■News & Review 韓国 鉄道労組、再度のストライキに立つ 偽装廃業・労組破壊と闘うサムスン電子支会

月刊『国際労働運動』48頁(0453号02面01)(2014/05/01)


■News & Review
 韓国
 鉄道労組、再度のストライキに立つ
 偽装廃業・労組破壊と闘うサムスン電子支会

(写真 鉄道労組組合員の社会的他殺に抗議する社会各界円卓会議の記者会見【4月4日 ソウル駅広場】)

第1章 強制配転に反撃へ

 昨年末に23日間のストライキを打ち抜いた鉄道労組が再度のストライキに立つ見通しだ。
 ストライキの直接の問題は、850人の組合員に対する強制配転だ。この強制配転は明確に昨年末の23日間の民営化阻止ストライキに対する報復労組弾圧だ。この強制配転攻撃の過程で4月3日にはストレスに苛まれた1人の労組員が自ら命を絶つという事件が起きている。この強制配転攻撃は主として運転士、車両整備職場の組合員(23日間のストライキでも最も強固な職場だった)にかけられており、運転士、車両整備職場の労組員のストライキ要求の声が強い。鉄道公社の人事委員会が強制配転の決定を出せば、鉄道労組はすぐにストライキに突入する計画だ。
 昨年12月31日、与野党の仲裁で労組ストライキを終えて対話をとおして合理的に問題を解決することにした。しかし鉄道公社は激しい報復弾圧をかけてきた。130人を解雇し、251人を停職にする総計404人の労組幹部の重懲戒を決定し、労組に対して160億㌆に達する損害賠償仮差し押さえを行い、さらに今後ストライキに参加した組合員8400人以上に対して懲戒がなされるという。そして 労組との協議は一切なしに中央線の列車のワンマン化を強行した。そしてさらに850人の組合員に対する配転攻撃をかけてきたのだ。
 朴槿恵(パククネ)政権、鉄道公社の労働者の力を見くびった高飛車な労組破壊攻撃は絶対に見過ごすわけにはいかない。前回の長期ストでかちとった地平を確固たるものにするためにも、あらゆる犠牲を払ってでも、ここで再度闘いに立つしかないのだ。
 鉄道労組は3月29日、ソウル駅広場で鉄道公社の強制配転計画の中断を要求する「ゼネスト総力闘争決意大会」を開いた。集会の終わりには鉄道労組委員長を含む組合員70人が断髪式を行った。
 4月4日には鉄道公社の人事委員会開催に合わせて「チェヨンヘ社長退陣! 強制配置転換中断! 故チョサンマン鉄道労組組合員社会的他殺糾弾社会各界円卓会議記者会見」が開かれ、組合員のストレス自殺を呼び起こした労組破壊のための強制配置転換を弾劾し、人事委員会が強制配置転換対象者を確定したならば即刻ストライキに突入することを宣言した。鉄道労組キムミョンファン委員長は記者会見の後で「鉄道公社は7日頃、強制配転対象者に通報するという方針だとしており組合員は不安がっている。最小100余人の組合員たちは現在、自分たちがどこに配置転換されるのかも知らされずにいる。公社側が最小限彼らに対して協議をせよと言っている状態だ。もし一方的に配置転換を強行するならは再び列車を止めるしかない」と述べた。
 一方、鉄道公社側は報道資料を発表して「故チョソンマン氏が所属していた電気分野は鉄道労組が主張する7月の循環填補計画ではなく、4月1日の鉄道労使論議内容でも 7月には電気分野は循環填補対象ではないことを明確にしている。鉄道労組は個人の死を労使葛藤の道具にして、さらに個人の家族に痛みを与える行為を即刻やめよ」と批判している。

医療民営化阻止の闘い

(写真 医療民営化阻止汎国民運動本部発足記者会見【3月11日】)

 鉄道民営化阻止闘争に続いて医療民営化阻止闘争が焦点になっている。保健医療労組は闘争本部体制を構築して医療民営化攻撃と真っ向から闘う体制を取っている。その戦場では昨年韓国南部の鎮守医療院廃止攻撃に対する闘いの火ぶたが切られている。現在「医療民営化反対100万人署名運動が取り組まれており、統一地方選挙が行われる6月に最大の闘いを集中する計画だ。
 そういう中で朴槿恵政権は「遠隔治療」の推進と、病院の付帯「営利子会社」を認可する具体政策を押し出してきた。この二つは朴槿恵大統領が上半期内の法案通過を公言するなど強い意志を示している。
 資本の側がこれらの医療民営化政策を要求する理由は明確だ。サムスンはすでにずっと前から病院、保険会社、医療機器会社、バイオ製薬会社、医療物流会社など医療をとおして本格的に金稼ぎをするためにラインアップを構築してきたし、今年サムスングループは50兆㌆を医療分野に投資するだろうとされている。SK&LGなども数百億㌆を投資して遠隔医療事業に飛び込んでいる。SKはソウル大病院とともにヘルスコネクトという医療法人営利子会社まで作った。チャ病院のような医療グループはすでに先行的に営利病院を運営し、さらに全面的に運営したいと思っている。資本は金をかけてきており、今こそその成果を収穫しようとしている。投資活性化対策と営利子会社、遠隔医療はこれら資本に札束を抱かせてやるための朴槿恵政府のプレゼントだ。その金は暴騰する医療費から出てくるものだ。営利子会社が許容されると病院は営利子会社の利潤を稼いでやる通路になるのだ。営利子会社の売上を拡大するために病院は患者がより多く検査や、付帯営利事業を利用するようにしむけるだろう。これは公共医療体制に穴を開けて医療体制を崩壊させていくものになる。
 朴槿恵政権は法律改正に対する国民的な抵抗を避けるために、施行令の改正だけで切り抜けようとしている。しかし医療保健労組を中心とする医療民営化阻止闘争は朴槿恵政権の医療民営化の本質を暴露しぬき、圧倒的な労働者、市民の支持を受けて力強く展開されていくだろう。

サムスン電子サービス支会労働者の闘い

(写真 サムスン電子サービス労働者への警察暴力を糾弾する記者会見【4月4日】)

 去年7月、無労組経営を誇る「サムスン神話」を打ち破り、サムスン資本の会社の中で初めて労組を作り上げて闘っているのが金属労組サムスン電子サービス支会の労働者たちだ。
 労組はサムスン電子サービスのさまざまな「協力会社」に所属し、サムスン電子サービスの外注・下請け労働者として働く非正規職の全国的な組織だ。労働者たちはサムスン電子サービスの修理営業所(センター)でサムスン電子製品の修理などのアフターサービスをしている技師たちだ。労組設立はサムスン資本に大きな打撃を与えた。
 サムスン資本は労組破壊のためにあらゆる労組弾圧を繰り広げてきた。その中でチェジョンボム烈士があまりにも非人間的な労働条件と労組員差別に抗議して自ら命を絶つということが起こり、それに対する怒りが、サムスン資本に対する闘いを金属労組全体、民主労総全体の闘いに押し上げた。
 サムスン電子サービス支会の労働者たちは、あまりにもひどい労働条件を改善するために今年1月13日から釜山、慶南の八つの営業所でストライキを行った。そしてストライキは首都圏のセンターと全国へと拡大していった。このようにストライキが激しく拡大していく中で、サムスン資本は卑劣な労組破壊の手段としてサムスン電子サービスセンターの「偽装廃業」を打ち出してきた。今年2月に会社は経営上の理由を押し立てて釜山の海雲台センター、京畿仁川センター、忠南牙山センターの3カ所を閉鎖すると宣告し労働者を解雇したのだ。あけすけな偽装廃業による労組弾圧だ。会社側は三つのセンターを廃止すると宣言する一方で、サムスングループ内部のインターネット網をとおして新たな「社長」候補を募集することまでしている。
 このような労組弾圧に対するサムスン電子サービス支会労働者の激烈な闘いが展開されている。3月31日にはサムスン電子サービス忠南牙山センター前で警察権力との激突が起こった。サムスン電子サービスの大田・忠清地域の労働者など350人が偽装廃業に抗議して集会を開き、センター前で籠城テントを設置しようとすると、警官400人が押し寄せてテントを持ち去ろうとして大激突になった。その過程で警察はサムスン電子サービス支会組合員ら16人を連行した。警察は連行者に手錠までかけるあからさまな見せしめでサムスン資本防衛の傭兵役を演じた。警察は牙山署に連行していった後でも手錠を解かなかったという。衝突の過程で警察がまいた催涙液を目に浴びた組合員の病院護送も聞き入れなかった。
 このような激しく厳しい闘いを続けながらも組合組織の力を確実に強めているサムスン電子サービス支会労働者の闘いは、失うべきものがない労働者の根底からの決起だ。必ずやサムスン資本を打ち破って勝利して韓国の労働者全体に、全世界の労働者の闘いに希望を与えるものになるだろう。

2回目のユソン希望バス計画を発表

(写真 ユソン企業支会のイジョンフン支会長が高空籠城を続けている公告鉄塔)

 イジョンフン支会長の高空籠城が続いている金属労組ユソン企業支会を激励して、3月15日から1泊2日で行われた「ユソン希望バス」に続いて5月10日に再度1泊2日で「ユソン希望バス」が運行される計画が希望バス企画団から記者会見で発表された。
 企画団は「3・15ユソン希望バスは、強力な警告とともに誠実交渉による問題解決をする時間を与えたが、ユソン企業は正反対に民主労組弾圧に動いている」と2次希望バスの理由を明らかにした。 実際に、1次希望バスが行われた後、9日で会社は企業労組(御用労組)と賃金交渉暫定合意をして激励金600万㌆および一日2500㌆の賃上げを約束し、労組差別をさらに露骨化させている。
 現場での衝突も頻繁に発生している。ユソン企業牙山支会のホンジョンイン支会長は「副社長が管理者を集めて組合員に殴られて倒れろと指示している。それで管理者は組合員に文句をつけ、暴力を誘発した後、証拠を作り救急車を呼んで、組合員を集団暴力で告訴告発する。現場では暴力が乱舞している。労組破壊問題は、単にユソンだけの問題ではなく、全国すべての労働者たちの問題」と説明した。
 統一問題研究所長のペクキワン氏も「3月15日、100台の希望バスに乗って来てくれた多くの方々に感謝する。イジョンフン支会長は、この世の一番致命的な矛盾と闘って、血の涙を流している。 また希望バスが駆けつける。皆さんが先頭に立ってくれ」と発言した。
 記者会見には、マンド、SJM、サンシンブレーキ、バレオマンド、ボッシュ電装、コンチネンタル、発電労組、韓進重工業、KECなどの 労組破壊事業場労働者と労働、市民社会、文化芸術、学界の人々が参加した。
 今回の2次ユソン希望バスの提案スローガンは「包囲しろ、野蛮の工場! 彼らを拘束しろ!」だ。1次希望バスがイジョンフン支会長を応援し、ユソン企業への怒りを表現したが、2次希望バスは怒りを超える強力な社会的な抗議行動を示すべきだという趣旨だ。
 記者会見の参加者は「今日またエンジンをかける5・10ユソン希望バスが、2014年の韓国社会に本当の民主主義の春を呼ぶ力強い警笛になることを約束する」とし 「皆が一緒にまたこの希望バスを出発させてほしい」と明らかにした。
(大森民雄)