10・12全国集会へ 市東さんの「農地死守」は戦争阻む闘い 農地裁判3万人署名を貫徹し10・8高裁包囲を闘おう 反対同盟・萩原富夫さんに聞く
週刊『三里塚』02頁(0903号01面01)(2014/09/08)
10・12全国集会へ
市東さんの「農地死守」は戦争阻む闘い
農地裁判3万人署名を貫徹し10・8高裁包囲を闘おう
反対同盟・萩原富夫さんに聞く
千葉地裁民事第2部の耕作権裁判で闘われている文書提出をめぐる攻防で9月3日、文書提出命令の期限を迎えたが、成田空港会社(NAA)は、ついに文書を提出することができず、本裁判での畑の位置特定問題で、市東さん側の主張が認められる可能性が大きくなった。この耕作権裁判は控訴審が闘われている農地裁判と一体の裁判で、この勝利は農地裁判に大きな影響を与える。10・8控訴審第3回弁論闘争の位置が極めて大きくなった。3・26〜6・25弁論闘争を上回る結集で小林昭彦裁判長を圧倒しよう。その勢いで第3滑走路攻撃と真っ向から闘い、安倍政権打倒の先頭に立つ10・12全国集会に上りつめよう。これらの闘いは労農連帯の地平をさらに押し上げ、9・11郡山闘争の勝利から11・2労働者集会の成功をたぐりよせるものだ。3万人署名を貫徹しよう。反対同盟からのアピールとして今号は萩原富夫さんに話を伺った。
――前回3月の弁論闘争、全国集会から9月初旬までの闘いをどう見ていますか。
萩原 4月の初旬に第3滑走路の策動が浮上したことが、いろんな意味で闘いを活性化させている。「第3滑走路?」と聞いて誰しも首をかしげたと思う。「なんと荒唐無稽(こうとうむけい)な話か」と。しかし、きちんと向きあうと「絵空事」ですましちゃならない、重大な攻撃であることがわかってきた。
――4月30日に、商工会が「第3滑走路実現する会」を作りました。
萩原 だいたい「第3滑走路」などと言ったって、何かバラ色の展望があって出てきた話じゃない。いわゆるアジアの空港間競争に敗れ、2010年からの羽田の再国際線化以降、こちらとの競争でも勢いの差は歴然としている。
そして、2020年のオリンピックまでに年間発着枠を34万回に増便するなどと言っても、現在でせいぜい22万回。LCC誘致で国内線が増えたと言うが、見かけほどの利益にはならない。これが成田の現状だ。「第3滑走路」というのは、言ってみれば体裁を整えようということ。危機の裏返しでしかない。
その旗を振っているのが、こちらも尻に火が付いた地元の空港利権団体である商工会議所だ。同会議所は、1998年に暫定滑走路計画が出るのと同時に、当時「10万人署名運動」というのをやって、国交省とNAAを後押しした。今回も30万人署名を言い出したが、反対同盟と支援がその設立総会に対して、間髪を入れぬ弾劾行動を闘った。その結果、運動は完全に頓挫。「6月中に30万人」などと大口を叩いていたのが、9月になっても音沙汰がない。あの闘いがいかに効いているかが分かる。
反戦・反核の砦
――6月25日の控訴審弁論闘争が成功したと思いますが。萩原 1万3154筆の署名を貝阿彌(かいあみ)裁判長につきつけることができた。高裁包囲の闘いも成功した。その力を得て、毎回が結審との攻防である弁論闘争で、結審を阻み第3回、第4回の弁論闘争へ、闘いを前進させることができた。
――そこへ、貝阿彌裁判長の交代、という事態になりましたが。
萩原 やっぱり、この間の闘いで追いつめたということだと思うよ。交代した小林昭彦裁判長は、仙台地裁の所長で、司法制度改革にも関わった判事だというから油断ならない。弁護団の話ではとりあえずソフトな対応だというけど猫をかぶっている気がする。
――そして7・13闘争を闘いました。
萩原 7・13現地集会の成功が大きかったと思う。初めてのデモコース。東峰地区のすぐ隣なのに、交流がほとんどなく、働きかけを行ったことがない地域だった。自分自身もデモして、林あり、坂道あり、狭い道路ありのコースを知らなかったことに驚いた。「すごい勢いだった」「びっくりした」など大きな反響があった。
――耕作権裁判での文書提出命令をめぐって、9月3日、NAAが最終的に提出に応じなかったそうです。
萩原 今さら出せないよね。出しても出さなくても市東さん側の勝利は変わらないけどね。あれは本当に大きい。約50年も闘ってきたことの成果だよ。途中で闘いを辞めてしまえば、あんな文書偽造問題自体が明るみに出てないわけでしょ。
――10・8闘争が目の前に迫っています。
萩原 何といっても3万人署名を前進させたい。まだ、1万5千に達していない。9月に拍車をかけたい。現地の支援連は成田、公津の杜、佐倉や千葉、東京へと連日のように出かけて署名集めに必死になっている。全国のみなさんの特段の協力をお願いしたい。
――そして10・12全国闘争です。
萩原 安倍政権打倒の集会にしたい。彼の戦争と改憲の政治は本当に危険だ。「反戦・反権力の砦」としての三里塚の責任は重大だ。「第3滑走路」という話も安倍政権の新成長戦略の中から出てきたこと。そして2020年までの4万回増便、第3滑走路、そして最近は多古町長が暫定滑走路の1000㍍延長は北だと議会で答弁したことが報じられている。下総地区の騒音下に住む住民にとっては耐えられない話だと思う。
9月3日、全学連大会に言って若い諸君からエネルギーをもらってきた。親父がなくなって約9カ月。親父の遺志を継ぐことが弔うことだと思って、「その後を継ぐ」と決意したものの、プレッシャーは半端じゃない、というのが正直なところ。
だけど、三里塚闘争ももうじき50年。こんな闘争、世界にもそうそうない。韓国、アメリカ、ドイツ、台湾。国際連帯も深まっている。さらにあと50年闘う決意で気持ちも新たに前進したい。