●特集 辺野古新基地絶対阻止、5・15~17沖縄へ Ⅰ 民主労総ゼネスト断固支持 沖縄全島ゼネストかちとれ 深まる東アジアの戦争危機――勝利してきた沖縄闘争
月刊『国際労働運動』48頁(0464号03面01)(2015/05/01)
●特集 辺野古新基地絶対阻止、5・15~17沖縄へ Ⅰ
民主労総ゼネスト断固支持 沖縄全島ゼネストかちとれ
深まる東アジアの戦争危機――勝利してきた沖縄闘争
(写真 韓米独の代表団らが壇上にのぼり、国際連帯の発展をかけてインターナショナルを斉唱【2014年11月2日 日比谷野音】)
2015年の階級闘争は、年初の「1・7仏週刊紙襲撃事件」「1・20日本人人質事件」をもって「戦争か革命か」が問われる激動情勢に突入した。世界大恐慌が「恐慌の中の恐慌」に突入し、世界戦争が核戦争として火を噴こうとしている。これが「戦後70年」をめぐる情勢の核心だ。革命情勢の成熟に対し、2010年代中期階級決戦を日本における「1917年」の戦取へ、国鉄決戦=動労総連合を全国に建設する闘いに青年労働者を先頭に総決起しよう。労組拠点建設に勝利し、新たな労働者党の建設へ進もう。
第Ⅰ章は、深まる東アジア戦争危機において、辺野古新基地阻止闘争が勝利してきた地平を確認している。
第Ⅱ章は、日帝・安倍の辺野古新基地建設強行に対し、国鉄決戦=労働組合の力で阻止する方針を提起している。
第Ⅲ章は、民主労総ゼネストを断固支持し、沖縄全島ゼネストをかちとろうと訴えている。
(1)米帝の歴史的没落と東アジア情勢の危機
アメリカ帝国主義が1月6日に提出した国家安全保障戦略は、米帝の歴史的な没落とその中での中東・ウクライナ・東アジアの「三正面」戦争への絶望的な突進を示している。中東における「イスラム国」の台頭とは米帝の中東支配の歴史的破産そのものだ。だからこそ米帝は「イスラム国」壊滅を叫び有志連合の最先頭で中東への侵略戦争にのめり込まざるを得ない。さらに米帝は中国との対峙・対決路線と、そのもとでの朝鮮侵略戦争への準備をゴリゴリ推し進めようとしている。重要なことはこれらの根底には対日争闘戦が貫かれているということだ。それはアジア太平洋地域への「リバランス」の実現を強調していることに示されている。
米帝による北朝鮮への経済制裁の発動と北朝鮮スターリン主義の崩壊的危機の激化がある。また新自由主義の崩壊から逃れることのできない韓国・朴槿恵政権の危機の中で、韓国階級闘争の新たな高揚を民主労総は4~6月ゼネスト闘争で牽引しようとしている。「整理解雇撤廃! 非正規職撤廃! 公共部門民営化阻止!」を掲げて新自由主義との根底的全面的な対決に突入しようとしている韓国の労働者階級の闘いは、プロレタリア世界革命を切り開く最先頭に再び三度登場しようとしている。それは東アジアの革命情勢を日々成熟させている。
これに対する朝鮮侵略戦争情勢の切迫化の中で在沖米軍の動向は激しさを増している。嘉手納基地には、ウィスコンシン州空軍所属のF16戦闘機12機が暫定配備され、これと一体で在韓米軍のF16戦闘機4機も嘉手納基地に飛来している。また、海上自衛隊のP3Cが2機も嘉手納基地で訓練を行っている。さらにF35もアメリカ本国から飛来しようとしている。
その中で米軍の事件・事故が激発している。戦闘機やオスプレイなどからの部品落下事件は昨年3月から今年3月までの1年間で16件も発生しているという異常事態だ。米軍の事件・事故が多発するということは、米軍が戦時体制に入って激しい訓練を行っているということである。そして整備兵が「疲弊」することからも事故が多発するのである。2004年の沖縄国際大へのヘリ墜落も、イラク侵略戦争が激化する中で整備兵の過酷な勤務の中での「整備ミス」が原因だった。
その中で米軍は、沖縄の労働者階級の根底からの怒りの決起に恐怖し追いつめられている。
在沖海兵隊報道部の大尉が、辺野古への新基地建設強行の中で警察や海上保安庁との激突でけが人が続出していることに対して「ばかばかしい(ママ)」と言い放ち、北部訓練場の司令官(海兵隊)は高江のヘリパッド建設反対の闘いに対して、「共産党から金をもらっている」という暴言を吐いた。そこにあるのは沖縄の米軍基地が沖縄の労働者階級の怒りに包囲されていることへの激しい危機感だ。
そしてついに米帝と米軍は、2月22日に山城博治沖縄平和運動センター議長他1名を、「刑事特別法(刑特法)」で不当逮捕した。日本人警備員=基地労働者を前面に立てて行った今回の弾圧こそ、辺野古への新基地建設攻撃の本質と闘いの方向性を敵の側から鋭角的に突きつけてきたと言わざるを得ない。一切は、基地労働者を先頭とする沖縄の労働者階級の団結した闘いにかかっているのだ。
このような世界情勢、とりわけ東アジア情勢の中で、日帝・新自由主義・安倍政権は昨年の「7・1」=集団的自衛権行使の閣議決定を転換点としつつ、「イスラム国」による「1・20人質事件」「2・1人質殺害」を通して、具体的に「戦争のできる国」へと前のめりに突き進んでいる。
辺野古への新基地建設をあくまでも強行し、沖縄の労働者階級との徹底的な非和解的対決を辞さずとして突っ込んできている。公明党の屈服を取り付けて安保関連法制国会を乗り切ろうとしている。
安倍は4月26日~5月3日に訪米し、4・27には新ガイドラインを締結し翌4・28に日米首脳会談を行おうとしている。そして、5・15前後には安保関連法案を閣議決定して国会に提出しようとしている。4・28~5・15を敵の側から焦点化させてきた。その一方でこの夏からも辺野古への本体着工=埋め立て工事を開始しようとしている。
しかしこれら一連の攻撃は安倍政権の強さではなく、その危機と破綻性と脆弱性を示している。大恐慌と戦争の時代とは、革命の時代だ。戦争ができなければ労働者階級の怒りで打倒されるという革命へのリアルな恐怖が安倍を日々追いつめている。何よりも沖縄の労働者階級の怒りを前にして、安倍自身が立ち止まったら打倒されるというギリギリの攻防が日々繰り広げられているのだ。
「中東」「ウクライナ」で激しく世界戦争への火が噴いているが、しかし、実は「戦争か革命か」が最も鋭く問題となっているのは東アジア情勢だ。大恐慌と戦争を世界革命に転化していく国際労働者階級の闘いの最先端の攻防が東アジアで繰り広げられているのである。この東アジアの激動情勢下において、プロレタリア世界革命の突破口を切り開くのが沖縄闘争=安保・沖縄闘争である。そしてこの闘いの先頭に立つのが、基地労働者を先頭とした沖縄の労働者階級だ。
(2)勝利してきた辺野古新基地建設阻止闘争
安倍政権は辺野古への新基地建設へ、昨年7月1日から本体工事を開始し、11月県知事選と12月衆院選を挟んで一端中断させていた工事を1月15日から再開し、3月12日からボーリング調査を開始し、この夏にも本体の埋め立て工事に入ると宣言している。しかし事態はけっして安倍や菅がいうように「粛々」と進んでいるわけではない。むしろ、辺野古への新基地建設攻撃の本質が明らかになり、それと対峙する沖縄の労働者階級の闘いが新たな地平へと前進している。昨年8月、9月、そして今年の2月、3月と連続して闘われた現地闘争は明らかに沖縄の労働者階級の闘いが新しい段階に突入したことを示してる。
その中で翁長沖縄県知事が岩礁破砕の許可を取り消すという方針に対して、日帝・安倍政権も直ちに対応して、あくまでも辺野古への新基地建設を強行しようとしている。この総体が沖縄の労働者階級の怒りの火にますます油を注いでいる。その中で今年の5・15沖縄闘争は辺野古を焦点として闘われる。
辺野古新基地建設攻撃との闘いは圧倒的に勝利してきたということが重要だ。辺野古を巡る攻防の直接の出発点は1995年の10・21、10万人決起である。この闘いの爆発で沖縄米軍基地の存在そのものが崖っぷちに追いつめられた。日米安保同盟がグラグラになったということだ。
この沖縄の労働者階級の闘いを分断し、圧殺するために仕組まれた大ペテンが「普天間基地の返還」=SACO(沖縄に関する特別行動委員会)路線だった。しかし96年SACO最終報告以来の18年間、とりわけ2004~05年の海上実力阻止闘争は辺野古への新基地建設を阻んできた。つまり日米安保同盟はこの20年間、大きな制約を受けてきたということだ。
それは今日の世界戦争情勢との関係で言えば、辺野古への新基地建設阻止闘争は東アジアの激動情勢を根底で規定し、米帝と日帝の戦争政策=対北朝鮮と対中国の侵略戦争を阻み、米帝と日帝の危機を激化させ新自由主義の崩壊を促進してきたのだ。つまり、ウクライナ・中東と並ぶ「三正面」の一つである東アジアを世界革命への根拠地として打ち固めていく先駆けをなす闘いであった。
だから辺野古への新基地建設阻止闘争の勝利の地平は、ひとり沖縄の労働者階級の闘いだけではなくて、全国と全世界の労働者階級の闘いで勝利してきたということが重要だ。辺野古の闘いの根幹には、国際的な階級的団結の力が宿っているのである。
そして沖縄の労働者階級は、闘いを分断し圧殺する攻撃としての「沖縄振興策」=新自由主義攻撃の満展開に対して、闘いの団結を守り抜いてきたということである。戦後沖縄の労働運動を牽引してきた基地労働者や教育労働者の闘いは、組合的な団結を守り抜き、団結破壊を打ち破って今もなお闘う旗を守り抜いている。さらに自治体の労働者やNTT労働者、郵政の労働者の職場生産点からの闘いが開始されている。
何よりも、階級的労働運動派=動労千葉派が、「基地の島」=「非正規職の島」の現実、すなわち新自由主義と全面的根底的に対決する新たな闘いに挑戦し、ついに日本IBM・ビジネスサービス労働組合の闘いを青年労働者を先頭に生み出したことは、戦後沖縄の労働運動のすべてを継承し、それを乗り越える新たな挑戦の開始である。
日帝の沖縄へのあらゆる攻撃はその根本において打ち破られている。その中で、これから辺野古への新基地建設に着手しなければならないという安倍政権の破綻性ということだ。ここに辺野古新基地建設阻止闘争の意義と到達地平と勝利への展望がある。