日帝・安倍の新自由主義攻撃 「成田戦略特区」を許すな
週刊『三里塚』02頁(0933号02面04)(2015/12/14)
日帝・安倍の新自由主義攻撃
「成田戦略特区」を許すな
(写真 成田特区に市民の間で批判が高まっていることを報じる東京新聞【11月7日付】)
国家戦略特区とは、憲法や法律による規制を取り払って、資本による新自由主義的な論理を貫徹させるための特別ゾーンだ。この「特区」を推進する安倍政権は、11月26日、国家戦略特区会議で、国際医療福祉大学(栃木県大田原市)が成田市に医学部を新設する計画案を決定した。
成田市は「国際医療学園都市構想」を掲げており、国家戦略特区東京圏の一部として、世界最高水準の国際医療拠点を築くという。「国際医療学園都市構想」は、成田空港を活用し、大学、病院、製薬・医療機器メーカーなどさまざまな医療関係機関を集積させようというもので、原発・鉄道輸出と並んで「医療のパッケージ輸出」を狙う。安倍政権の成長戦略の一環である。
国際医療福祉大学も、医学部の構想として「医療の国際展開をはかるうえでの最重要課題ともいえる、海外で病院を実際に運営する際の専門家等の人材を養成し、政府の成長戦略を強力にサポート」「医薬品や医療機器だけでなく、医療システムやサービスをパッケージで輸出する戦略を強力にサポート」するとうたっている。
また、同時にねらっているのはアジアの富裕層を呼び込む医療ツーリズムだ。
国際医療福祉大学は、グループ内の病院などでアジアからも患者を受け入れている実績をアピールしたうえで、医学部の付属病院を「2020年に来る東京オリンピックを見すえ、医学部同様、国際的に通用する病院として整備したい」としている。
医療のパッケージ輸出も医療ツーリズムも空港機能強化と完全にセットだ。小泉一成市長は「医療産業の集積ができれば、空港と並ぶ成田の顔になる。人も航空機も集まってくる」とあけすけに語っている。第3滑走路計画と成田の医療特区は、成田の生き残りと金もうけのためのシロモノであり、一体の攻撃なのだ。
こうした金儲けの医学部新設に、成田市は建設地を購入して無償貸与し、建設費80億円を補助する。さらに付属病院の建設用地取得費、造成費、病院管理への出資など133億円という最大の財政負担をするというのだ。
当然にも市民の間からは批判と反発の声がわき上がっている。だから成田市は、医学部設置を「医師不足の改善」「地域医療の崩壊を未然にくい止めるため」(広報なりた)と説明する。
だが、国家戦略特区は「産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要」(国家戦略特区法第1条)とされ、地域住民のことなど政策目標とされていない。「地域医療」の文言はまやかしだ。
また成田市は、医学部と付属病院の新設に伴う経済波及効果を、建設関連で最大857億円、消費関連では年間最大211億円と試算して、雇用拡大を強調する。しかし、国家戦略特区は、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」ために外国企業や大手企業の投資を誘発し、労働規制を緩和して人件費を抑え、思う存分稼げる環境をつくりだすものだ。特区の内外はもちろん、特区内でも格差が生まれ、低賃金と非正規雇用を強制される。
さらには、医療産業の集積のためには広大な土地が必要になるため、成田市は農地法による土地利用規制の緩和も求めている。金もうけのための医療、農地の強奪、まさにTPPの先取りではないか。
成田の医療特区を第3滑走路もろとも打ち砕こう。市東さんの農地を守る闘いは、安倍政権の新自由主義政策を最先端で打ち砕く闘いだ。