耕作権裁判 弁護団、NAAに壊滅的批判 市東さん「農業続けるため必ず勝つ」
週刊『三里塚』02頁(0928号01面03)(2015/09/28)
耕作権裁判 弁護団、NAAに壊滅的批判
市東さん「農業続けるため必ず勝つ」
(写真 耕作権裁判の開廷を前にして、裁判所前でシュプレヒコールを行う反対同盟と支援連【9月14日 千葉市】)
9月14日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)で、反対同盟・市東孝雄さんの耕作権裁判の弁論が開かれた。
支援連は早朝から裁判所前に陣取り、「裁判長は訴訟を却下せよ」と訴え、横断幕を広げ、ビラをまき、シュプレヒコールを行った。午前10時30分に開廷した。前回出された原告・NAAの主張に対して、顧問弁護団は徹底的に反論する70㌻を超す分厚い準備書面を提出し、陳述した。
❶原告のNAA=空港公団は1988年に、耕作者である故市東東市さん(孝雄さんの父)に無断で旧地主から南台の底地を買収し、15年もそのことを隠して保有し続けてきた。これは不在地主による小作地所有を禁じた農地法第6条違反。
❷借地権を持つ小作者である東市さんの同意がないまま、地主からの底地を買い取ることは、「新東京国際空港公団用地事務取扱規程」38条に違反し、憲法第29条(財産権)に違反している。
❸市東さんの南台の耕作地のうち、「41―9」を市東家が耕作したことは一度もない。ここは石橋家の屋敷林だった。この事実は、70年当時に空港公団自身が強制収用のために作成した図面や航空写真からも明らかだ。NAAが提出した「同意書」「境界確認書」添付の図面による位置の特定は誤りであり、偽造だ。
❹南台の市東さんの耕作地の一部について、東市さんは72年に地主と協議し承諾を得て、耕作し、毎年賃借料を支払い続け、何の問題も起きていない。20年が経過した92年に、東市さんは賃借権を時効取得した。(民法第162条)
❺そもそもNAAが市東さんに「土地を明け渡せ」などと迫る資格はない。本件農地売買については農地法第5条(転用のための売買規定)は適用されず、また、同第3条(農地のままの売買規定)に違反し無効である。原告NAAには農地の所有権がない。
弁護団は、❺を次回以降、さらに具体的に主張することを予告した。
千葉県弁護士会館で報告集会が開かれ、伊藤信晴さんが司会を務めた。最初に市東孝雄さんが前日の群馬集会往復の疲れも見せずあいさつに立ち、国会決戦の多忙の中での傍聴にお礼を述べ、「私が天神峰で農業を続けるために、この裁判で必ず勝たねばならない。NAAを追いつめ、ともに闘おう」と訴えた。
続いて葉山岳夫弁護士を始め弁護団全員が発言し、この日の主張を中心に法廷を解説し、NAAの卑劣な言い逃れを許さず、この裁判で徹底的に攻勢をかけることを明らかにした。
連帯のあいさつとして、動労千葉の滝口誠さんが「動労千葉は労農連帯をうち固め、10・11に結集する」と述べ、全国農民会議の市川勝三さんが、農地取り上げ攻撃に怒りを表明した。この他、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会が発言した。
最後に反対同盟事務局の萩原富夫さんがまとめのあいさつに立ち、前日の国会前での闘いを報告しながら、「緊急5万人署名、賛同人署名の推進を強く訴えます。50年にわたり反戦・反基地の砦として三里塚は不屈に闘ってきた。この情勢の先頭に立ちます」と決意を表し、10・11への大結集を呼びかけた。
耕作権裁判は市東さん側が主導権を握ってNAAを追いつめている重要な裁判だ。その帰すうは農地法裁判の上告審闘争にも影響する。全力で傍聴に結集しよう。