TPP首席会合が物別れ 3月に閣僚会議を開けず
週刊『三里塚』02頁(0916号02面06)(2015/03/23)
TPP首席会合が物別れ
3月に閣僚会議を開けず
(写真 渋谷・ハチ公前で行われた反TPPアクション【3月3日】)
TPP交渉がいよいよ〝漂流の度〟を深めてきた。安倍政権による対米対抗的な戦争・改憲政治ともあいまって、日米間の争闘戦が激化し、参加12カ国の内、経済規模で8割を占める日米協議が決着しないことが大きな理由だ。
「TPP妥結間近」の報道はくり返し行われてきた。昨年5月1日、米通商代表(USTR)のフロマン代表は米上院公聴会で「日米両国はともに重要な一線を越えた」と証言した。同5月6日、日本の甘利明TPP担当相も「TPPの道筋が見えてきた」と楽観的見通しを語っていた。マスコミも「TPP4条件同時決着なるか」などとキャンペーンに務めた。
ところが、同月末の閣僚会合では「大筋合意難しく」と後退した。
次の山場が8月から9月にかけてだった。8月5〜6日に行われた日米実務者協議は、TPPの成否をかけて何としても合意へこぎつけることを目標に、牛・豚肉の関税と輸入制限措置(輸入が急増した際に関税を元に戻すこと=セーフガード)を中心に踏み込んだ議論を行ったが、むしろ日米間の対立を一層浮き彫りにすることとなった。
さらに11月4日の中間選挙で共和党が勝利したため、「TPP交渉は前進する」という見方が広がったが、米国内でのTPP反対は根強く進展しなかった。その時点で「来年2月までに展望を示さないと、後半には米大統領選挙の予備選挙が始まることもあり、TPP交渉は漂流する」とされていた。しかし、その2月もとうに過ぎた。
そして、3月5日、6日の日米実務者協議も進展がなく、3月12日から15日までハワイで開かれた首席交渉官会合も停滞、ついに「是が非でも」と意気込んでいた閣僚会議の日程すら発表できない危機に追いつめられたのだ。「TPP交渉は妥結できるのか」という危機感が急速に高まっている。
こうした背景には大恐慌下で進行する世界経済の分裂化・ブロック化がある。同時に、全世界の労働者・農民のTPP反対の闘いがある。日本では全国農民会議、三里塚反対同盟をはじめとした農民・労働者・市民の怒りだ。
3月3日には「STOP TPP! 官邸前アクション」が渋谷駅ハチ公前で行われ、「TPP合意を許すな」と訴えた。漂流するTPP交渉は粉砕できる。怒りの声をさらに拡大し闘いを強めよう。