TPP 大幅譲歩で3月妥結狙う 牛・豚肉、コメ農家犠牲に

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週刊『三里塚』02頁(0913号02面03)(2015/02/09)


TPP 大幅譲歩で3月妥結狙う
 牛・豚肉、コメ農家犠牲に

(写真 TPP締結にむけた動きの強まりに対して、首相官邸前で反対の声をあげる労働者・市民【2月3日】)

 TPP(環太平洋経済連携協定)の妥結にむけた動きが強まってきた。アメリカが2016年に大統領選挙を迎え、日帝・安倍政権が同じく参議院選挙を迎えるため、年内の早い時期に、締結へのメドをつけないと、TPP交渉そのものが崩壊するとの危機感からだ。主に日帝の譲歩による日米交渉妥結の狙いが露骨になってきたのだ。
 1月14日から16日まで、行われた日米実務者協議で、焦点となっていた牛肉・豚肉の関税問題で「合意にむけ前進があった」と報じられた。その後、豚肉は4・3%の関税を撤廃し、牛肉は38・5%の関税を9%にまで下げる譲歩を日本側から行っている、との情報が流された。それに加えて、米でも新たに年5万㌧の特別輸入枠を設定する譲歩を行っていることも明らかになってきた。
 これらに踏まえて、2月3日から5日まで、アメリカで再び日米の事務レベル協議(大江博主席交渉官代理とカトラー米通商代表部次席代表代行)が始まった。この協議で、月内の日米閣僚協議開催の実現にむけた地ならしを行おうとしている。そして「12カ国による3月までのTPP交渉妥結」が狙われている。
 これに対して、農民、労働者、消費者、弁護士、大学人たちの反撃の闘いも猛然と巻き起こっている。2月3日、静岡県弁護士会が「TPPは食の安全・安心などの国民の利益を害するばかりでなく、日本国憲法の基本原則や基本的人権を侵害する恐れが極めて高い」とTPP締結に反対する声明を発した。「STOP TPP! 官邸前アクション」も2月3日に闘われ、安倍首相にむけて「TPPより命が大事」「農業つぶすTPPはいらない」とシュプレヒコールを行った。
 「TPPからの即時脱退を求める大学教員の会」が中心となって、シンポジウムが検討され、TPPに反対する市民たちも3月上旬に行動を起こす予定だ。
 全国農民会議共同代表の小川浩さんは、現在の米価暴落にさらに拍車をかける「5万㌧の輸入」に対して、「とんでもない。労働者だけでなく農民も闘わなければ生きていけない時代がきた」とTPP妥結への動きを弾劾した。新自由主義推進で社会全体を破壊するTPP阻止へ闘いを強めよう。
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