●特集 ゼネスト情勢を切り開く国鉄決戦 Ⅰ 第2の分割・民営化粉砕へ 動労総連合を今こそ全国に 勝利した15年前半決戦――ダイ改阻止ストから6・7集会へ
●特集 ゼネスト情勢を切り開く国鉄決戦 Ⅰ
第2の分割・民営化粉砕へ 動労総連合を今こそ全国に
勝利した15年前半決戦――ダイ改阻止ストから6・7集会へ
国鉄闘争全国運動6・7全国集会は、東京・日比谷公会堂に1650人の大結集をかちとり、大成功した。国鉄1047名解雇撤回へ10万筆署名を達成し、最高裁反動判決策動を押し返した地平から、国鉄闘争全国運動の本格的発展を誓い合い、同時に「動労総連合を全国につくろう!」という熱気に満ちた集会となった。集会は、ゼネストを闘う韓国から全国鉄道労組ソウル地本の代表を招いて「日韓鉄道労働者共同声明」を発出するという、国際連帯の新たな地平も切り開いた。辺野古新基地建設策動に怒る沖縄全島ゼネスト情勢に続いて、日本におけるゼネスト情勢を切り開くのが国鉄決戦であることは、今や明らかである。
本特集は、第Ⅰ章で2015年前半の勝利の地平を確認し、第Ⅱ章でわれわれが立ち向かう第2の分割・民営化攻撃の全貌を明らかにし、第Ⅲ章で国際連帯の地平に肉迫する。そして第Ⅳ章で動労総連合建設への総決起を訴える。
(1)15年前半の勝利と11月集会への展望
2015年は、1・7仏週刊新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件と、それに続く1・20「イスラム国」による日本人人質事件という衝撃的事態に対して、革共同が「中東・欧州・全世界人民に訴える――大恐慌・戦争を革命へ」という1・26声明を出し、激動的に始まった。
「大恐慌・戦争を革命へ」こそ、全世界の労働者階級の進むべき道である。その立場から、2015年前半の階級闘争を、JRの3・14ダイヤ改定阻止決戦を一つの焦点に据え、3・11反原発福島行動(郡山)、動労千葉・動労水戸のストライキ、3・15被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘結成集会、4・5動労神奈川結成集会、4月杉並区議選闘争、5月から本格的に始まった安保法制・戦争法案との闘い、全島ゼネスト情勢を切り開く5・15~17沖縄闘争、そして国鉄闘争全国運動6・7全国集会の大成功へと結実した。これらが、4・24先制ゼネストを打ち抜き、さらに6月第2次ゼネストに向かって闘う韓国・民主労総と固く連帯して闘われた。
同時に、これらの闘いは、革共同からの脱落分子であり、最大のスパイに転落した岸・水谷・岩本らの反革命本の出版や、福島大生に対するスパイ化攻撃の摘発として現れた「5月反動」を打ち破る勝利でもあった。とりわけ、国鉄決戦の前進は、スパイ分子どもが「動労千葉特化路線」と称して憎悪する階級的労働運動路線の豊かな発展として、奴らに大打撃を与えた。
この半年間の闘いは、世界経済が「恐慌の中の恐慌」に陥る中、中東、ウクライナ、東アジアを3正面とする世界戦争情勢(ウクライナではロシアが核戦争さえ準備している)の中で、ついに本格的な戦争国家への道を突き進み始めた日本帝国主義・安倍政権と正面から激突し、労働運動の新たな産業報国会化に向かう大再編攻撃と対決し、文字通りの第2の国鉄分割・民営化攻撃を粉砕する国鉄決戦を基軸に、2010年代中期階級決戦の壮大な爆発をかちとる端緒を切り開いた。その中で「動労総連合を全国に」の組織決戦が、革共同と国鉄労働者の共同の闘いとして爆発的に始まった。まさにここで「党と労働組合の一体的建設」の本格的前進がかちとられているのである。
6・7集会が、解雇撤回10万筆署名を達成し、「動労総連合を全国に」の本格的発展、さらに日韓鉄道労働者の連帯を始めとする国際連帯の豊かな発展を切り開いているがゆえに、まさに現下の最大の決戦である戦争法案との闘いから秋の闘いを展望した時に、今年の11月全国労働者総決起集会へ至る5カ月間、われわれ自らがどのように飛躍し、組織的な力を付けて敵に立ち向かっていくのかに、日本革命―世界革命の成否がかかっていると言って過言ではない。
その立場から、本稿では、まさに日本におけるゼネスト情勢を切り開くものとしての国鉄決戦、第2の分割・民営化粉砕へ動労総連合を全国につくる闘いの意義を明らかにしていきたい。
(2)動労千葉を先頭に国鉄決戦の前進
2・15国鉄集会10カ所
2015年の国鉄決戦は、国鉄分割・民営化による不採用から29年の2・15(16)国鉄集会に、国鉄闘争全国運動が全国10カ所で集会を開いたことから始まった。これは昨年の全国35カ所の国鉄集会開催に続いて、全国運動を本格的に発展させる大きな地平をつくり出した。
3・14ダイ改阻止闘争
3・14ダイヤ改定攻撃は、後述するように、文字通りの第2の分割・民営化攻撃の開始となった。ダイ改の目玉は、北陸新幹線開業と、東京上野ライン(東北縦貫)開業だが、これ自身が重大なJR大再編攻撃だ。北陸本線、信越本線がJRから切り離され、石川、富山、新潟、長野と4県につくられる第三セクターに分割された。まさに地域破壊・切り捨てだ。数百人のJR労働者が強制出向となった。東京圏の大再編もすさまじい労働強化、大規模な配転、労組破壊攻撃となろうとしている。
これに対し、動労総連合は全国でストライキに立った。動労千葉は3月13日から15日まで、延べ123人の本線運転士がストに入った。動労水戸は14、15日、全乗務員がストに立った。動労西日本は12日、五日市駅(広島)と広島印刷事業所でストを貫徹した。動労連帯高崎は13日朝、高崎車両センター籠原運輸区前での抗議・宣伝行動を行った。〔なお、動労西日本は、4月2日に中西副委員長の職場復帰(病気休職→解雇の狙いを粉砕)をかちとった〕
特急廃止・削減と闘う
JR千葉支社は3月14日から特急列車29本を削減した。東京~佐原間を走る特急「あやめ」の全区間、「さざなみ」の君津~館山間が全廃されるなどの特急廃止・削減攻撃に、地域から激しい怒りの声が上がった。動労千葉は2月26日に銚子で85人、3月7日に館山で150人を集めて地域集会を開催した。観光地にとって特急列車廃止は死活問題だ。集会には、地元の商店街や市議会議員、元地区労議長などが参加した。これは、地域の怒りと結びつき、国鉄分割・民営化以来強制されてきた社会の在り方をひっくり返す闘いだ。労働組合には地域の中心となって団結を組織する、コミューンの萌芽のような力があることを示した。これは、ダイ改阻止闘争の最大の成果だ。
貨物会社とCTSで賃上げ闘争
さらに、動労千葉は、JR貨物と下請け会社のCTS(千葉鉄道サービス)を焦点に大幅賃上げの闘争に取り組んだ。貨物職場では、日貨労の裏切りで3月1日から手当の削減が強行された。1万円もの賃下げだ。3月20日には16年連続のベアゼロ回答が行われた。
CTSでは月3万円、時給200円の賃上げを要求し、下請け会社での春闘に初めて本格的に取り組んだ。また、CTS幕張事業所で、長年にわたり休憩時間中に作業が行われながら時間外労働分の賃金が払われてこなかった実態が暴かれた。3月19日には、当該19人の労働者がCTS本社に対し、賃金の支払いを求める請求書を提出した。この問題でJR総連傘下のCTS労組は、「処分される」と脅して超勤代請求の撤回を労働者に強要する暴挙に走った。会社とCTS労組が一体となったつぶし攻撃に、現場から怒りがわき上がっている。動労千葉に昨年、新たに加入したCTS組合員が闘いの先頭に立った。
「出向解除」攻撃粉砕
このCTS職場での闘いは、同時に外注化攻撃粉砕の展望をも切り開いている。
検修・構内業務のために雇われたCTSのプロパー労働者に拙速な「教育」を施して本務に就かせることに伴い、CTSへの出向を強いられた5人のJR労働者が出向解除になると言われていた。その対象には動労千葉の青年労働者も含まれていた。動労千葉の組織破壊を狙った仕事外し・余剰人員化攻撃だ。解決の道は外注化を粉砕し、あくまで仕事ごとすべての仲間をJRに取り戻す以外にない。動労千葉はストを構え、闘争態勢を確立した。
出向解除は4月10日まで遅れ、動労千葉青年部に対する出向解除の攻撃は粉砕された。資本は、CTSでの闘いが火を噴く中で動労千葉がストに入れば、どれだけの労働者が動労千葉に結集するかわからないという恐怖にかられたのだ。これは、本体と下請けの双方の労働者が一体となって闘う中に、外注化粉砕の展望があることをあらためて示した。
CTSの8人が新規加入
その中でCTSの木更津、君津、館山の各事業所から8人の労働者が動労千葉に加入するという大きな勝利がかちとられた。動労千葉は、JRとCTSの双方で組織拡大を実現することが外注化を粉砕する道だと訴えて闘ってきた。本体と下請けの双方の労働者が団結しなければならないということは、ずっと言われ続けながら誰も実現できなかった。しかし、動労千葉の闘いと8人の決起は、それが可能であることを実践によって示したのだ。動労千葉は、労働者が非正規労働者に突き落とされていく過程と闘い、同時に外注先の労働者も二桁で組織している。これは、「外注化阻止・非正規職撤廃」の路線の勝利である。
動労水戸支援共闘結成
時期は前後するが、ダイ改阻止ストの渦中でかちとられた3・15「被曝労働拒否をたたかう動労水戸支援共闘」結成集会の580人の結集での成功も巨大な勝利だ。
被曝労働拒否闘争は、11年3・11福島原発事故を受け、動労水戸が初めて労働運動の課題としてストライキで闘った闘争だ。これは、世界の労働運動においても他に例のない画期的な闘いである。被曝から乗務員や乗客を守ること、安全に乗客の命を運ぶことが鉄道労働者の使命、労働組合の使命である。この正義性と階級性こそが、「復興」という名の福島切り捨て、「帰還」という名の被曝強制にさらされる労働者人民に生きる展望を示している。さらに、原発労働者、除染労働者との団結が生み出されている。
動労神奈川結成
動労神奈川の結成は、「動労総連合を全国に」の最初の決起となり、感動を呼んだ。
動労神奈川は、2月22日、列車の清掃業務を請け負う東日本環境アクセスで働く青年労働者を中心に結成された。エルダー社員として茅ヶ崎駅ビルに勤務する中村幸夫さんが、断固として国労に脱退通知を出して委員長に就任した。同労組は直ちに資本に対する雇い止めを許さない闘いに入り、2月末の解雇は阻止した。しかし3月19日、東日本環境アクセス小田原事業所は、桑原組合員に対して、「雇い止め」を前提にした雇用契約書を提示してきた。これに対し、3月26~27日、24時間ストに立ち上がり、3月30日に環境アクセスは、新たに「契約更新」を提示してきた。雇い止め解雇を打ち破った大勝利だ。こうして4・5動労神奈川結成集会を成功裏にかちとったのだ。
沖縄と大阪での勝利
5月には、日本階級闘争における重要な勝利がかちとられた。
一つは、「復帰」43年の5・15沖縄闘争の爆発だ。5月17日に沖縄セルラースタジアム那覇に3万5千人(実際には5万人とも言われる)が結集して開かれた「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」の大高揚は、階級性を解体する「オール沖縄」を打ち破り、自治労、日教組などの労働組合が先頭で組織したものだ。ここに「民主労総ゼネストと連帯し、沖縄全島ゼネストに立ち上がろう」という鮮明な主張をもって登場した青年労働者・学生を中心とする隊列が大合流した。これは、日帝・安倍政権による戦争法案の閣議決定と国会提出に対する即座の反撃の闘いでもある。
沖縄では新基地建設と一体で「振興策」と称してコールセンターが誘致されてきた。それは9割が非正規である。しかし、それも破綻し、NTTなどのコールセンターが廃止されようとしている。青年労働者をはじめ、この現実に対する怒りが高まっている。5月16日に国鉄闘争全国運動・沖縄が呼びかけた集会が開催され、地元紙・琉球新報で「『新自由主義と闘う労働組合をよみがえらせ、「オール沖縄」を乗り越えて沖縄全島ゼネストへ、ともに進もう』とする集会宣言を採択した」と報じられている。沖縄闘争も、国鉄闘争と結合することによって勝利の展望が切り開かれる。
また、「沖縄闘争で獄中40年 無実の星野さんを取り戻そう! 星野文昭絵画展」が5月5~10日に那覇市で開催され、大成功をかちとった。
二つに、5月17日の「大阪都構想」粉砕、橋下大阪市長打倒の大勝利である。大阪都構想は、自治体労働者の全員解雇・選別再雇用による労働組合の解体を狙った攻撃だ。これに住民投票でノーを突きつけ、橋下は「政界引退」を表明せざるを得なくなった。これは、実は橋下に秋波を送り、改憲攻撃に巻き込もうとしていた安倍の狙いをも打ち砕いたのだ。この勝利は、大阪市労連本部の闘争放棄をのりこえた現場労働者の闘い、そして、全国金属機械労組港合同を先頭にした、動労千葉と共闘する大阪の労組の闘いがもぎり取った勝利だ。これも国鉄闘争の力だ。
6・7集会の大成功
こうした中で開かれた国鉄闘争全国運動6・7全国集会は、極めて感動的で豊かな内容を持ってかちとられた。
第一に、1047名解雇撤回闘争の鉄建公団訴訟(動労千葉9名)において、昨年末、3月末の最高裁反動判決策動を打ち破り、ついに解雇撤回・JR復帰の最高裁10万筆署名を達成した(10万852筆)ことを大きな力としながら、「闘いはこれからだ」と不屈の前進を開始したことである。国鉄闘争全国運動は新しい発展段階に入ったのだ。国鉄闘争全国運動呼びかけ人の伊藤晃さんは、「社会の閉塞状況を労働運動で打開する。労働運動の再建で戦争を阻止する。国際連帯に明るい未来がある」と語った。
第二に、動労千葉、動労水戸を先頭に組織拡大と動労総連合の全国的建設へ、沸き上がるような熱気のもとに、具体的な展望を指し示したことである。動労千葉の田中康宏委員長は「国境を越えて連帯し、自らの闘いでゼネストを」と訴えた。動労水戸の辻川慎一副委員長は「被曝労働拒否の闘いは全国の労働者をわしづかみにする闘いだ」と訴えた。郡山総合車両センターの橋本光一さんは、「動労福島を必ずつくる」と断言した。
第三に、韓国の全国鉄道労組ソウル地方本部の代表が参加し、「民営化と闘う日韓鉄道労働者共同声明」を発出し、日韓連帯をはじめとする国際連帯闘争の豊かな発展をかちとったことである(第Ⅲ章で改めて述べる)。
第四に、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、港合同、動労千葉の3労組共闘をさらに打ち固め、今年の11月労働者集会の成功に向かう出発点を築いたことである。開会あいさつに立った関生支部の平山正行さんは、今春闘で1万円の賃上げをかちとったことを報告し、「運動の発展のためには組織拡大が重要だ」と訴えた。港合同の中村吉政委員長は、文字通り先頭に立った「大阪都構想」粉砕の闘いを報告した。
第五に、自治体、教労、合同一般労組全国協議会の労働者を先頭に、ゼネストを実現する労組拠点の建設に向けて圧倒的な決意を打ち固めたことである。
第六に、安保法制=戦争法案をしゃにむに押し通し、さらに労基法改悪=残業代ゼロ法案、労働者派遣法改悪案などの悪法の成立と、「戦後70年談話」、「改憲ロードマップ」へと突き進もうとする超反動安倍政権への労働者階級人民の最も鋭い怒りが沸き上がった。沖縄、福島の怒りとしっかり結びつき、安倍政権打倒を誓い合った。また、改憲を許さない1000万人署名運動が呼びかけられた。
6・7の地平から、「韓国民主労総ゼネスト連帯! 6・28大集会」―「改憲・戦争・原発・首切りの安倍をともに倒そう! 7・5大集会」から11月労働者集会に向かってともに闘おう!