。
 さらに、そうまでして共存したとしても、2011年3・11東日本大震災―福島原発事故の結果、空港関連で働いていた労働者1万人の首がたった1年間で飛んだように、危機になれば資本は労働者の命を何とも思わない。共存共栄は、資本による住民の奴隷化を推し進める方便に他ならない。第3滑走路粉砕へ猛然と闘おう。

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