■国際労働運動の暦 5月30日 ■1949年公安条例反対闘争■ 都議会で警官と激突 東交労働者橋本金二の虐殺に怒り柳島支部などで無期限ストに突入

月刊『国際労働運動』48頁(0453号06面01)(2014/05/01)


■国際労働運動の暦 5月30日
 ■1949年公安条例反対闘争■
 都議会で警官と激突
 東交労働者橋本金二の虐殺に怒り柳島支部などで無期限ストに突入

(写真 都議会内で警官隊とデモ隊が激突【49年5月30日】)

 第2次世界大戦での日帝の敗北を契機に、戦前の治安維持法や治安警察法などの治安関係法規が撤廃され、集会・結社・示威運動が燎原の火のように広がった。米帝は日帝が二度と刃向かうことがないよう、その権力機構を打ち砕くために、民主主義を掲げて登場した。しかし、労働者階級がひとたび闘いに立ち上がるや、それは革命の課題を前面化させる。米帝はプロレタリア革命を圧殺するために牙をむきだした。1947年の2・1スト圧殺でそれは衝撃的に突き出された。
 公安条例は、市町村や都道府県の条例として地方自治体議会に提出され、成立していった。

▼米占領軍の肝いりで

 48年6月の福井大地震の後、7月7日に、日本で最初の公安条例が「災害時公安維持に関する条例」として福井市で制定された。関東大震災後の戒厳令発動のように、大震災を治安問題としてとらえた支配階級が、言論・出版・集会・示威行動の自由を制限する動きに出たのだ。戦後憲法が前年5月に施行された中で、このような弾圧法規が出てくること自体が重大事である。これを受けて、さらに7月には大阪市議会で公安条例が提出され、10月に制定された。同年4月の阪神教育闘争に示された在日朝鮮人の闘いの爆発に対する反動である。その後、全国各地の地方自治体にこの動きが広がった。公安条例の制定には、米占領軍の地方軍政部からの強力な圧力が加えられた。
 東京でも軍政部が督促し、制定が準備された。これに対し、労働組合を中心に公安条例反対共闘が組織され、都議会での採決阻止に向け大衆的な怒りが集中した。5月30日早朝から、条例制定に抗議する人民が都議会(当時、都庁と都議会は丸の内にあった。現在は東京国際フォーラムになっている)に押しかけた。夜になってもその数は増え、3千人を超えた。傍聴席は満席となり、デモ隊は議場を包囲し、都議会の廊下から外までいっぱいになった。500人の武装警官隊が都議会議事堂に突入し、中にいた労働者を廊下からも傍聴席からも排除して、公安条例成立を図った。都議会内では至るところで警官隊との衝突が起き、その中で東京交通労組(東交)労働者橋本金二(25)が3階から突き落とされ、警官隊に足蹴にされて殺される事件が発生した。
 集まった労働者の怒りは爆発した。警官隊は増援されたが、労働者はスクラムを組んで午後11時過ぎ、警察の阻止線を突き破り、桜田門の警視庁前に進出して弾劾した。
 翌31日、抗議はさらに拡大した。都庁内広場で、国労、全農林、電産、都職、全逓、金属などの労働者と全学連が8000人の虐殺抗議の公安条例反対大会を開いた。これに対して1千人の武装警官隊が襲撃して乱闘となり、全官公委員長など65人が逮捕された。
 橋本金二は都電の車掌だった。当時、地下鉄はまだなく、都電労働者が大半だった。その出身職場である東交柳島支部は31日早朝から当局の業務命令を拒否してストライキに突入、引き続いて東部地区9支部がこれに続き、目黒、広尾の各支部も決起した。社会民主主義者に指導されていた改良主義的な組合幹部は、スト中止指令を発し、押さえ込みに走った。柳島支部はこれを拒否して、再びストに立ち上がった。目黒、広尾支部も無期限ストに入った。呼応する民間単組のストも広がった。

▼社民幹部がスト圧殺

 6日、交通当局は3支部幹部10人を解雇、翌7日、東京地検は3支部幹部を逮捕した。東交内の日共は必死に奔走し、3支部共闘委員会にスト中止をのませた。6日間にわたるストは終了したが、東交本部は直ちにスト責任者として29人(うち28人は日共党員)を組合から除名した。公安条例の成立はいったん阻まれ、10月20日にずれ込んだ。
 公安条例はその後の大衆運動を弾圧する大きな武器となった。その成立をめぐる攻防は、日和見主義に支配された組合でも、職場の怒りに依拠して団結して闘えば、労働者は必ず立ち上がることを示した。

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公安条例関連日誌

1948年
6.28 福井大震災、死者3769人
7. 7 福井市で公安条例制定
7.30 大阪市議会に公安条例案が提出
10. 5 大阪市公安条例公布
1949年
4. 4 団体等規正令公布
5.30 都議会内で武装警官隊とデモが激突、橋本金二虐殺
5.31 都庁内広場で公安条例反対大会
6. 1 東交柳島支部などスト突入
6. 6 交通当局10人を解雇
6. 7 東京地検、3支部幹部を逮捕
10.20 東京都公安条例公布