耕作権裁判 東京高裁が文書提出を命令 NAA ウソ通らず進退極まる

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週刊『三里塚』02頁(0900号02面02)(2014/07/28)


耕作権裁判 東京高裁が文書提出を命令
 NAA ウソ通らず進退極まる


 7月16日、市東孝雄さんの農地をめぐる耕作権裁判で、再び決定的な勝利がかちとられた。同裁判をめぐる文書提出命令の攻防で、東京高裁第7民事部・菊池洋一裁判長は、NAAの抗告を棄却、文書提出に応じるよう命令したのだ。
 耕作権裁判とは、市東家が耕作してきた天神峰南台41番地のうち、NAAが「農地の賃貸借契約のない不法耕作の場所」と決めつける畑について、その明け渡しを市東さんに求めて提訴し(06年10月)、千葉地裁で係争中の裁判だ。
 ちなみに東京高裁で争っている農地裁判は、同じ天神峰南台41番地のうち、NAAが「契約地」と認めた部分について、「解約許可」手続きで賃借権を奪い、その上で、「賃借権がなくなったのだから農地を明け渡せ」と求めている裁判だ。
 この耕作権裁判では2012年10月5日に、当時の白石史子裁判長が一部だけ文書を開示したのに対して、市東さん側が「全部開示すべきだ」と東京高裁に抗告した。この時点から審理はストップし、13年3月の東京高裁・高世三郎裁判長による原審差し戻し決定などを含め、1年9カ月も経過している。
 問題となっている文書とは、1987年秋から88年4月にかけて、NAAが市東さんの農地の旧地主藤﨑政吉氏との農地買収交渉に関わる報告書や会議録などの書類をいう。千葉地裁〜高等裁判所は、市東さん側の抗告による文書提出要求に対してこれを認め、NAAに文書提出を命じてきたが、NAAは「そのような文書は存在しない」とシラを切り通し続けて、約2年間もの攻防になっていた。
 文書が示すものは、41―9番地をめぐるもので、NAA側が畑の位置の特定をめぐって、故市東東市さんの署名や印鑑を偽造して、偽造文書を作成した経緯が判明する内容だ。だからNAA側は絶対に出せない。今回の抗告でも「探したけど見つからなかった」というさらなるウソで、主張の破綻をとりつくろおうとした。しかし、菊池裁判長は、NAAに対して、「探したがなかったという弁解は認められない。文書はあるはずだ。それを提出せよ」と、NAAの抗告を棄却したのだ。菊池裁判長が「文書はあるはず」とした理由は、市東さん側が提出した別の現闘本部裁判での証拠文書だった。現闘本部の撤去にむけた用地買収交渉(相手は故石橋政次副委員長の遺族)を、NAAは藤﨑氏交渉と同時期に行っていた。ところがこちらの交渉記録は詳細に残っており、現闘本部裁判の法廷に提出されていた。今回の応酬で、主張を裏付ける強力な資料として市東さん側から高裁に提出されていた。菊池裁判長は抗告棄却決定文の中でこのことを明示に指摘して「弁解は認めることができない」と改めて文書提出命令を行ったのだ。
 NAAは決定的な窮地に追いつめられた。もし従来通り「もう一度探したけどなかった」などという子どもじみた言い訳を押し通そうとすれば、肝心の畑の場所の位置特定攻防で、自らの主張の根拠がなくなる。主張は「却下」されるのだ。仮にしぶしぶ文書を提出すれば偽造の犯罪行為が暴露される。まさににっちもさっちもいかないのだ。この耕作権裁判は現在控訴審闘争が闘われている農地裁判と表裏一体の関係にあるため、勝利への決定的な援軍となる。NAAは最高裁に「許可抗告」をし、救いを求める悪あがきを開始した。断固粉砕しよう。
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