■国際労働運動の暦　10月20日
　■１９８５年三里塚十字路戦闘■
　二期着工阻止の激突
　「成田空港に突入せよ！」の号令で機動隊の阻止線を破り壊滅させる

　85年の10・20三里塚戦闘は、80年代の三里塚２期着工攻撃に対する頂点的な大反撃の闘いだった。
　78年にやっとのことでＡ滑走路のみの暫定開港に至った政府・空港公団は、２期攻撃に踏み切れずにいた。政府は、三里塚反対同盟を切り崩すために様々な工作を仕掛け、それが83年の脱落派の形成、３・８分裂に至った。しかし、反対同盟は「空港絶対反対・一切の話し合い拒否｣｢農地死守・実力闘争｣｢２期阻止・空港廃港」の原則を鮮明にして、条件闘争化を粉砕した。
　最大の切り崩し攻撃が成田用水攻撃だった。それはＢ滑走路南側の芝山町菱田地区の農民を甘言をもって切り崩し、空港敷地内の農民との分断を図るものだった。
　83年６月には、中曽根内閣が成田２期工事の着工を宣言した。中曽根は、国鉄労働運動壊滅のための分割・民営化攻撃を進める一方で三里塚闘争に対して大攻撃を仕掛けてきたのだ。
　三里塚現地では、84年から成田用水着工攻撃との現地決戦が闘われていた。敷地内の故市東東市さん（孝雄さんの父）を始め農民５人が、機動隊と激突して逮捕された。85年７月、８月と菱田現地で現地実力対決の闘いが続いていた。
　10・20闘争は三里塚反対同盟の秋の大闘争として７月から呼びかけられた。２期着工を何としても阻むという激しい戦闘意志のもと、全学連は７月全学連大会で「10・20空港突入闘争」を決定した。「全学連５千を先頭に巨万の人民の力で、機動隊の壁を破り、空港に突入し、２期計画を粉砕する」闘いとして設定されたのだ。３カ月がかりで公然と宣言され、準備された闘いだったのだ。
▼全国から１万５千人
　こうして10月20日、三里塚第一公園には78年開港阻止決戦以来最大の１万５千人の労働者農民学生が結集した。分割・民営化との闘いの最中の動労千葉は全組合員の半数が結集した。ジェット燃料貨車輸送阻止闘争で打ち固められた労農連帯の心意気が示された。
　集会で鎌田雅志全学連委員長は「成田空港に突入しよう」と熱烈に訴えた。そして会場内で武装した全学連行動隊を先頭にその場から空港第３ゲートに向けての突撃が始まった。三里塚交差点に布陣する機動隊の壁に向かって巨大な丸太を抱えた白ヘル部隊が突進し、衝突した。機動隊は総崩れになり、放水とガス銃の水平撃ちで対抗した。すさまじい白兵戦が数時間にわたって展開された。放水車は学生に乗っ取られ、装甲車は火を放たれて炎上した。警官の重軽傷者は１５０人を超え、国家権力は深刻な打撃をこうむり、その暴力支配は破綻した。
　予告通りの大衆的実力闘争の大爆発だった。全学連の奮闘に反対同盟は快哉を叫んだ。「よくやった全学連！」「暴力機動隊はやられて当然。思い知ったか中曽根・公団」と。市東東市さんは「空港警備の機動隊もやられ、ゲリラにもやられ、もう『空港安全』神話は崩壊した」と評価した。
▼動労千葉ストと一体
　同時期、北富士忍草母の会は、入会小屋死守戦を闘い、米軍の実弾演習に対して実力で対決して闘っていた。関西では関西新空港に反対する泉佐野現地闘争が燃えていた。「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根の大攻撃に対する全人民の闘いが至る所で巻き起こっていた。その最先頭に三里塚決戦があったのだ。
　何よりも、日帝・中曽根の最大の攻撃は、国鉄分割・民営化の攻撃だった。動労カクマル松崎が率先して中曽根の軍門に下りその先兵として立ち現れた。国労はまともな闘いが組めなかった。唯一、動労千葉が真っ向から対決し、11・28～29ストライキに敢然と突入した。これを支援して津田沼駅前の大集会・デモが闘いとられ、同時に11・29浅草橋戦闘と革命的ゲリラ戦が闘われた。
　まさに85年秋は、国鉄・三里塚決戦として大高揚し、その後の階級情勢を決定する闘いを刻印する時となったのだ。

■1985年三里塚闘争関連日誌
3. 6　東峰十字路裁判、最終弁論（結審）
3.24　三里塚全国総決起集会に1万4800人
4.12　成田・羽田両空港に計15発のロケット弾
5.26　三里塚全国総決起集会に1万2100人
7.21　全学連、菱田現地で機動隊を撃破
7.24～25　全学連大会、２期阻止、中曽根打倒の三里塚決戦方針を決定
8.25　全学連、菱田で機動隊を撃破
8.28　運輸省、1990年に2期工事概成と宣言
9. 3　成田空港ロケット弾攻撃
9.16　三里塚現地集会、9530人
10.20　三里塚に全国から1万5千人、空港突入へ激突
11.25　成田用水菱田第2工区の着工
11.28～29　動労千葉がスト、徹夜の支援集会に2400人、ゲリラ戦と浅草橋戦闘