農民が解放される真の道は何か ⑧ 農民学習会 労農同盟論を学ぶ 第2部 参加者の討論(4) NEPで労農同盟を守る 農民との信頼関係を再形成 革命ロシアの農民政策

週刊『三里塚』02頁(0927号02面09)(2015/09/14)


農民が解放される真の道は何か ⑧
 農民学習会 労農同盟論を学ぶ
 第2部 参加者の討論(4)
 NEPで労農同盟を守る
 農民との信頼関係を再形成
 革命ロシアの農民政策

(写真 20年代ソ連のポスター。「NEPのロシアから社会主義のロシアが生まれるだろう」【レーニン】と書かれている)


≪第4回 戦時共産主義とNEP、そしてスターリン主義による労農同盟破壊≫

 編集部 革命ロシアがとった農民政策への質問を出してください。
 大戸 三条さんは、NEP(新経済政策)を「革命権力を維持するための現実的妥協策」と言いましたが、私は過渡期の一政策と思いますが。
 野間 ロシア革命は労農連携で実現した。その後「自分の土地はどうなるのか」の疑問等で、農民が離れ始めた。それでNEPが出たのか?
 三条 NEPは、当時の革命ロシアの状況では絶対に必要な、それ以外にない政策だったことは間違いありません。
 17年ロシア革命に勝利した後、ロシアは3年間の激しい内戦に突入します。反革命勢力との闘い、そして帝国主義国による干渉戦争です。社会的混乱と生産力の低下は著しく、労働者の生活を維持するために農民から農産物を強制的に徴収していきます。
 またこの時期は、農村を中心に赤軍と反革命軍が支配地域を奪いあうことが繰り広げられたのです。反革命軍が支配すれば旧地主が戻ってきて、農民が手に入れた農地を奪われるということを経験します。農民にとっては、赤軍を支え、革命政権を支持することによってしか、自分の農地を守ることはできなかったのです。実際、赤軍の8割が農民出身であり、英雄的戦いを繰り広げてきました。戦時共産主義は、労働者階級と農民階級が団結して革命政権を支え抜き、一定の計画経済が実施され、労働者階級だけでなく、農民階級も自己解放的に闘い抜いた過程でした。
 内戦と帝国主義干渉戦争に勝利し、息継ぎの時期を迎えます。しかし、一方で、工業生産の壊滅状況を、農村からの強制的な農産物の徴発によって乗り切ってきた政策は、深刻な危機を迎えます。農民反乱の続発、反ボルシェビキ闘争が激しくなる。ここにおいて行われたのが、「戦時共産主義からNEPへ転換」です。まさに現実的妥協策と言えます。
 野間 食べ物を確保しなければならない状況は、農民にとっても生きられない時代。だから、食糧を出せと言われたときに、自分の土地を得たいと決起した農民はついていけないのはよくわかるが...。
 三条 そうですね。ただ革命の中で、農民も、労働者も意識が変わっていく。戦時共産主義の中で、自己解放的な精神的高揚が見られたことに注目する必要があります。 さて、NEPですが、余剰生産物を販売することを農民に認めるということだから、商業の復活、資本主義復活の可能性も出てくる政策です。しかし、NEPの核心はそこではなく、過渡期の本格的建設にあります。社会全体を資本主義から社会主義につくりかえる、その主体として労働者が生産を組織する、実際の経験・訓練を経て社会主義的生産を組織していくことです。それは農民階級を指導する能力を労働者階級が階級全体として形成することでもあります。当時の革命ロシアの状況では、労農同盟の再形成、本格的形成が問題になっていました。
 だから、NEPは過渡期に絶対必要な政策であったとも思います。レーニンは、NEP期の農民政策を「本来の経済的な同盟関係」と言っています。労働者政権と農民階級との信頼関係の再形成なしに、農産物を供出してもらうことはできなかったし、革命ロシアを守り抜くことはできなかった。党大会でレーニンは「他の国々の革命がやってこない限り、農民との協定だけが、ロシアの社会主義革命を救うことができる」とも述べています。
 飯島 スターリンの農業強制集団化で、家畜など全部殺して食べちゃった。それを取り戻すために、四分の一世紀かかったと言われている。
三条 スターリン主義の悪影響は非常に大きい。強制的な農業集団化が社会主義農業のイメージとして定着している。
 農業集団化によって農民から暴力的に農地を取り上げ、これによってNEP期で回復しつつあった労農同盟は最後的に破壊されました。同時に、スターリン主義は国家5カ年計画を策定し、中央計画経済を進めます。それは労働者の主体性を全面的に否定し、上からのノルマ設定と生産力至上主義による強制労働以外の何ものでもありません。スターリン主義は労働者と農民の主体性を奪った、反革命です。
 編集部 最後に、農民に革命をどう訴えるかを。
 三条 スターリンが労農同盟を全面的に破壊し、プロレタリア革命と農民階級を完全に切断しました。だからレーニンが実践的に着手した労農同盟の発展は、私たちに課されているのです。
 共産主義では生産手段(土地)は共有化されます。しかし、スターリンがやったように暴力的に土地を取り上げるのではなく、過渡期・移行の時期に農民が自らの経験を通して、協同組合的生産に次第に移っていくものです。個人(家族)労働よりも集団的労働の方が生産性を上げ、生活を改善し、人間的共同性・人間的成長を作り上げることができることを学びとって、主体的に移行していくのです。
 だから、いま、「農民は労働者階級とともに新しい社会をつくっていく」、「自分たちも新しい社会をつくる一員だ」とプロレタリ革命を訴えましょう。革命は巨大な意識の変化、主体的高揚がすべての人民を覆います。今の意識が一夜にしてひっくり返るのが、革命です。こうした大きな事業に挑戦しているのです。ともに頑張りましょう。
(終わり)

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