仏情勢の本質 「反テロ」「表現の自由」叫び 戦争煽る帝国主義弾劾
週刊『三里塚』02頁(0912号02面03)(2015/01/26)
仏情勢の本質
「反テロ」「表現の自由」叫び 戦争煽る帝国主義弾劾
(写真 イスラム人民の怒りに火をつけたイラク戦争【2003年】)
フランスのパリで1月7日、風刺画を〝売り物〟とする週刊紙「シャルリー・エブド」がムスリム勢力によって襲撃され、記者ら12人が死亡した。仏帝国主義・オランドを先頭に「表現の自由への挑戦だ」「許しがたいテロ」との扇動がなされているが、本末転倒だ。この事態の本質は、「風刺」によるイスラムへの差別扇動と、帝国主義のイラク・シリア侵略戦争へのムスリムの根底的怒りが爆発したものだ。
11日には、「言論の自由をテロから守るための国民統一行動」と称してデモが呼びかけられ、オランド、英キャメロン、独メルケルらを始めイスラエル・ネタニヤフ、パレスチナ・アッバース、ウクライナ・ポロシェンコら世界の首脳40人が並んだ。自らの侵略、民族抑圧にほお被りした卑劣な居直りだ。
シャルリー・エブドとは極右の国民戦線を批判する一方で、ユダヤ教やキリスト教(カトリック)をやゆしてきた。特にイスラムでは禁じられているムハンマドの絵を「風刺画」と称して載せてきた。それ自体がイスラムへの冒とくだ。「風刺」と言うならばそれは権力・支配者に向けられて初めて意味を持つ。
フランスを始め帝国主義諸国は、この事件をイスラムへの排外主義の扇動に利用し、大恐慌下での労働者階級の決起を抑圧し、国内の階級矛盾を外に転嫁し、すでに開始されているイラク・シリア侵略戦争を激化させ、全面的な中東侵略戦争、世界戦争の引き金を引こうとしているのだ。
そもそもアルカイダや「イスラム国」などムスリム武装勢力は、帝国主義の歴史的な抑圧・侵略・戦争と、スターリン主義への絶望が生み出したものだ。問題は万国の労働者の団結と自己解放の闘いであり、マルクス主義の豊富な展開だ。階級的労働運動と国際連帯の発展を基礎とした反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利こそが、苦悩するイスラム人民に応える道だ。
1月19日、「イスラム国」による日本人人質事件が発生した。安倍首相は、新年早々から戦火渦巻く中東を年頭の訪問国に選択し、「積極的平和主義」の名の下に、イラク・シリア侵略戦争に介入し、イスラム敵視行動に踏み込んだ。事件は安倍政権の「地球儀外交」なるものが、戦争と抑圧の別名であることを衝撃的に突き出した。戦争と改憲の安倍政権打倒へ、5月安保国会へ、猛然と闘おう。