「毎日」が報道 朝鮮半島での有事(侵略戦争)には成田が米軍の中継基地に
週刊『三里塚』02頁(0926号02面02)(2015/08/24)
「毎日」が報道
朝鮮半島での有事(侵略戦争)には成田が米軍の中継基地に
(写真 朝鮮半島有事が起きた場合の民間空港・港湾の軍事動員を報じる毎日新聞【8月23日付】)
8月23日の毎日新聞は「日米安保の現場――語られぬリスク」シリーズの5回目を掲載し、安倍政権が「集団的自衛権の行使」を明言する朝鮮半島有事の際に、日本列島が後方支援基地として全面的に動員される危険性と実態について報道した。
見出しは「空港・港湾軍事拠点に」となっている。そこでは有事法制の一つ「特定公共施設利用法」の中に、有事の際、政府の指定する空港、港湾、道路などを自衛隊や米軍が優先利用できる規定があることを暴露し、「特に空港や港湾は普段から自衛隊や米軍の部隊が常駐、利用してるか否かとは無関係に、全国の大半の施設が指定される可能性がある」と書いている。
さらに、「防衛省は実際、自衛隊が使うことを念頭に滑走路の長さや幅、港の水深や岸壁の長さなどを含む施設の詳細な状況を日常的に調べている」としている。
その裏には日本周辺の有事をにらむ米国の影がちらつくと報じ、内部告発サイト「ウィキリークス」によって、2011年に流された米軍情報を紹介している。それによれば、2008年7月、アメリカは外務省や防衛省に23の空港と港湾の調査を要求していたというのだ。
幹部自衛官が研究
また、幹部自衛官らによる内部向けの研究誌「陸戦研究」が10年ほど前の論文で、日本周辺で有事が起きた場合には、「日本は戦闘地域と米本土を結ぶ『戦域基地』として、兵士や物資の中継地点となる」と分析していることが紹介されている。(ちなみにその「陸戦研究」は2004年12月号から2005年2月号までの3号)以上の衝撃的事実は実は「週刊三里塚」が1994年の朝鮮危機以来、成田空港の軍事転用問題として、一貫して報道してきた問題だった。まさにわれわれが報じて来たとおりの内容が、今回の「毎日新聞」で報じられている。
前記「陸戦研究」の論文によれば、米軍が作戦計画「5027」によって朝鮮半島に派兵する総数は湾岸戦争規模の50万人、そのうち10万人は在日、在韓その他の形ですでにアジアに展開しているから、40万人が米本土から日本を中継基地に朝鮮半島に展開する。そして、「中継基地」の役割を果たせる自衛隊の能力は、必要とされる1%しかない、大半を民間空港、港湾に頼らざるを得ない、と指摘しているのだ。
そして、3500㍍〜4000㍍滑走路が必要なB747クラスの大型機が最大で570機離発着、駐機することになる。ここで、日本最大の国際空港である成田がこうした中継機能の最大の拠点に位置づけられていることは明白だ。
しかも兵員は主に、民間予備空輸隊(CRAF)で動員された民間大型機で飛来する。同制度には、アメリカの主要航空会社37社が組み入れられており、1990年の湾岸戦争時に全面発動された。その時、50万人の兵員の内約35万人が空軍指揮下の同民間機で空輸された。その場合には成田のような、国際線民間パイロットが熟知した空港が重要な役割を果たす。
「軍事空港反対」を一貫して叫びつづけてきた三里塚闘争の意義は極めて大きい。安倍戦争政治の下で、自民党・空港推進議連や石毛博道らが策動する第3滑走路計画の裏にはこうした軍事転用に向けた空港容量の拡大要求があることは明らかだ。日米安保による軍事基地化のための第3滑走路を阻止しよう。