反対同盟・農民会議新春座談会 市東さんの農地死守・安倍政権打倒! 〝2015年に勝負をかける〟 3・4控訴審弁論〜3・29全国集会へ
反対同盟・農民会議新春座談会
市東さんの農地死守・安倍政権打倒!
〝2015年に勝負をかける〟
3・4控訴審弁論〜3・29全国集会へ
結審・判決許さない 市東
全国集会成田市内で 萩原
3万署名必ず達成 伊藤
安倍農政粉砕する 小川
2014年、反対同盟と三里塚闘争は、萩原進事務局次長の急逝という試練を乗り越え前進する成果をかちとった。事務局による集団指導体制が確立され、闘争全体を牽引し始めたことが決定的だ。市東さんの農地裁判では東京高裁による早期結審策動を粉砕し、耕作権裁判での文書提出命令攻防で完勝した。さらに、「第3滑走路計画」を軸とする空港機能拡張を狙う攻撃に対して周辺一斉行動の大きな前進をかちとった。15年は東京高裁での結審策動〜判決と激突する勝負の年だ。衆議院選における大勝利をバネに2010年代中期階級決戦の前進を切り開こう。15年決戦の勝利にむけて、反対同盟3氏と全国農民会議の農民に大いに語り合って頂いた。
《新春座談会出席者》
市東孝雄さん(敷地内・天神峰)
萩原富夫さん(敷地内・東峰)
伊藤信晴さん(芝山町・白桝)
小川浩さん(全国農民会議)
司会 週刊「三里塚」編集委員会
――14年は萩原進事務局次長の急逝という中で始まりました。
萩原 本当に愕然(がくぜん)とした。「俺は農業で萩原家を支えてきた。その俺におやじの後を継げるのか、どうしたらいいんだ」という思いだよね。だけど市東さんの農地を守る闘いを投げ出すわけには行かない。幸い、家族と率直に相談したら「農地を守り抜く」という結論で一致できて踏ん切りがついた。
市東さんはじめ反対同盟の団結に助けられた。
市東 本当に衝撃だった。1月12日の旗開きで「進さんの遺志を継いで闘いぬく」と宣言はしたものの、不安だった。
伊藤 やはり俺は、市東さんが微動だにしない姿を示してくれたことで、打撃を克服することができたと思う。
小川 萩原さんの存在は本当に大きかったからショックだった。進さんとは多くの思い出がある。議論もやってきた。家族である富夫さんの厳しさを思った。家族にとっても大黒柱だから「家族ぐるみ」と口では言うけど、簡単じゃないからね。
――やれそうだ、という手ごたえをつかんだのはいつごろですか。
市東 事務局4人で会議を定期的に持って議論を深めていこうというやり方にしたことが大きかった。積極的な意見を出してくれ、議論することで知恵も出てくる。
萩原 おやじの時は一人で引っ張るというスタイルだったけど、欠点もあったわけだよ。だから、事務局が一体となって方針を出していく、結果的にはこれしかなかったと思うけれど、それが〝ケガの功名〟の効果になった。一人一人の力を出せるようになった。
伊藤 確か、4月に3・23全国集会〜3・26弁論をやりぬいた総括の会議を現地支援みんなも交えてやったでしょ。あれは三里塚闘争でも初めてじゃない。
萩原 3月の2つの闘いをやり切れるのか、というのが一つの課題としてあって、一応成功させられたので、俺の方から提案して、総括の話し合いをもった。総括って大事だと思うんだよね。
市東 富夫君はつらかったと思う。その後のがんばりは立派だったよ。
――具体的に振り返って頂きたいのですが、まず市東さんの裁判闘争ですが。
市東 これ以上ない、というぐらい頑張ったと思うよ。勝利感を感じている。弁護団の奮闘、もちろん反対同盟、労組や農民会議、市民団体、学生たちの奮闘もあって、押しに押したというのが実感だ。東京高裁では「一発結審もある」と言われていた中で、3回の弁論をやらせ中身でも圧倒した。
もう一つ決定的だったのは耕作権裁判での文書提出命令をめぐる攻防で完勝したでしょ。あんな勝利もなかなかないんじゃない。
「農地取り上げに反対する会」、これには群馬も沖縄も含むんだけど、やはり心の支えになっている。
一方で、裁判に出てくるNAAや千葉県の代理人のデタラメさには本当に腹が立つ。「最後は裁判長が救ってくれるでしょう」という露骨な態度だからね。法律や裁判というのは弱者の味方じゃないね。
伊藤 3万署名を評価したい。身を粉にして本当にがんばった。
萩原 本当に3万人署名の闘いが大きかったと思う。1回目の8019筆も、想像以上の数だった。2回目、3回目とそれぞれ約5000筆ずつ集め、提出できた。内心不安がなかったわけじゃないけど、動労千葉や動労水戸そして関西生コン支部など労働者の組織的取り組みに感謝している。
伊藤 私も東京の労組を回ったり、反原発集会など、それから成田や千葉の駅頭でずいぶん街頭に立った。三里塚という力はやはりすごいと思った。それと支援のがんばりだよ。東京高裁前で早朝ビラまきをやり、その後上野公園などで署名を集める、あの行動を十何回やったでしょ。
小川 去年のこの座談会で「まだまだがんばりが足りない」みたいな発言をしたけど、今年は本当にやり切ったという実感が持てる。東京高裁では貝阿彌誠裁判長から小林昭彦裁判長に代わって、10月8日の弁論では、一見柔軟な態度を見せていたけど、実際はどうなんだろう。
市東 油断できないよ。総選挙でも自民党の大勝が予想されているから、これは農地裁判にも影響してくると思う。
一斉行動の成果
――そして3・23、10・12の全国集会を打ち抜きました。
市東 3月は萩原さんの遺言でもあった「霞が関に攻め上る」の突破口を切り開いたね。その後霞が関〜東京高裁を包囲した。10月の集会ではやはり「集団的自衛権行使」の安倍政権の戦争政治に対する意味が大きかったんじゃないかな。
萩原 自分も「三里塚は反戦反権力の砦として闘っていく」と決意表明した。7月13日の第3滑走路を許さない現地デモが新鮮だったよ。
――その「第3滑走路」と空港の24時間化、4万回の増便などの攻撃、それに対する周辺一斉行動をやりぬき成果が出始めています。
市東 成田空港に未来はないよ。年間30万回だ、34万回離着陸だなんて言ったって、今現在22万回。これ以上増えるはずもない。9月の決算では航空部門で30%も減益。それでも必要のない滑走路建設をやってくるのが安倍政権だ。これに、支援連を含めよく闘ったよ。一斉行動も地道だけど大きいね。「成田空港第3滑走路実現する会」の4月の設立総会も弾劾行動を行った。確か、9月の黒野元社長の講演会も弾劾したよね。
伊藤 30万人署名なんて吹いていたけど、いくら集まっているのか、発表もできない状態だ。
萩原 農作業の忙しさもあって大変なんだけど、一斉行動をやり切った。もう20回だからね。住民が成田市に説明会を要求するなど具体的に成果も現れている。
伊藤 国交省やNAAは成田の地盤沈下を食い止めるのに必死だから攻撃を強めざるを得ない。これを労農連帯で迎え撃とう。
――ここで、全国農民会議の小川さんから安倍政権の「農政改革」についてお願いします。
小川 まず米価の暴落。これは意図的な農業つぶしだ。安倍政権はコメを現在の16000円から4割引き下げると言って来た。つまり9600円。ところが今年の米の生産費はそれ以下の8000円。TPPをにらんだ意図的な政策だと思う。それと農協と農業委員会の破壊。なぜ農協を目の敵にしているか。農協に問題がないわけじゃないよ。だけどそれと農協をつぶすという話をごっちゃにしちゃいけない。結局、郵政の貯金に匹敵すると言われる農協マネーを狙っている。とにかく安倍農政は、特に米では一切政策を持たない。市場原理にまかせ、つぶして企業農業にして保護していた農家も軒並みつぶれていいという態度だ。市東さんの農地を守る闘いはこういう農業破壊との闘いでもある。
――2015年についてお願いします。
市東 本当に勝負の年だ、というのが実感だ。法廷は長くてあと3回でしょ。年内に判決が予想される。俺に明け渡せという農地は全体の7割にもなる。残った3割でどうやって農業、それも完全無農薬の農業を続けろというのか。まさに「死ね」という攻撃だ。だから「負けられない闘い」から「必ず勝つ闘いを」と訴えてきた。15年、労働者や農民、学生、市民との連帯をさらに強く、広くして、必ず勝ちたい。
萩原 市東さんの決意に何としても応える。3月の全国集会は、1968年以来47年ぶりに、成田のど真ん中で行いたい。多くの住民が注目する中でデモをやりたいよ。
それと一斉行動。成果は出てきているがまだまだ。部落での集まりとか映画会とかそういう形での成果を何とか実現したい。空港やNAAを直接対象にした行動をできないかと考えている。
伊藤 70年代には、周辺の町で20カ所以上の映画会をやったことがある。あの時のやり方を教訓にしてぜひ実現しよう。
――総選挙を含め情勢について。
小川 7・1の集団的自衛権の閣議決定、そして今度の総選挙で安倍の戦争政治が強まる。世界的に見ても、アメリカの力が衰え力のバランスが崩れてきている。安倍政権の戦争・改憲の政治はこの情勢に対応したものだと思う。反戦・反権力の砦としての三里塚の力を示すべき年だ。
萩原 三里塚闘争という場合、反戦闘争という位置が欠かせない。第3滑走路だって軍事用滑走路という面が強い。
市東 必要がない第3滑走路を造ろうという中には軍事使用という狙いが含まれているよ。
小川 農民会議もまだまだ力が足りないが、第3回総会を成功させて三里塚闘争の一翼を担っていきたい。
――ありがとうございました。