ロシアの選挙制度の仕組み
ロシアの選挙制度の仕組み
ロシアの選挙制度の特徴は、有権者層を四つに分割し、各部類(クーリア)ごとに多段階選挙を行うクーリア制度にあった。
四つの部類とは、土地所有者クーリア、都市民クーリア、農民クーリア、労働者クーリアである。
(1)土地所有者クーリア
基本的に100から800デシャチーナ以上の土地の所有者は郡土地有権者大会へ、それに順ずる土地所有者は有権者代表を通じて郡土地有権者大会へ参加し選挙権行使。
(2)都市民クーリア
資本家、小市民、専門自由業に選挙権を与えた。鉄道労働者のうち機関士・車掌に与えた一方、それ以外の鉄道労働者には与えなかった。
(3)農民クーリア
10戸から1人の割合で選出される郷会会員に選挙権を与えた。
(4)労働者クーリア
選挙権が与えられたのは男子労働者総数50人以上の工場・鉱山の25歳以上の男子労働者。
有権者代表比率は50~1000人の企業から1名、1000人以上の企業では各1000人増すごとに1名加算とした。50人以下の工場労働者、工場以外の労働者(運輸・建設・商業・手工業など)の労働者には選挙権は与えられなかった。
特徴は、特定大都市の選挙区だけが有権者の直接投票で最終選挙人を選ぶことができた。
それ以外は、各選挙会所定の議長が主宰する会議で参加者から代表を互選するということであった。
選挙の結果、最終選挙人の配分はどうなるのか。左の表を見てほしい。
土地所有者の1票は都市民の2票、農民の15票、労働者の45票に等しい。要するに、第1に地主階級が、次に資本家階級が勝利するように階級的につくられているのだ。
しかし、選挙の末端単位に労働者・農民の生産=生活単位であると同時に革命運動の拠点である農村共同体と工場を設定することになった。
しかもクーリア制度そのものが集団的宣伝・討論・支持獲得・代表者選出を前提にしており、警察の監視の条件下とはいえ、選挙のための予備集会(農村や工場で)を前提にしていた。この制度は、有権者を個々に分断することなく労働者を階級的に団結させるものであった。