新ヤグラ裁判が始まる NAAに収去請求権なし
週刊『三里塚』02頁(0914号02面04)(2015/02/23)
新ヤグラ裁判が始まる
NAAに収去請求権なし
2月16日、千葉地裁民事第2部(岸日出夫裁判長)において新やぐら裁判が開始された。この裁判は、NAAが反対同盟に対して、市東孝雄さんの天神峰畑に立つ反対同盟の監視やぐらや大看板など4つの工作物の収去と、その底地の明け渡しを請求してきたものだ。 もともとNAAは、市東さん農地裁判でこれらの物件を市東さんのものと主張し続け、千葉地裁多見谷裁判長は事実誤認のまま市東さんに対する請求として明け渡し判決した。
それを今になって変更したのは、反対同盟が提訴した旧やぐら裁判(千葉地裁民事第3部)に追いつめられたNAAが反対同盟の所有権を認めざるをえなくなったからだ。多見谷判決のズサンさと破綻が明白になったものだ。
このように新ヤグラ裁判は、市東さんの農地裁判控訴審と一体であり、88年空港公団による違法な土地買収を暴き、市東さんの耕作権を守る闘いである。
弁論では新たな裁判開始にあたって、反対同盟を代表して北原鉱治事務局長の意見陳述と弁護団から答弁書の陳述が行われた。まず、西村正治弁護士が「NAAの請求は断じて認められない。NAAの土地取得は、農地法に違反しており、土地所有権を所有していない。反対同盟は、市東さんの承諾の下にヤグラ等を設置しており、これは正当な権利である」とNAAを弾劾し、法廷を圧倒した。
続いて、北原事務局長が証人席で意気高く意見陳述した(別掲)。北原さんが、法廷で陳述するのは10年ぶり。一言一言はっきりと、NAAの横暴を弾劾し、市東さんの農地を守ることを決意表明した。
争議団から、第1回目ということで本件裁判の争点と裁判官の姿勢を質す意見表明が行われた。「反対同盟に反動判決をおろしてNAAの代理人となった元裁判官・上野至が今原告席に座っている。このようなことがないように」との指摘に対して、岸裁判長は「退任後、NAAの代理人になるか、反対同盟の代理人になるかは、同じ確率だ」と、ふざけた返答をし、「円滑、法に照らして進めるので協力を」と衣の下の鎧(よろい)をのぞかせた。
北原事務局長の陳述(要旨)
「提訴は違法、却下を」私たち三里塚芝山連合空港反対同盟は1966年の一方的な空港計画決定以来、空港絶対反対・農地死守の闘いを貫ぬいて今年で49年目に突入しました。今なお空港の完成を阻止し続けています。
空港会社が明け渡しを請求している反対同盟所有の4つの工作物は、市東孝雄さんの承諾を得て建設されたものです。団結街道沿いの監視ヤグラは、違法不当な道路破壊、空港建設を監視するために建設したものです。旧小見川県道沿いの看板及び空港に隣接した大看板は、通行する市民や飛行機を利用する乗客に反対運動を広く伝えるためのものです。
誘導路に隣接するヤグラは、飛行機の排気ガス調査・健康被害調査を行うためのものです。いずれも重要な役割を持った工作物です。
本件は、別件の市東さんに対する違法・無効な土地明け渡し請求および建物収去請求控訴審の裁判と一体のものです。地主ではない空港会社による反対同盟への本件の明け渡し請求は違法・無効であり、直ちに却下するよう求めます。