新やぐら裁判 NAAの農地取得は違法 撤去求める資格なし

投稿日:

週刊『三里塚』02頁(0930号02面02)(2015/10/26)


新やぐら裁判
 NAAの農地取得は違法
 撤去求める資格なし

(写真 新やぐら裁判の後、裁判所近くで報告会を行った【10月19日 千葉市】)

 10月19日、新やぐら裁判の第3回弁論が千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で開かれた。三里塚反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生は、農地取り上げ攻撃への怒りに燃えて闘った。 この裁判は、農地法裁判(現在上告審)で市東さんが明け渡しを求められている天神峰の耕作地、その一角に建つ反対同盟所有のやぐら、看板など四つの工作物の収去・底地明け渡しを求めて、NAAが反対同盟を不当に提訴した裁判である。被告席に反対同盟の萩原富夫さんが座っていることに、NAAが難くせをつけたことを一蹴して、開廷した。
 弁護団は、NAAの「農地取得」が違法・無効であることを明らかにする準備書面(2)を陳述した。NAA=空港公団は、1988年に市東東市さん(孝雄さんの父・故人)の耕作地の底地を旧地主から「空港施設に転用する目的で買った」と言い張っているが、東市さんが反対同盟の一員として「空港絶対反対」を貫いて畑を耕し続けている以上、実際の転用のめどはまったく立っていなかった。公団は市東家に秘密で買収し、その後15年間も賃借地として市東家が耕作し続けることを認めてきた。こんな「買収」は違法・無効だ。
 「転用目的」と言いながら、都合がつかないから放っておくなどというのは農地法第5条違反だ。実際には農地を農地として売買しており、耕作者である市東さん以外の者が地主から農地を買い取ることを禁止している農地法第3条違反だ。また、空港公団本社は96年まで東京にあった事実から、不在地主が農地を所有することを禁じている農地法第6条にも違反している。つまり、農地と耕作者の権利を守る農地法の根本精神に、ことごとく違反しているのだ。
 そして、空港公団の用地事務取扱規定38条には、「取得しようとする土地に賃借権=耕作権などがある場合、これら権利を消滅させること」と書いてある。つまり、同意を得て損失補償しろということだ。ところが原告NAAは「これはうちの内規だから違反してもかまわない」などと恥知らずにも居直った。これは明らかに憲法29条違反だ! NAAが地主の顔をして、農地ややぐらの明け渡しを迫る資格はまったく存在しないのだ。
 陳述を終えると弁護団はすかさず追撃を行った。NAAが、農地法裁判ではやぐらの所有者を市東孝雄さん個人とし、この新やぐら裁判では所有者を反対同盟としている矛盾を指摘し、「どう整合的に説明するのだ!」と鋭く追及した。
 上野至を筆頭とするNAA代理人は「訂正したんじゃないですかね」などとウソを言い、「本件と別件は関係ない」などとしどろもどろで弁解に窮した。「説明になってないぞ!」「いい加減なことを言うな!」と怒号が傍聴席から浴びせられた。上野はかつて千葉地裁裁判官として三里塚裁判で反動判決を下し、退官後にNAAの雇われ代理人に成り下がった最低の男だ。岸裁判長はこの「先輩」の窮地を見かねてか、「書面で提出を」とNAA側に促し、廷内の怒りを抑えることに腐心した。
 近くの会場で報告を行った後、反対同盟と支援連は千葉市繁華街に出て、最高裁へ向けた5万人署名活動に立ち、軍事空港粉砕、安倍政権打倒、農地死守を訴えた。
このエントリーをはてなブックマークに追加