コラム　ロシアの政党

　以下は、レーニンの「ロシアの諸政党」（全集18巻33㌻）をまとめたものである。諸政党の背後に、どの階級が存在しているのかを指摘している。
●ロシア国民同盟　最右翼の党。農奴制時代の古いスローガン、すなわちギリシャ正教、専制、国民性を強調。ツァーリの「補佐役」の役割を果たす国会を支持。
●黒百人組（極右集団）　綱領には異民族に対する迫害、特にユダヤ人に対し行われる 集団的迫害行為（殺戮・略奪・破壊・差別＝ポグロム）がはっきりと書かれている。
　上記二つは、農奴主的地主の党、連合貴族評議会の党である。
　地主的貴族の階級は、高級官僚と中級官僚の圧倒的多数を国家に提供している。ロシアにおける官僚の特権は貴族的地主の特権と土地の権力の別の面である。だから連合貴族評議会と右翼政党が、古い農奴制的政策を主張しているのは偶然ではない。巨大な地主階級の利益の護持のもとに打ち出されたものである。
　彼らは、地主の利益を擁護すると露骨に言うことはできない。そこで彼らは、古い伝統一般の保持を論じ、全力を挙げて異民族憎悪、特にユダヤ人憎悪をたきつけ、人々をポグロムへ駆り立てようと全力を尽くしている。貴族や官僚や地主の特権を、ロシア人に対する異民族の「圧迫」という言辞で覆い隠そうと努めているのだ。
●国権派　右翼との違いはわずかで、本質的にひとつの党である。彼らは異民族、カデット、民主主義者に対する攻撃の仕事を分有している。一方はより粗暴なやり方をとり、他方はいくらか洗練された仕方をとる。
●オクチャブリスト党　地主と資本家の主要な反革命党。第３国会の指導的党である。右翼と本質的に異なるものはない。だがこの党は、地主に奉仕するだけではなく、大資本家や保守的な商人などブルジョアジーにも奉仕するという点で右翼とも違っている。
●カデット（立憲民主党）
第３国会の主要な反政府党、立憲「民主主義者」「人民自由」党。この党は、反動よりも人民の運動の方をはるかに恐れる自由主義的＝君主主義的ブルジョアジーの党である。カデットは、第１国会、第２国会で多数を占め、主導的な地位を占めた。
●民主主義的ブルジョアジーを代表しているのは、左翼的なエス・エルからエヌ・エルとトルドビキにいたるあらゆる色合いのナロードニキである。彼らは好んで「社会主義的」な言葉を使うが、しかし自覚した労働者は、だまされてはならない。彼らの言う「土地にたいする権利」にも、土地の「均分」の中にも、社会主義はいささかも含まれてはいない。
●トルドビキは、カデットと労働者民主主義派の間を動揺している。これは小経営主の階級的地位から不可避に出てくるものだ。小経営主を結集し組織し教育することは困難。ナロードニキ左派のおろかな「召還主義」に助長されて、悲しむべき解党状態に陥っている。
●労働者民主主義派（ボルシェビキ）　自覚した労働者は、階級として自らを組織し、労働組合その他のあらゆる形態の団結を発展させながら、資本に対抗する賃金労働者の代表者としても、またロシアにおける旧制度全体に反対し、その旧制度へのあらゆる譲歩に反対する徹底した民主主義派の代表者として立ち現れている。