北総の空の下で 市東さんの陳述 「農地は唯一無二」
週刊『三里塚』02頁(0893号02面07)(2014/04/14)
北総の空の下で
市東さんの陳述
「農地は唯一無二」
小松菜があっという間に花茎を伸ばして、黄色の花盛りです。葉物野菜の大半はアブラナ科で、春にはどれも菜の花になります。
今年は市東さんで巻かない白菜がたくさんできたので、始めて菜花で出荷しました。淡い黄緑で癖のないやさしい味です。
のら坊菜は花茎を食べる野菜で、萩原富夫さんが、地種を取り寄せて、自家採種で作り続けています。「その土地に合った野菜になるまでには時間がかかるけれど、F1種には無い味わいがある」、と富夫さん。大手種苗会社に管理されない独自の種を増やしていこうと意欲的です。
忙しさが加速していく4月、農作業の手を動かしながら、市東さんの意見陳述の重みを反芻(はんすう)しています。〝何度も改良を重ねた畑は私の身体の一部です〟 〝私の農地から生まれる作物が、多くの人々の支えとなっていることに誇りを感じています〟―農地はたゆまぬ労働の賜物です。何物にも代え難い唯一無二のものです。この陳述が裁判長を突き動かすための援護射撃として、署名の数を積み上げていきたいと思います。
もう一つ、3・11福島集会で魂を揺さぶられた言葉があります。農民が友人の農家から託された言葉です。「福島で農業を続けることは今も非常にきびしい。でも南海トラフ大地震が起こったら私たちは食糧を届ける覚悟があります」―福島から差し延べられた命のバトンの何と重いことか!
北里一枝