“減反”廃止を許すな 農業破壊に走る安倍政権

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週刊『三里塚』02頁(0889号02面02)(2014/02/10)


 “減反”廃止を許すな
 農業破壊に走る安倍政権

(写真 減反廃止によって日本農業の基幹である米作りは壊滅的な打撃を受ける)

 日帝・安倍政権による農業・農民切り捨て攻撃が強まっている。その一つが減反廃止政策だ。安倍政権は昨年11月6日に「5年後をメドに生産調整政策を廃止する」と発表した。1月24日の施政方針演説でも、「40年以上続いてきた米の生産調整を見直します。いわゆる『減反』を廃止します」と明言した。
 これは、TPP協定締結を前提に、外国からの激安の農産物流入を見越して、小規模農業切り捨て・淘汰を強行するための許しがたい農業破壊攻撃だ。
 米の減反を廃止するということは、米の価格政策を一切やめるということであり、それは即ち、米の値段を市場原理に任せるということを意味する。その結果は、米の価格の暴落であり、日本農業の破壊だ。
 秋田県大潟村で15㌶もの米を生産してきた坂本進一郎さん(市東さんの農地取り上げに反対する会共同代表)は言っている。「政府は米の生産規模の拡大を言っている。15㌶程度をメドにしているが、その15㌶を作っているこの大潟村ですら米農家が立ちゆかない。そもそも平均1000㌶の面積のオーストラリアや100㌶のアメリカと、規模で競争しようとすること自体が間違いだ」と。さらに米農家の解体の一方でTPPが締結されれば、コメ農業にアメリカのカーギルやモンサントといった巨大外資が入ってくることすらありうる。
 この問題は、全国農民会議の第2回総会でも議論された(記事別掲)。講演した農業ジャーナリストの大野和興さんは「減反の廃止で米の価格が市場に委ねられることになれば、一番困るのは小規模農家ではなく、中大規模農家だ。なぜなら、どの農家も莫大な借金をして規模を拡大している。そこで米の価格が暴落すれば借金を返せなくなる。そうなったら農家は生産の拡大をさらに進めるしかなくなる。これは、さらに米価の下落に拍車をかけるというアリ地獄だ。こうして倒産する農家が続出する」と。
 安倍政権はこうした農家破綻を促進して、その農地を参入巨大企業に取得させようとしている。その軸になるのが「農地中間管理機構」なる農地仲介組織だ。
 同機構は、広がり続ける耕作放棄地などを「意欲のある農業者に集約する」ことをうたい文句にしている。しかし、その狙いは企業への農地提供だ。そのカラクリが分かってきた。
 同機構の実務は「市町村や農協、信託銀行を含む民間企業に託す」としているが、実際には民間金融機関が取り仕切ることになる。
 この水路を通して、「やる気のある」企業に農地を所有させる流れを作り、「非農業者(企業)による農地所有の禁止」という農地法の基本精神に風穴を開けようという魂胆なのだ。
 全国農民会議を先頭とした260万農民の決起と団結が今ほど求められている時はない。

 農協解体も策動

 ところで見過ごせないのが、安倍政権による農協解体攻撃だ。農協の中央本部であるJA全中は、反TPP闘争の先頭に立ち、農業・農民切り捨て攻撃に抵抗する一定の役割を果たしてきた。安倍政権はこの農協骨抜きを意図的に開始したのだ。
 その一つが「農協改革」と称するキャンペーンだ。2月3日、安倍政権の規制改革会議は農協の改革や農業の規制緩和の議論を本格的に開始した。農協は独占禁止法の適用を除外されるなど、法的な保護を受けている。この「保護剥奪」をちらつかせて、「農政大改革」なるものへの抵抗を封じ込めようというのだ。
 JA全中は、安倍政権の減反廃止に対して反対の態度を表明していない。さらにTPPに関しても態度があいまいになってきている。「全中は、絶対反対の旗を下ろした」との観測があちこちでなされている。
 経団連とJAグループは昨年11月11日、「国内農業の競争力強化に向けて」と称して協同の作業部会を設置し、初会合を開いた。ここではTPP締結が前提となっており、その下で、「競争力のある農業としてどう生き残りを図るか」という転倒した議論を、経団連を相手に行っている。
 安倍政権によるさまざまな手段を使った農業・農民切り捨て攻撃を労農の団結で打ち砕かなくてはならない。
 問われているのは全国農民会議を先頭とし、労働者階級と連携した労農連帯の力だ。農民の団結を直接の武器にした強固な反TPP闘争だ。
 6年間もの闘いを貫徹し今なお闘い続けている韓国の韓米FTA阻止汎国民運動本部は、300もの農民団体、環境団体、市民団体、労働組合、弁護士団体、知識人で構成され、今なお巨大な運動を継続している。このような闘いを日本でも実現しよう。その最先端が農地法による農地取り上げを許さない市東さん農地裁判の控訴審決戦だ。3万人署名を集め切り、3・23全国集会~3・26控訴審第1回弁論へ。
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