北総の空の下で 萩原さんの新盆 「まだまだ!」と檄

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週刊『三里塚』02頁(0901号02面08)(2014/08/11)

北総の空の下で
 萩原さんの新盆
 「まだまだ!」と檄


 台風の影響で10日未明から断続的に降り続いた雨は、乾ききっていた畑に浸み渡り、ほっと一息つきました。中四国を縦断した台風11号が、日本各地に豪雨被害をもたらしたことを思うと、手放しでは喜べませんが......。
「今までに経験したことのない」―3・11以来よく耳にするようになったフレーズが今回も繰り返されました。屋根のみ水面から出ているビニールハウス、校舎の2階に達した泥水、千㍉を超す雨量のすさまじさが映像からも伝わります。年々激しさを増す豪雨は、自然現象にのみ帰する被害なのでしょうか?
 今年も、灌水できない畑では、ぶり返した猛暑で当面水不足に悩まされそうです。「子供の頃は夏にもっと時雨(しぐれ)があった。コンクリートを敷き詰めた空港の影響もある」と市東さん。
 資本主義は、自然と共存しながら営まれてきた生活を、わずか百年余で片っ端から破壊してきました。有限な自然資源を奪い合って戦争し、1%の富裕層を生み出す一方で、労働者・農民の生活と命を奪ってきました。
 露地栽培の有機農業は、この先さらに困難になるでしょうが、空港の侵略を許さない畑で、おいしい野菜を提供し続けることが、三里塚農民の闘いです。
 今年は、昨年末に急逝した萩原進さんの新盆です。この半年余、進さんの背中を追い、走り続けてきましたが、「署名が止まってる。まだまだ!」と叱咤激励する進さんの声が、線香の煙の中に聞こえました。
北里一枝

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