北総の空の下で 民衆の底力 〝人は石垣 人は城〟

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週刊『三里塚』02頁(0922号02面05)(2015/06/22)


北総の空の下で
 民衆の底力
 〝人は石垣 人は城〟


 えぇ⁉1週間後に判決? しかもこれまで避けてきた出荷日で、傍聴席の少ない警備態勢重視の法廷です。裁判長の意図が見え見えなだけに、現地に緊張が走りましたが、相手側の恐怖も透けて見えます。3万に手の届くところまできた署名の第5次分を裁判長に突きつけて、当日は緊急デモから裁判に臨みました。
 私は、市東さん、萩原さんと雨の中、きゅうりやなすを収穫して、各戸ごとに詰め合わせてから裁判所に駆けつけました。5月は高温でよく晴れて適度に雨もあったので、春野菜は順調に育ちました。この畑の野菜でみんなとつながっている、この労働で生きるための食糧が生み出されている―そんな自負があるから、理不尽な裁判も粘り強く闘い続けることができます。
 判決は、署名の偽造など空港会社の違法の数々には一切触れることなく、農地取り上げを認める全く不当なものでしたが、さすがに仮執行までは付けられず、闘いは最高裁に移りました。結局積み上げた署名が裁判長の乾いた心にしみ込む事はありませんでしたが、多くの出会いが私たちを強くしました。「人は石垣人は城」です。今、世の中のいたる所で動と反動がせめぎあっています。国会で戦争法案をめぐって、辺野古新基地建設をめぐって、原発再稼働をめぐって、原発裁判をめぐって、TPPをめぐって、成田の第3滑走路をめぐって民衆の底力がじわじわと権力者を追いつめています。
北里一枝
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