6・25農地裁判控訴審 貝阿彌裁判長の「結審」を粉砕 労農学170人が霞が関デモ 「集団的自衛権」の暴挙に反撃を 10・8弁論闘争を闘い10・12全国決起集会へ

週刊『三里塚』02頁(0899号01面01)(2014/07/14)


6・25農地裁判控訴審
 貝阿彌裁判長の「結審」を粉砕
 労農学170人が霞が関デモ
 「集団的自衛権」の暴挙に反撃を
 10・8弁論闘争を闘い10・12全国決起集会へ

(写真 午後2時、市東さん【前列左から3人目】を先頭に5135筆の署名簿を携え高裁第19民事部へむかった【6月25日】)

(写真 170人の労農学が東京高裁包囲の霞が関デモを貫徹、貝阿彌裁判長の結審策動を打ち砕いた【6月25日】)


 7月1日、日帝・安倍政権は「集団的自衛権行使」という憲法破壊に踏み切った。「改憲手続き」をへずに強行したところに安倍政権の危機が表れている。世界大恐慌の深まりの中で生き残りを図る安倍政権はクーデター的手法に訴えてきたのだ。国家権力が無法を尽くして人民の権利を破壊してきた時、これを打ち破る力は人民の闘いの中にある。これこそ三里塚闘争が48年貫いてきた闘魂の核心だ。緊迫した情勢の中、6月25日、反対同盟と労農学は市東さん農地裁判の第2回控訴審闘争を闘い、高裁・貝阿彌(かいあみ)誠裁判長による結審策動を粉砕した。この闘いに続き第3滑走路阻止、市東さんの農地死守の7・13三里塚現地闘争を闘った。

発着枠の4万回増絶対反対

 6月25日、反対同盟を先頭とする労農学は、市東さん農地裁判控訴審の第2回弁論闘争に断固決起し、東京高裁第19民事部・貝阿彌(かいあみ)誠裁判長を追いつめた。 まず、朝8時より支援連が東京高裁前に登場し、情宣活動を行って闘いの火ぶたを切った。この日は特定秘密保護法違憲裁判の第1回口頭弁論が行われる日で多数の支援者と合流した。
 午前10時30分からは、反対同盟や動労千葉も参加してのフリートーク。 11時30分から日比谷公園霞門近くで集会。北原鉱治事務局長は、「なぜ成田は48年間も闘いが続いているのか。成田空港はなぜ完成しないのか。政治が間違っているからだ。市東さんの農地を奪うことは断じて許さない」と訴えた。動労千葉の田中康宏委員長、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会の発言を受けて、正午から、東京高裁包囲デモに出発した。170人が霞門を出て皇居方向に向かい、検察庁、警視庁前、高等裁判所前を席巻するデモ行進を戦闘的に打ちぬいたのだ。

署名5135筆を高裁に提出

 午後2時、横断幕をかかげて署名提出行動を行った。3月26日の第1次署名提出からさらに5135筆を提出した。第1次分と合わせて1万3154筆だ。
 午後3時、100人もの傍聴者で満席となった102号法廷で弁論が始まった。冒頭、貝阿彌裁判長が成田空港会社(NAA)、千葉県、県知事の代理人に向かって控訴答弁書の提出を確認しようとしたその時、葉山岳夫弁護士が「裁判長!」と異議をはさんだ。「われわれの控訴理由書に対し、答弁書は具体的な反論は皆無で、〝一審判決の通り〟と繰り返すのみ。こんなものは認められない」と鋭く批判した。裁判長は、「原判決に付け加えることがないというなら、それはそれで一つの主張だ」と擁護を試みたが、弁護団は追及の手を緩めなかった。「こちらは新たな事実を述べ、新たな法律論を展開した。それに一言も触れないのはおかしい」「187㌻の理由書に対し、答弁書がたったの数ページ。反論の体をなしていない」「NAA・県が裁判所の判決を当てにして、議論することを放棄している。こんな裁判はない」
 この応酬で裁判長、NAA・千葉県を圧倒しつつ、弁護団は前回に続いて控訴理由書の要旨の陳述を行った。
 「祖父の代から100年近く耕作し、実質上の自作地になっている農地を、耕作者の同意なく秘密に売買したことは違法・無効だ」「農地法を悪用した農地強奪は、『耕作者に権利がある』とする農地法の基本原則に反する」――。
 弁護団は裁判長の制止をはねのけて約1時間の陳述を貫徹した。裁判長は弁護団と傍聴団の迫力に圧倒されつつも「主張の補充はあるのか。これで尽きているのか」と聞き、早期結審への露骨な意図を示した。次回を10月8日として閉廷した。 日比谷図書文化館のコンベンションホールを会場に、報告集会が開かれた。北原事務局長に続き、市東孝雄さんがあいさつした。「今日は弁護団が間髪入れず裁判長の訴訟指揮を止めたことが決定的でした。早期結審を許さず闘います」
 市東さんの決意に応えて、弁護団全員が法廷での闘いを振り返り決意を述べた。動労千葉の川崎昌浩さん、全国農民会議の小川浩さん、関西実行委、市東さんの農地取り上げに反対する会などが連帯発言を行った。
 最後に、事務局の萩原富夫さんが7・13現地闘争への結集と3万人署名運動を熱烈に訴え、全体が熱い拍手で確認した。

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市東さんら反対同盟と労農学団結の勝利

 6月25日の市東さん農地裁判・控訴審第2回弁論闘争は、市東さんを先頭とした反対同盟および顧問弁護団、そして動労千葉をはじめとした労働組合、さらに農民、市民、学生の大結集で成功し、貝阿彌裁判長の結審策動を粉砕した。
 勝利を導いた第一は、市東さんを先頭とした反対同盟およびともに闘う支援そして弁護団の決起だ。反対同盟は3月26日の第1回弁論闘争の成功をもって、萩原進事務局次長なきあとの反対同盟の活動と闘いの推進について自信を深めた。 
 定期的な事務局会議の開催、闘争の総括論議など、地道な取り組みを積み重ねるとともに、去年の5月から欠かさずに行って来た毎月の周辺一斉行動、3万人署名の貫徹をめざした計20波におよぶ街頭や各種集会での署名行動......。
 忙しい農作業や仕事の合間をぬっての粘り強い決起が6・25の成功をたぐり寄せた。
 そして、こうした反対同盟の決起を支えた現地支援の奮闘が大きい。
 第二は、6・8国鉄大集会に示された、最高裁寺田体制の司法反動を打ち破って、国鉄1047名解雇撤回をあくまで求めて闘いぬく動労千葉の闘い、およびこれと一体の国鉄全国運動の前進に示される労働者階級の決起を土台とし、基軸として6・25控訴審闘争を闘いぬいたことである。この日動労千葉は田中康宏委員長、長田敏之書記長を先頭として組合員多数が参加して労農連帯のきずなを強めた。
 全国農民会議の仲間の決起も決定的に勝利を支えた。
 第三は、3万人署名への全国の支援の取り組みだ。動労千葉や動労水戸は真っ先に昨年を上回る署名を届けてくれた。これが反対同盟、支援を勇気づけてくれた。さらに、関西からは関西生コン支部を中心にした労働組合が全力で署名運動に取り組んでくれた。こうした三里塚闘争陣形の拡大こそが、6・25闘争の成功を実現したのだ。
 反対同盟事務局は7月2日に会議を開いて6・25闘争の勝利を確認した。次は10・8控訴審〜10・12全国集会の成功だ。
 三里塚闘争をめぐっては、安倍の「成長戦略」のもとで、成田空港発着枠の4万回増便(2020年までに)および第3滑走路建設の攻撃が本格化している。
 特に4万回増について、われわれは警鐘を乱打しなければならない。この問題についてNAAの夏目誠社長(元JR東日本副社長)は、6月26日の記者会見で、従来発着枠を増やすたびに行って来た騒音下住民への説明を「やるつもりはない」と居直った。
 すでに成田空港は、「4万回増便」への管制方式の変更は終了しており、「高速離脱誘導路」も短期間でできる。攻撃は切迫しているが、離着陸時間の拡大には周辺住民の同意が必要だ。第3滑走路計画、4万回増便に警鐘を乱打し周辺住民とともに阻止の闘いを強めよう。
 三里塚闘争は安倍政権による戦争突入、成田空港の軍事基地化、空港インフラ政策と最前線で対決する戦場となった。これは農地強奪攻撃と一体だ。市東さんの農地死守攻防がますます決戦化する。2010年代中期階級決戦は勝利的な地平を切り開きつつある。こうした闘いと一体で10・8第3回弁論での結審策動阻止〜10・12全国集会の爆発、3万人署名のさらなる前進をかちとろう。

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≪三里塚闘争裁判≫
●7月24日(木)鈴木一坪裁判
 午前10時30分 千葉地裁
●9月2日(火)天神峰やぐら裁判
 午前10時30分 千葉地裁
●9月16日(火)第3誘導路裁判
 午前10時30分 千葉地裁
●10月8日(水)市東さん農地裁判
 控訴審 午後3時 東京高裁

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