2014年を三里塚勝利の年に 3・23三里塚全国集会(東京芝公園)に立とう 反対同盟・農民会議新春座談会

週刊『三里塚』02頁(0886号01面01)(2014/01/01)


 2014年を三里塚勝利の年に
 3・23三里塚全国集会(東京芝公園)に立とう
 反対同盟・農民会議新春座談会

(写真上から 市東孝雄さん、萩原富夫さん、伊藤信晴さん、小川浩さん)
(写真 2014年の闘いについて、率直に議論を交わした新年座談会【12月11日】)

 裁判長圧倒しよう 市東
 年頭から署名全力で 萩原
 安倍は崖っぷちだ 伊藤
 新自由主義は破産 小川

《新春座談会出席者》
 市東孝雄さん(敷地内・天神峰)
 萩原富夫さん(敷地内・東峰)
 伊藤信晴さん(芝山町・白桝)
 小川浩さん(全国農民会議)
  司会 週刊「三里塚」編集委員会

 三里塚闘争は2013年、市東孝雄さんの農地裁判を中心とした闘いを断固、勝利的に闘いぬいた。2014年決戦に勇躍躍り込む決定的な地歩を築いた。農地取り上げの仮執行宣言を粉砕した地平に立ち「霞が関に攻め上る」展望を開いた。年3月23日に東京・芝公園で開催される全国集会へ、そして3月26日の控訴審裁判第一回弁論へ。年初から開始される3万人署名の貫徹へ、動労千葉をはじめとする国鉄決戦、10万人署名の前進と一体となって決起しよう。
――2013年三里塚闘争は市東さん裁判の千葉地裁闘争を軸に激しく闘いました。その総括と14年の展望を語っていただきたいと思います。
 市東 人によっては、13年を「勝利した」と総括するだろう。確かに全体皆よくやってくれて高揚した一年であった。けど、俺の中では「勝利的に闘った」との気持ち。と言うのは、これからがもっと大変だから。
 東京高裁、霞が関では、いろいろな課題が出ると思うよ。早速、同盟は3月全国集会を東京にした。これを成功させ、控訴審闘争に突進していかなればならない。控訴審では早く判決を出すから、千葉地裁以上の闘いが必要だ。貝阿彌(かいあみ)裁判長に、空港会社がいかにひどいのか、頭にたたきつけなければならない。裁判長が寝ても「こんなことを言われた、あんなことを言われた」と残るぐらいの攻勢をかけ、「俺の土地は金じゃない」、「いかに土地で親子3代やってきたのを守りぬくか」ということを知らしめることだ。実際うちの畑に来た人は「すごいいい土だ」と言いますよ。
 だから、俺の13年の闘いの評価は、まぁ75㌫かな。14年は80㌫以上、いよいよ100㌫に近づけるような闘い方をできればいいなと思う。そのためには皆がいろいろな知恵を出してやってもらいたい。
 萩原 13年、同盟は周辺情宣の一斉行動を全力で行ったが、さらに強化して行きたい。今日も自分は、飛行直下の(下総地区)西大須賀にオルグに行った。伺うと、家族で「ああ、どうも。どうも」とニコニコ迎えてくれるんだよね。皆、声を上げないと生活を守れない。同盟への期待は強くなっている。
 小川 一審は、6年かかったけど。控訴審は、判決まで早いよね。その点、今までのような考えではできない。3・23東京集会、3・26第1回控訴審弁論。最初が肝心だよね。
 市東さんは「75㌫の勝利」と言うけど。2013年は年明けから、署名、周辺情宣。千葉のトラクターデモをやりきった。そういった闘いを見直して、14年その上で何ができるのかということだ。本当に勝利をかちとるためには、まだまだ足りないと思うんだよね。
 萩原 広がりをもっとつくると言うことだ。年頭から署名に全力で取り組もう。署名は前回の署名者にもまた貰うけど、繰り返し行くことによって違うよね。仲間の人に拡がる可能性がある。
 伊藤 前回の1万2千の倍以上だから、がんばらないと。
 市東 前回は、緊急で2カ月だった。今回は期間が延びるので増えるだろうけど、署名の拡大は集め方だと思う。
 今までの枠から出た闘い方を、今度こそ実現したい。三里塚闘争も世間とかみ合って来たよ。これまで孤立した過去のものと成田闘争がキャンペーンされてきたが、ここ何年でネットやブログで広がりが見えてきた。
 小川 霞が関の反TPP・反原発闘争とかみ合ってやれば拡がる。
 伊藤 原発事故が起きて、「金より命」のスローガンが出てるじゃない。市東さんの闘いは、そのとおりだ。日本の労働運動、労組は「闘わなければ生きていけない」というところに来ている。労働組合も、そこをこじ開けられるかに存立がかかっている。そう考えると、労働者が自分の厳しさを踏まえて市東さんの闘いを自分たちの課題とすることによって壁を突破していく。
 萩原 若い人の盛り上がりをどう労働運動に組織していくか、そこに気づいて動き出している人は多いと思うよ。派遣労働者の現実は、すごいじゃないですか。職場でがんばらなければという動きが出ているね。
 伊藤 そのような青年労働者が、市東さんの闘いに勇気づけられて、三里塚に来るなど動き出すと大きいと思うんだ。それを作るしかない。13年の闘いは、われわれの周りはある程度やったからね、14年は青年労働者の決起を作りたい。

 TPP許さない

 伊藤 特定秘密保護法、TPP、経済政策にしても、歴代政権ではここまで踏み込めなかった。経済では禁じ手とした国債の買い上げなど、破綻が見え見えの財政再建に踏み込んだ。にっちもさっちも行かない崖っぷちに安倍はある。だから国家主義で、労働者・農民にはいっさい配慮はしない。この安倍の反動がどこまで続くかは、われわれの闘いいかんだ。
 市東 実際のところ、安倍は脆弱なんだよ。だから一気にいかないと自分が折れてしまうところにある。消費増税がおこなわれれば、安倍の支持率はもっと下がる。税金は取れるところからむしりとっている。軽自動車税も上げようとしているね。
 小川 それはTPPに関係している。日米協議で軽自動車は槍玉に挙げられているから。
 市東 アメリカに自動車など工業製品を売り込むため農業はつぶされる。
 伊藤 堤未果『貧困大国』に出ていたが、アメリカはGM(遺伝子組み換え作物)などの農産物の特許を武器に他国の農業を支配しようとしている。アメリカがTPP交渉において、知的財産権にこだわる理由だ。
 小川 アメリカは、農業関係の特許を多数もっているからね。
――減反政策の廃止について、意味するものを聞きたい。
 小川 減反政策の廃止はこれまで自民党がやりたくてもできなかったことだが、こんな滅茶苦茶なことはない。減反政策は食管政策を廃止して71年頃からやり始めたが、国が需給調整して、一定の価格政策として米価格を維持する役割を持っていた。しかし、それをやめるというのは、米の値段を政策的に下げるということだ。そして、今やっている戸別補償を来年半分、将来ゼロにする。
 つまり自民党がこれまでやってきた小さい農家をつぶすことに本格的に手をつけてきたということ。安倍は飼料米に転換すると言っているけど、彼にとってはどうでもいいこと。安倍は、競争力のある農業ということで、生産法人なり企業なりを作って行く、小さい農家を切り捨てて。
――農地集約中間管理機構など安倍の農業の成長戦略(注1)と関係していますね。
 小川 10年間で8割の農地を「担い手農家」(注2)か、法人に集積するとしている。今回の中間管理機構は、民主党も尊重すると言い出した。産業競争力会議などでは、集約事業は市町村等にもできる。「等」と言うのは、不動産業者などにも委託できるということだ。白紙委任状で農家から管理機構が委託され、ある程度まとめて借り手に貸す。誰が貸すのを決めるのか。産業会議では、「農業は地域のものだという考えはダメだ」と盛んに強調していた。結局は企業のためだ。
 市東 企業は、利益を一番に優先するから結局はダメですよ。農業がダメなら土地を違うのにまわす。企業が農地を保有したいのは、農地を潰して自分たちのために使うためだ。昨年を通して私が強く感じているのは、全国農民と関係できたこと。小川さんなど全国農民会議、福島・山形・山梨など農民が取り組んでくれたというのが大きい。労働者は前から動労千葉はじめやってくれたが、今回は農民がやってくれた。地元成田の農家の結集もできればね。しかし、成田の農家は保守だからね。
 小川 それはどこでも同じ。それを突破する契機として、市東さん農地を守る闘いがある。市東さんの農地取り上げは、農業政策の見直しで8割の農家をつぶす安倍の農業破壊そのものだ。市東さんの農地取り上げ問題をとおして安倍の農業政策をきちんと批判していく。新自由主義が完全に行きづまっている中で、労働者にとって生きていくことができない状況。農民だって小さい農家はやめていく。安倍の農民に対する攻撃は、農業・農民に対する国鉄民営化みたいなもの。農地の集約と言うけど農業の6次産業化で、企業の参入・提携ということになる。いずれにせよ、家族経営を一掃することにある。――成田空港の地盤沈下が進む中、NAAの攻撃も激化していますが
 市東 成田空港建設は国策と言いながら、権力やNAAは堂々とできない。攻撃は、明け方や裁判で誰もいない時を狙っている。最近ガードマンがまた、家の中をのぞいている。なんでそこまでやるのか。今でも、空港機動隊は1500人体制。ビデオなどで検問を減らす分、車両などを増やし周辺警備を強化すると言っている。
――年末に台湾国営放送が取材にきました。ドイツの反核団体も三里塚に行きたいといっています。このように三里塚は、全世界の人民の抵抗運動を代表していますね。
 小川 三里塚は、半世紀にわたって闘っている。市東さんは金ではないというが、これは大変なこと。農家にとってはね、金が大事でね。市東さんが金より1本の大根が大事という農民魂はすごいもんだね。
 市東 それが原点だね。確かに金を貰って出て行けば楽かもしれないけど、同級生の中でもそういう風に言う人がいる。
――成田駅街宣などで「空港が出来ているのに、なぜまだ反対を続けているのか」との問いがよくあります。それに対する答えは?
 市東 それは、よそ者の質問だよ。現実に俺たちは闘っているわけだから、47年間を口で言うよりそこを見てもらいたいと答えるよ。
 伊藤 俺なんかは、負けたくないという...。
 萩原 そう、意地だよ。
 小川 農民会議の中でも同じで、結局、大義の問題でしょう。率直な疑問から、俺の場合、同じ農家が国家権力を向こうにまわしてやっている、これは一体なんだろうかということで、最初は疑問だよね。その上で、援農したり、闘争に来たりして理解を深めていった。戦前では谷中村闘争が多数の活動家を輩出したように、戦後は三里塚で無数の革命家を生み出している。ここだよね。
 市東 伊藤さんと萩原さんは意地と言うけど、俺は違うんだよね。結局、意地と意地のつまらない争いにとられちゃうんじゃないか。だから意地の中身が問題で、三里塚の場合は一般的な意地じゃない。
 萩原 そう、自分の利害や感情の問題じゃない。全人民のために闘い続けているということで、これは意地でも通したいということ。だから三里塚は止められない。
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(注1)安倍は、成長戦略第二弾において農業競争力強化・10年間で農業所得倍増、そのために農産物輸出倍増、6次産業化の推進、農地集積による生産性向上の三つを方針とした。農地集積については、都道府県段階に農地の中間的な受け皿機関である公的な機構を新たに設置、この機構が農地をいったん借り受けて、大規模農家や農業法人などの農業の担い手に貸しつける。

(注2)農業経営強化促進法に基づいて承認された一定規模以上の農家や集落営農を指す。

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