団結街道
週刊『三里塚』02頁(0932号01面05)(2015/11/23)
団結街道
幼い頃、落花生で死にそうになったことがある。飲み込んだ落花生が気管支に入り、もう少しで窒息だったとか。しかし、トラウマになることもなく今でも落花生が大好きだ▼今年、その落花生が気軽に食べられないほど値上がりしている。千葉県は全国生産量の8割弱を占めるが、昨年と比べて4割、5割の価格高騰だ。8月の低温など天候不順の影響も大きい。しかし、何より問題なのは生産者の高齢化と後継者不足だ▼知り合いの業者によれば、機械化が難しい落花生は、産地の八街(やちまた)でも若い人がやりたがらないそうだ。ここ数年、不作が続いたが、昨年までは、大手の業者が冷蔵庫に在庫を持っていた。それが底をつき、今年は畑にある落花生だけ。なのに今年も不作だから業者同士の奪い合いで、高騰を招いているという▼TPPの大筋合意では、落花生の関税も撤廃される。農林水産省関東農政局は10月20日に開催した意見交換会で、「輸入の42%がTPPに加盟していない中国産。米国産は39%だが小粒品種で、大粒品種が中心の国内産とは競合しない」と強調した▼空論だ。すでに国産品は国内需要の1〜2割に過ぎず、さらに外国との価格競争にさらされれば衰退は目に見えている。ごく一部だけが「攻めの農業」のもとで超高級ブランドと化すだろう。家族農業を破壊し、農業生産を企業のえじきに差し出す安倍農政を許すな。