新自由主義攻撃を推進するTPPを粉砕しよう(上) 家族農業破壊、大資本に利益 「聖域5品目守る」は空手形
新自由主義攻撃を推進するTPPを粉砕しよう(上)
家族農業破壊、大資本に利益
「聖域5品目守る」は空手形
TPP(環太平洋経済連携協定)「大筋合意」の内容が明らかにされつつある。公表されている主要な内容だけでも、TPPの反動的本質と新自由主義的性格がはっきりしている。TPP攻撃を許してはならない。これを暴露弾劾し、成立を阻止しよう。上、下2回に分けて批判する。
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TPPは第一に、中国に対する「ブロック化戦略」そのものだ。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対抗するための勢力圏づくりだ。その背後には、帝国主義間・大国間の相互絶滅的な争闘戦がある。それは南沙諸島の情勢に見られるように軍事対立にまで先鋭化し、TPPでさらに深刻化する。
第二は、日米争闘戦を促進するものだ。米帝は対日要求を激化させ、軍事・政治を絡めた争闘戦を強化しようとしている。日帝は、この解体要求に対抗して独自の勢力圏づくりを推し進めなければならないが、そのために戦後的な制約を突破し「戦争をできる国」に絶望的に飛躍しなければならない。これらが安保法策動だ。いずれも朝鮮侵略戦争を急速に引き寄せるものとなる。
第三にTPPは、一握りの大資本の利益と延命のために、農業や医療に壊滅的打撃を与える労働者人民への階級戦争であり、究極の新自由主義攻撃にほかならない。新自由主義は、歴史的に資本主義が生命力を失った最末期帝国主義の破綻的な延命形態である。1㌫のブルジョアジーに富を集中する弱肉強食の社会が作り出されている。こうした中で提唱されている安倍政権の農政改革は、戦後日本農業の骨格であった家族経営を没落させ、大資本の利潤獲得の新たな産業部門へと農業分野を開放させようとするものだ。しかしそれは、農業を新自由主義資本に破壊させるだけであり、農業切り捨てにすぎない。安倍は、このような農業における新自由主義攻撃をTPPをテコに行おうとしている。
農民の怒り噴出
では、公表された農産物の関税撤廃を見てみよう。農林水産物の8割に当たる1885品目で最終的に撤廃、キャベツ・ジャガイモも含め野菜はすべて撤廃。イチゴ・メロン・スイカも即時廃止。オレンジなどの果実も基本的に撤廃される。しかも、全農産物の半分がTPPの発行時に即時撤廃することとなった。とくに、「聖域確保」を唱えていた「重要5品目」(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)の3割を撤廃する点は決定的だ。
コメなどは関税を残すものの、輸入枠の設置で、関税撤廃率以上の市場開放になる。政府は、毎年の備蓄米の買い入れ量を増やすことなどで「市場に流通するコメの総量は増やさない」(6日、安倍)と言っているが、主食用米の総量が変わらなくても安価な輸入米の割合は高まり、米価は引き下げられることになる。「飼料用米に転換して生産調整しているのに輸入を増やすのは矛盾している。業務用の需要を開拓する努力も否定される」(宮城県で20㌶を耕す米農家)との声が噴出している。
牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物も一部関税を撤廃する。牛肉関税は、現在38・5%を9%にまで下げる。豚肉は、一定価格以下の安い肉は現在1㌔482円までの関税を50円に引き下げ、高い肉は4・3%の関税を撤廃する。バター・脱脂粉乳も新たに低関税枠を設け輸入拡大に道を開いた。
さらに重要なのは、これらの重要5品目の細分品目586種の結果である。税率を維持したのは、わずか156品目で3割弱に過ぎない。関税制度を維持したと称する米麦でもビーフンなどの3割の品目を自由化した。とくに牛・豚肉では7割の品目が撤廃され、関税維持のペテンが明らかだ。「蟻(アリ)の一穴」と評されるように、これらが導水路となって輸入規制が骨抜きにされるのだ。
「聖域を守る」などという政府・与党のペテンは完全に吹き飛んだ。10月15日に、JA(全国農業協同組合連合会)の全国大会が東京・渋谷で開かれた。そこではTPP交渉での「大筋合意」に弾劾の声が相次いだ。今こそ日本農民は、安倍の「農業改革」を粉砕するために、TPP批准・成立を阻止する闘いに決起しよう。この攻防の先端を担っているのが市東さん農地決戦の三里塚闘争であり、新自由主義粉砕の国鉄決戦である。階級的労働運動と国際連帯でTPPを粉砕し、安倍を打倒しよう。(つづく)