安保法制 追いつめられる安倍政権 3学者の違憲論に大打撃
週刊『三里塚』02頁(0923号02面04)(2015/07/13)
安保法制
追いつめられる安倍政権
3学者の違憲論に大打撃
5月26日、国会で安保関連法案(「平和安全法制整備法案=10法案」と「国際平和支援法案」)の審議が始まって以来、安倍政権(写真)の危機が深まっている。
何よりも6月4日、衆議院憲法審査会に招かれた憲法学者3人が、そろって安全保障関連法案について「違憲だ」と発言したことだ。自民党が推薦した長谷部恭男早稲田大教授までが「憲法違反だ。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかない」と批判した。同じく見解を述べた小林節慶応大教授も「違憲」と発言したが、同教授は元来改憲論者だ。こうした教授をも納得させられないほど、新安保法案がデタラメだということだ。
さらに、火に油を注いでいるのが最高裁の砂川判決を持ち出して、新安保法案を「合憲だ」と強弁している問題だ。この点については昨年7月1日に「集団的自衛権行使を容認する閣議決定」を行った際、抵抗する公明党を説得する時に持ち出した「理屈」だったが、同党に「無理がある」と拒否された経緯がある。一旦引っ込めた「根拠」を、追いつめられたあまり、またぞろ持ち出して、「合憲の根拠にする」という醜態をさらしているのが、安倍政権だ。
そもそも砂川判決では「集団的自衛権問題」など、1ミリも検討されていない。「ただ日本国には自衛権がある」という文言を、事件の経緯や裁判上での議論をまったく無視して、切り取って安保法案合憲の根拠に使うという、およそ議論の前提を欠いた暴論だ。
「許すな改憲!大行動」の代表呼びかけ人である鈴木達夫弁護士は「こんな砂川判決に依拠するほかに戦争法案の正当性を主張できない安倍政権はぼろぼろだ。それが今やあらゆる人びとの前に明らかになってきている」と弾劾している。
さらに、自民党若手の勉強会に招かれた右翼・百田尚樹が「沖縄の2つの新聞をつぶせ」と講演し、それに応えて大西英男議員が「誤った報道をするマスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番。経団連に働きかけて欲しい」などと発言して、人びとの怒りをかった。百田発言にしろ大西発言にしろ、安倍首相の思想そのものだ。
このように危機に立つ安倍政権は、どんな手段を使っても安保法制をゴリ押しするしかないところに追いつめられている。通常国会を9月27日まで95日間も延長して、仮に参議院で採決されなくてもいわゆる「60日間」ルールで衆議院の採決が優先されるよう、画策している。こんな姑息なやり方を7・15国会闘争の爆発で粉みじんに打ち砕こう。7月こそが衆議院採決を粉砕する大決戦だ。7・15国会前闘争を基軸に、60年、70年を上回るような安保闘争を実現し、労働者人民の力で粉砕しよう。安倍は今回の安保法制攻撃で失敗すれば、憲法改正は永遠に不可能となるとのどんづまりの危機から、法案に正当性があろうがなかろうが、力ずくでも戦争法案成立を強行する構えだ。
6月15日に全学連が呼びかけた国会前行動を頂点に、6月14日、24日と連日人民の闘いの波が国会周辺をおおっている。安保法制は何よりも朝鮮半島有事を具体的な射程に入れた侵略戦争法案であることを鮮明にして、戦後史上最大の決戦を爆発させよう。