■News & Review 韓国民主労総4月ゼネスト、4月24日に決定メーデーにはソウルで大規模闘争を展開

月刊『国際労働運動』48頁(0463号02面01)(2015/04/01)


■News & Review 韓国
民主労総4月ゼネスト、4月24日に決定
メーデーにはソウルで大規模闘争を展開

(写真 民主労総のストライキ宣布記者会見【2月25日】)

(写真 クミ支部の国会前行動)

(写真 大法院不当判決を弾劾。左からキムスンハKTX乗務支部長、キムヨンフン鉄道労組委員長【3月4日】)

朴槿恵大統領に民主労総との会談を要求

 朴槿恵(パククネ)大統領就任3年目になる2月25日、民主労総は記者会見を開きゼネストの日程を正式発表した。同時に対政府要求案について3月31日までに回答することを要求し、朴槿恵大統領と民主労総の単独会談を要求した。また3月中旬から5月1日まで続くゼネスト準備・実行計画も発表した。
 記者会見でハンサンギュン委員長は「朴槿恵大統領は△財閥だけを肥やす親財閥経済政策△誰でもいつでも解雇することができて非正規職にしようとする労働市場構造改悪△庶民増税だけで福祉はない庶民殺し政策の即刻中断要求に対する答弁を持って3月31日までに会談に応ずることを要求する」「朴槿恵大統領が要求に応じない場合、民主労総は4月ゼネストを始めに汎国民的闘争に突入する」と明らかにした。
 民主労総は対政府4大要求案として△労働市場柔軟化など労働者殺し政策の廃棄△公的年金強化及び公務員年金改悪中断△最低賃金1万㌆争取△勤労基準法全面適用及び労組法2条改訂、すべての労働者の労働基本権争取を提示した。
 朴大統領が対政府要求を拒絶したら民主労総は4月24日(金)ゼネストに突入し、4月30日まで議題別、部門別、地域別闘争を連続配置してゼネスト闘争週間を設定する。これにより24日ゼネスト大会、25日公務員年金闘争、27日労働市場構造改悪闘争、28日民営化及び公共機関「正常化」粉砕闘争、29日非正規職闘争、30日大学構造調整闘争を展開する。
 メーデーの5月1日にはソウルに力量を総集中して大規模闘争を展開する方針だ。ゼネスト準備は3月末までに組合員総投票を行って、4月2日に総投票結果を発表することとして、3月2日から委員長と役員たちが全国の単位事業場を巡回する。3月20日と21日には単位事業場代表者・幹部決意大会も行う。
 民主労総はゼネスト組織化のための中央実践団と教育団を結成して、全組合員を対象に1回以上のゼネスト教育も行う。ゼネスト準備力量を高め、ゼネスト過程で必要なゼネスト基金80億㌆準備のために組合員1人当り1万㌆以上(低賃金水準労働者5千㌆以上)の基金も募集するとしている。
 ハンサンギュン委員長は対政府要求の発表で 「朴槿恵大統領はこの国の全労働者を非正規職のようにしようとしている」と弾劾し、 「良い雇用をつくるどころか『さらに簡単な解雇、さらに低い賃金、さらに多くの非正規職』をつくらなければ投資しないという財閥のために働いている」と非難した。 また「公務員を鉄鉢〔てっぱつ〕(僧侶が托鉢〔たくはつ〕で食物などを受け取る器)だと言い立てて、一生払い続けてきた年金を削減する年金改悪は、500万公務員家族の生存権を奪う」ものだとし 「財閥に金を稼がせる年金市場を提供する胸算用で公務員年金を食いものにするのではなく、 国民年金を年金らしく強化しろ」と要求した。

成功の鍵は現場労働者の基層からの決起

 現場労働者の間には朴槿恵政権と一戦を交えたいという願望が満ち溢れている。
 しかし多くの産別労組や単位労組指導部は、4月24日にみんな一緒にゼネストをやろうという意欲や努力がいまいちだといわれる。
 一部の産別指導者たちは各労組の条件に合わせて多様な日時と方式で闘争すればいいと主張しているとされる。しかしそうなればゼネストの効果を出すことができない。たった1日であってもすべての部門の労働者たちが一緒にストライキに突入して、工場を止めて、官公署を止めて、スーパーを止めて、学校を止めなければならない。
 すでに4・24ゼネスト参加を予告している全教組と建設労組等だけではなく、金属労組や公務員労組などがストライキ日程を4月24日に合わせることが重要な課題になっている。金属労組中央委は「労働法改悪案上程の時や政府のガイドライン発表の時」にストライキをすることと決定した。このような後追い闘争ではダメだというのがこの間の経験だったし、このような反省の上に立ったのが今回の「先制的ゼネスト闘争」だ。金属労組の4・24ゼネスト参加決定の努力が求められている。
 ゼネストに対するハンサンギュン委員長の意志は確固としている。しかしそれを成功させる原動力は現場から出てくるしかない。現場組合員たちがストライキ組織化のための活動に立てば多くの組合員たちの呼応を得てさらに大きな変化を起こすことができる情勢だ。
 民主労総は、金泳三政権に大打撃を与えた1996~97年の労働法改悪反対ゼネストのような闘いを本気でつくり出そうとしている。
 このような闘いに対してわれわれ日本の労働者は同じ新自由主義攻撃に対して闘っている労働者として固く団結していくことが求められている。

金属労組クミ支部がKEC会社に勝利

 昨年末12月、慶尚北道(キョンサンプクド)のクミ工業団地のKECで金属労組クミ支部が会社の「構造高度化計画」を粉砕する勝利をかちとった。
 KEC会社が2011年には韓国で一番目の複数労組となる「KEC労組」をつくり、2012年に大量解雇を行った労組破壊行為はすべて「構造高度化事業」を推進するための事前作業だったのだ。
 KEC支会は4年間、渾身の力で「構造高度化計画」に対して闘い、クミ地域の労働者、市民との広範囲な団結をつくり出して闘い、勝利したのだ。
 以下は勝利を伝えるKEC支会ニュースだ。

●KEC支会ニュース 第196号 2014年12月18日

 構造高度化脱落、市民とわれわれが勝った。
 民心が天心だという言葉は間違いではなかった。会社が死活をかけていた構造高度化民間代行事業から脱落した。昨日、韓国産業団地公団は会社に構造高度化民間代行事業には不適正で審査から脱落したと通報した。
 われわれが勝った。この2カ月間、われわれはクミ工場の存廃がかかったこの闘いにすべてをかけて闘争してきた。2回の整理解雇に対して勝ち抜いた力で、市民とともにクミ工業団地と仕事場を守るために心を一つにして闘った。その結果、われわれは市民とともに勝利した。貪欲を押し出した会社の策動はこのように潰えた。万事正しい道理に帰するということだ。
 会社はとても現実を認めることができないだろう。すべては終わりだ。どうしてこんな結果が出ることになったのか到底信じたくないだろう。この5年間、惨憺たる労組破壊が行われる時もけっして表に姿を現さなかったクァクチョンソ大株主まで出てくるほどにすべてをこれにかけたからだ。手をかけてきた塔が崩れたのだ。
 しかしこの事業は始めから話にならない特恵だった。会社は公々然と露骨に工場敷地に大型百貨店とホテルを建てて蔵を満たそうという貪欲を示した。クミの経済活性化だの5000人の雇用創出だのと騒いだが、それは口だけの宴会に過ぎないということを大部分の市民たちには分かったのだ。
 会社自ら製造業を脱皮して観光消費都市にすると公言している時に、構造高度化が業種転換をとおした土地投機だということが分からなかったら愚かというものだ。
 KECは2011年から4年目のこの事業にすべてのものをかけた。しかし審査で脱落した。理由は他でもない。金属労組KEC支会と地域の市民社会団体、商人、庶民のすべてが、構造高度化が製造業の業種転換を促進して結果的に労働者、商人、庶民の生計を脅かすものだということを知って反対の声を集めたからだ。クミの構造高度化民間代行事業はこれからは市民的合意がなくしては不可能だ。
 今クァクチョンソ会長は夢から冷めなければならない。貪欲の妄想を捨てなければならない。
 その無駄な欲望が金属労組KEC支会と組合員に残した傷は非常に深い。いや、KECを満身創痍にした。われわれは今回の闘争をとおして確然と悟った。2010年にしでかした計画的な労組破壊の核心的理由はまさに構造高度化だったということを。しかし残忍で痛い労組破壊の過程は最初のボタンから掛け違ったものと判定が出たのだ。

KTX女性乗務員に大法院が不当判決

 2月26日、大法院(最高裁)民事1部は、KTX(韓国高速鉄道)の女性乗務員らがコレイル(鉄道庁)を相手に提起していた勤労者地位確認訴訟で、乗務員勝訴の一、二審判決を破棄し、事件を審理し直すようソウル高等法院に差し戻した。
 KTXの女性乗務員らは、「弘益会」と「鉄道流通」に雇用されていたが、2005年に鉄道公社による直接雇用を要求してストライキに立ち上がった。だが、「鉄道流通」は06年に、ストによる乗務事業管理の困難を理由に乗務委託事業を放棄、離職しない職員らを新しい委託会社(現在のコレイル観光開発)から整理解雇した。一、二審は、「女性乗務員と鉄道流通の間の業務委託は偽装請負に該当し、コレイルが直接女性乗務員を採用したものと見なければならない」としていた。これを覆したのだ。
 これに対して女性乗務員らが所属する全国鉄道労組は、大法院の判決が使用者の責任回避に免罪符を与えたと批判、直ちに声明を出し、「KTX女性乗務員から始まった外注化は今では鉄道現場に蔓延するようになり、安全を根本から脅かす状況になっている」とし、「新設路線には鉄道公社の職員より外注業者の職員の方がはるかに多い」と指摘した。
 3月4日午前、ソウル駅広場で、鉄道労組と同ソウル本部KTX乗務支部が大法院判決糾弾記者会見を開き「鉄道公社を糾弾する。直接雇用を保障せよ」「不当判決を糾弾する。大法院は覚醒せよ」と叫んだ。
 KTX乗務支部のキムスンハ支部長が会見の冒頭で「大法院の判決は何の根拠もなく鉄道庁の主張をそのまま受け入れたものだ」として「今回の判決によって大法院が法と正義の守護者ではなく、使用者、資本の下僕であることを自ら自認した判決」だと指摘して「KTXの安全のためにも受け入れることができない。今回の判決で再度確認した。労働者の当然な権利は闘争で闘ってかちとるしかない」と闘争を決意した。
 10年が経って再び街に出たKTX乗務員たちは「この地で苦痛を受けるすべての解雇労働者、非正規労働者とともに闘っていく」と述べた。
 大法院は、KTX女性乗務員への反動判決を下したその日、現代(ヒョンデ)自動車牙山(アサン)工場の社内下請け労働者には不法派遣を認定する判決を下した。しかし現代資本は敗訴しても態度を変えない。闘争だけが労働者を生きさせる道だ。4月ゼネスト突入は決定的である。
(大森民雄)