国際労働運動の暦 6月4日 1960年安保反対スト 戦後初の政治ゼネスト 5・19安保強行採決に日本の労働者階級の怒りの総決起を突きつける

月刊『国際労働運動』48頁(0465号06面01)(2015/06/01)


国際労働運動の暦 6月4日
 1960年安保反対スト
 戦後初の政治ゼネスト
 5・19安保強行採決に日本の労働者階級の怒りの総決起を突きつける

(写真 新安保条約阻止へ闘われた国鉄のストライキ【1960年6月4日 品川電車区】)


 1960年の新安保条約批准阻止闘争は、前年11・27国会突入闘争、1月の岸渡米阻止の羽田闘争などを経て、高揚していった。岸政権による5・19安保強行採決に、労働者人民の怒りは倍加した。日帝権力が自分たちの議会主義ルールさえ踏み破って新安保成立に乗り出してきたことは、まさに革命が問題になっていたということだ。
 労働者階級は、6月4日、15日、22日と3波にわたる政治ストライキと、連日の国会デモで応えた。総評傘下の労働組合が政治課題を真っ向から掲げて歴史的ストに立ったのだ。
 6月4日、国労(国鉄労働組合)と動労(国鉄動力車労働組合)は始発から午前7時までのストに突入。国労東京地本は15電車区のすべてで全電車をストップさせた。地方でも労働者が信号所を占拠し、線路に座り込んで闘った。私鉄総連や都市交もこれに同調、他の組合もほとんど全産別で時限ストや時間内職場大会に決起した。
 国労ストで運休電車655本、運休旅客列車64本、貨物列車40本、遅延旅客列車101本、遅延貨物列車66本で延べ165時間。
 スト参加者は総評57単産360万人、中立労連19単産100万人、学生、民主団体、中小企業など100万人、計560万人という空前の規模である。
▼激しい実力対決
 国労、動労のスト突入は、何よりも現場の労働者の激しい突き上げによってかちとられたものだ。国労田町電車区分会では、「スト指令要請決議」を上げて本部に迫った。
 国鉄は公労法でストが禁止されているため、ストは国労組合員が大挙して乗務員の身柄を確保する形で闘われ、鉄道公安官との間で激突となる。文字通り激しい実力闘争抜きには実現できない闘いである。前日の3日朝から駅や電車区で乗務員争奪戦が各所で激しく闘われた。
 首都の尾久、品川、田町などの機関区や電車区、東京駅構内と駅周辺は、労働者、学生のスト支援部隊が座り込んで占拠した。学生運動にとってもスト支援行動は、自らの階級性を問う決定的なステップだった。
 6月15日は安保闘争最大の山場となった。国労は全国12カ所を拠点に再度のストに立ち上がった。炭労は24時間スト、全逓は時限ストで決起した。この日、全学連が国会構内に突入し、東大生・樺美智子さんが警官に虐殺された。
 22日には総評、中立労連、中小零細企業労組の111組合、540万人が第3波ストに決起した。
▼空前の国鉄スト
 6・4ストは、安保粉砕・岸打倒闘争における巨大なゼネストであった。戦後の2・1ゼネスト中止以来、日本の労働者階級は、個々の重要な労働争議はあったものの、ゼネストの経験を持っていなかった。
 この年1月に民同左派の総評労働者同志会は「労働運動の前進のために」と題する文書を出し、そこで「経済闘争に徹する」ことをうたっていた。つまり、労働者は政治闘争をやるべきではないというのだ。
 ところが、日本の労働者階級は、日帝・支配階級に対する戦闘性をまったく失っていなかった。あの第2次大戦からまだ15年しか経っておらず、その傷跡はまだ生々しく残っていた。「二度とあんな戦争は繰り返してはならない」という全人民的な合意があった。しかも、太平洋戦争の責任を問われるべき岸信介がこともあろうに再び戦争への道を踏み出すために、国会に機動隊を導入して野党議員をごぼう抜きにして排除し強行採決した暴挙は、労働者人民の怒りと危機感を燃え上がらせていた。
 社会党、共産党は、安保粉砕の労働者人民の闘いを「民主主義を守れ」と歪曲し、議会主義の枠内に闘いを閉じ込めようと腐心した。だが、労働者の政治ゼネストは、このような枠をも揺るがす力を持っていた。革共同は、「社共に代わる闘う労働者党をつくろう」を掲げ、安保後の党派闘争のヘゲモニーを握っていった。

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1960年4~6月の闘い

4.19 韓国学生革命(27日李承晩大統領打倒)
4.26 安保第15次統一行動。全学連が激突
5.14 10万人の国会デモ
5.19 衆院本会議で機動隊導入し会期延長
5.20 未明、新安保条約強行採決。全学連、首相官邸突入闘争
5.26 国会デモ、17万人
6 .3 全学連、首相官邸突入して闘う
6. 4 安保反対の政治スト、国会デモ12万人
6.10 日共系を中心にハガチー闘争
6.15 第2波の政治スト、全学連国会構内突入、樺美智子さん虐殺
6.16 アイゼンハワー米大統領の訪日中止決定
6.18 国会を包囲する30万人デモ
6.19 午前0時、新安保条約自然成立
6.22 第3波の政治スト
6.23 新安保条約批准書交換、岸信介首相、退陣表明
6.24 樺美智子さん国民葬