LCCがついに重大事故 ピーチ航空 那覇空港であわや墜落
週刊『三里塚』02頁(0895号02面02)(2014/05/12)
LCCがついに重大事故
ピーチ航空 那覇空港であわや墜落
(写真 4月28日に起きたピーチ航空機事故の説明図。那覇空港手前約7㌔で、機体は海面すれすれの75㍍まで急降下し、あわや墜落という事故をおこした)
4月28日、新石垣空港発那覇空港行の格安航空(LCC)ピーチ・アビエーション252便(乗員乗客59人)が、那覇空港に北側から着陸する際、海面75㍍にまで異常接近し、墜落寸前の事故を起こしていたことが分かった。国交省事故調査委員会は「重大インシデント」に指定、調査を開始した。
NAAが2012年以来、成田空港の空港間競争での敗勢を、LCCの誘致で挽回しようとしてきたことに対して反対同盟は、「コストをぎりぎりまでにカットしたLCCは危険極まりない。必ず重大事故を起こす」と警告してきた。そのとおりの事態がついに発生したということだ。
特にピーチ社は日本に3社あるLCCの中でも〝優等生〟とされてきた。唯一関西空港(24時間運航)を拠点にしているため、運航計画に余裕を取ることができ、欠航率などで、他の2社(ジェットスター社、バニラエア社)よりも優位に立ってきた。
そのピーチ社が起こした今回の事故は、それだけ深刻だ。ピーチ社のデタラメぶりは事故だけにとどまらなかった。ピーチ社は事故を起こした機体と乗務員を運航中止にするのではなく、なんとそのまま継続させ、那覇空港から関西空港行の便として運航させていた。
LCCの機材と運航スケジュールはぎりぎりまで切り縮められている。そのため、1つの機材をとことん使い回しすることで成り立っている。午前11時45分に事故を起こしたA320機は、この後も何回かフライトすることがスケジュールに組み込まれていた。那覇空港で運航停止にできなかったのだ。その後のフライトをキャンセルすれば、多数の予約客に重大な影響が出、キャンセル料が発生する。まさに「命より金」の思想が骨の髄までしみ込んだLCCだからこそ、事故機の運航を継続するという、ありえない暴挙まで行うことになった。
運航を継続したため、事故調査に必要な操縦室での会話記録が消失した可能性が高いと報じられている。
ちなみにピーチ社は事故を起こす直前の4月24日、機長の人員が足りず5〜10月に最大で2058便を欠航にする、と発表したばかりだった。ここにも究極のコスト削減で、利益をむさぼるLCCの腐りきった姿が表れている。
韓国で起きた旅客船セウォル号の重大事故、2005年に起きたJR西日本の尼崎事故と同じ新自由主義政策のなれの果てが、今回のピーチ事故だ。
他のLCC2社の危険性も推して知るべしだ。このような危険極まりないLCCに頼ることでしか延命の道を探れないNAAと成田空港の未来も絶望的だ。市東さんの農地裁判における3万人署名運動を前進させ、6・25控訴審闘争を爆発させて成田空港を廃港に追い込もう。第3滑走路策動を粉砕しよう。