■News & Review 日本 2・16から27年、東京・北海道・九州で集会 解雇撤回へ最高裁10万筆署名に全力誓う

月刊『国際労働運動』48頁(0452号02面02)(2014/04/01)


■News & Review 日本
 2・16から27年、東京・北海道・九州で集会
 解雇撤回へ最高裁10万筆署名に全力誓う

(写真 最高裁決戦勝利へ〝団結ガンバロー〟)
(写真 JR職場から決意表明。発言は北嶋琢磨動労千葉青年部長【2月16日 東京・すみだ産業会館】)
(写真 JR北海道の安全崩壊を弾劾する成田さんの発言に参加者が聴き入る【2月16日 札幌市】)
(写真 羽廣さんが国鉄闘争勝利へ揺るがぬ決意を表明し、会場全体に戦闘精神がみなぎった【2月16日 福岡市】)


 国鉄分割・民営化で1987年2月16日にJR採用・不採用が通知されてから27年目の2月16日、国鉄闘争全国運動は東京、北海道、九州の全国3カ所で国鉄1047名解雇撤回を掲げた集会を開いた。一度目の首切り=JR不採用への怒りも新たに、動労千葉鉄建公団訴訟の最高裁勝利判決に向けて、10万筆署名を全力で推進する決意を固め合った。

東京集会に655人

 東京・すみだ産業会館で夕方から開かれた「国鉄分割・民営化で不当解雇から27年―2・16労働者集会」は、会場を埋め尽くす655人の結集をかちとった。東京都知事選決戦の熱気も冷めやらぬ中での集会は、国鉄最高裁決戦を基軸に、首都圏で階級的労働運動の拠点を建設することを誓い合う場になった。
 主催者あいさつに立った国鉄闘争全国運動呼びかけ人の花輪不二男さん(世田谷地区労顧問)は「不当解雇から27年、つけは倍にして返そう。新自由主義によって苦しめられている非正規の労働者、万国の労働者と団結し、労働者階級の解放をかちとることを誓い合おう」と力を込めて訴えた。
 動労千葉からの報告を田中康宏委員長が行った。田中委員長は、昨年9月25日の動労千葉鉄建公団訴訟控訴審判決について、「今の時代に一石を投じた。27年間、労働者を襲ったことをひっくり返す手がかりをつかんだ。国鉄分割・民営化の問題は国鉄労働者だけでなく、すべての労働者の問題だ。そして私たちの職場の問題だ。ここで分割・民営化反対闘争をやめることはできない」と力説した。外注化粉砕の闘いについて、「外注化はすべてが偽装請負だ。今日を新しい闘いの出発点にする」と宣言した。そして、JR北海道の安全の崩壊という現実の中で、「今こそ労働運動が力を取り戻す時だ。戦争を止め労働者の現実を変えるため、闘う労働組合が必要だ。それは私たちの手に掛かっている」と訴えた。
 都知事選を闘い抜いた鈴木達夫弁護士(動労千葉弁護団)が連帯のあいさつに立ち、「都知事選は現代革命への挑戦だった。21世紀、労働運動を基礎に労働者自身の手で勝利すると真っ向から訴え、それは労働者階級の胸に確実に届いた。今回の選挙は一歩に過ぎない。都知事選は権力闘争、パリ・コミューンを目指す闘いだ。それは、悪政を断ち切ると労働者が決断すれば簡単なことだ。それが今回の選挙で見えた」と1カ月の白熱的な決戦を総括した。

国鉄改革法粉砕へ

 3本の特別報告が行われた。最初に動労千葉弁護団の葉山岳夫弁護士が、動労千葉鉄建公団訴訟で1月27日、最高裁に上告理由書と上告受理申立理由書を提出したことを明らかにし、「上告理由は、国鉄改革関連8法、とりわけ国鉄改革法23条は違憲のかたまりということだ。『JRによる新規採用』という虚構をつくったが、JR設立委員の斎藤英四郎の関与で不採用基準が策定された事実が暴かれている。斎藤英四郎のした不当労働行為は、もろにJRに及ぶ」として、解雇撤回・原職復帰のために署名の拡大を訴えた。
 国鉄闘争全国運動呼びかけ人の金元重(キムウォンジュン)さんは、水西(スソ)発KTX設立を民営化の前段階ととらえ、その撤回を求めて最長期の23日間のストライキを貫徹した韓国鉄道労組の闘いについて報告し、「公共部門の民営化に反対する国民的な世論をつくり出したことは大きな成果」と述べ、「こういう状況を日本でもつくりたい」と訴えた。
 自治体委託職場で働く民間労働者は、自治体の民営化が業務委託と指定管理者制度で行われている実態を暴露し、「これに対する労働者の課題は、民営化の論理を突破し、労働者の論理を自らのものとすることだ。そのためにも、委託される側の自治体労働者と委託された側の民間労働者が手を結び、闘うことに展望がある」と提起した。
 長年、国鉄闘争を支援してきた2氏が最高裁10万筆署名呼びかけ人として発言した。「高石さんら9人の定年時までのJR雇用を認め、その間の賃金を保障し、加えて対応する年金損失分の保障をする損害賠償を鉄建公団にさせてこそ勝利的金銭解決となる」「4者4団体の運動に一定の協力をしながらも、政治解決、裁判闘争は和解、政治交渉では雇用ゼロで終わった。その後、闘い続けている動労千葉の闘争に、きちっと協力していく」ときっぱりと述べた。
 動労千葉を支援する会・新潟を代表して国労新潟県支部の星野文男さんがJR東日本の新津車両製作所分社化を阻止する決意を語った。
 動労千葉争議団の高石正博さんと中村仁さんが壇上に並び、中村さんが「私がここに立てているのは、動労千葉の組合員がJRの中で闘い、全国の闘う仲間が支えてくれているからだ。解雇撤回に向けて頑張る」と決意表明した。

JRの現場から決意

 動労千葉の長田敏之書記長のカンパアピールに続き、山田護幕張支部長が「出向無効確認訴訟でJR側は『しょせんは労働者派遣法違反に過ぎない』というとんでもない主張をしている。法律を守らないのがJR東だ。こんなJRになんで俺たちが従わなければならないのか。絶対に原職に帰るまで闘いたい」と決意を述べた。
 大竹哲治副委員長は「今、貨物の労働者は怒っている。なんで分割・民営化の失敗を現場労働者に責任を転嫁するのか。賃下げは絶対に許さない。日貨労の裏切りを許さない行動として25日、貨物本社に抗議行動を行う」と提起した。
 動労水戸の石井真一委員長は、「2月23日のいわきの集会に結集してほしい。JR水戸支社は常磐線の竜田延伸を狙っている。2月1、2日にいわき~広野間にポケモン列車を走らせた。広野は安全だというキャンペーンだ。これに対し1月31日にストを打った。福島原発事故は収まっていない」と訴えた。
 動労西日本の大江照己委員長は、山田和広書記長を紹介し、山田書記長は「契約社員としての私の不当解雇を撤回させる」と発言した。
 動労千葉の北嶋琢磨青年部長は、「3月1日付ぐらいには元の職場に戻すと連絡があった」と報告し、ライフサイクル制度粉砕へ、青年部は一丸となって闘うと表明した。
 国労郡山工場支部の橋本光一さんは、「1月末にJR仙台支社が郡山工場の約20人分の外注化を提案してきた。なんとしても阻止する」と述べ、3・11反原発福島行動への大結集を訴えた。
 首都圏広域労組連絡会の吉本伸幸さんが「非正規職化と解雇自由の出発点は国鉄分割・民営化」と喝破し、鈴木コンクリート工業分会、小竹運輸グループの闘争に勝利すると宣言。三浦半島教組の教育労働者は組合権力奪取の決意を示した。
 入江史郎ス労自主委員長が集会をまとめ、「最高裁10万筆署名の達成を」と強調した。動労千葉の繁沢敬一副委員長の音頭で〝団結ガンバロー〟を行い、参加者は2〜3月の決戦に総力で突入した。

韓国からメッセージ

 2・16集会には、韓国の公共運輸労組・連盟委員長のイサンムさん、全国鉄道労働組合、民主労総ソウル地域本部から熱い連帯メッセージが寄せられた。いずれも、27年間にわたる動労千葉の国鉄分割・民営化反対闘争を支持し、韓国で鉄道をはじめとする公共交通と公共サービスの民営化阻止へ、ともに闘う決意を込めたアピールだ。

北海道集会、成田さん、小玉さんを迎え

 2・16北海道集会は、札幌市で開催され、国労原告団・旭川闘争団の成田昭雄さん、秋田闘争団の小玉忠憲さんを迎え、30人が結集した。集会は「あの日を忘れるな!27年目の『2・16』」「国鉄労働者1047名の解雇撤回!」「新10万筆署名で最高裁決戦に勝利しよう」を掲げてかちとられた。
 集会の始めに、国鉄闘争全国運動・北海道の呼びかけ団体である自交総連北海道地連の堀川委員長と札幌圏連帯労組の堀井委員長があいさつ。
 国労原告団の小玉さんは、昨春以降の職場・生産点における国鉄闘争の前進を、①外注化・強制出向を阻止した国労郡山工場支部の闘い、②動労水戸と郡山工場支部の被曝労働拒否の闘いを中心に紹介し、国鉄決戦を軸とした労働者階級の闘いが参院選での山本太郎氏の当選から鈴木達夫氏の都知事選への挑戦という情勢を切り開いていることを報告し、「あらゆるところで動労千葉労働運動の路線で闘おう」と呼びかけた。
 成田さんは、国鉄時代の技術水準も安全を保証するモラルも失われたことを弾劾し、「不当解雇への謝罪はさておき、今すぐにでも現場に戻って安全回復のために働きたい」と語り、会場に感動を巻き起こした。
 基調報告は自交総連SK交通労組委員長の河野晃興さんが行い、「JR北海道の安全崩壊の核心は、保線、検修など有機的に結合して初めて成り立つ鉄道の安全がバラバラになっていることにある」「それをもたらしたのが国鉄分割・民営化、外注化だ」と提起。「金銭和解するからといって『分割・民営化が正しかった』とまで言うべきでないという危機感からこの運動が立ち上がった」と訴えた。

九州集会、羽廣さんが揺るがぬ決意を表明

 2・16国鉄九州集会は、福岡市で国鉄闘争全国運動・九州の主催で開催された。
 「ドキュメント国鉄分割・民営化」と「韓国民主労総、2・25ゼネスト宣言」の2本のビデオ上映で始まり、事務局が基調提起。「国鉄分割・民営化は日本における新自由主義攻撃の歴史的出発点。2・16は民営化による大量解雇の始まり。国鉄闘争の原点がここにある。解雇当該の怒りを共有し、新自由主義と対決し、1047名解雇撤回、国鉄分割・民営化反対を闘い抜こう」と呼びかけた。
 国労小倉地区闘争団の羽廣憲さんは。「2・16は分割・民営化で解雇された者にとって忘れられない日です。25歳で首を切られ、分会青年部で清算事業団に入れられたのは私だけでした。仲間との団結を守る。裏切れない。この思いで私は反対した」と振り返り、「私の立場は絶対反対。だから4・9政治和解の時もまったく動揺はなかった。私の求めるものは解雇撤回であり、JR復帰です」ときっぱりと述べた。
 続いて、元原発労働者が発言に立ち、被曝を強制された経緯を話しながら「危険だとは知らされないままの原発労働だった」と述べ、「今日、国鉄闘争がどういうものだったか初めて知った。今後も皆さんとともに闘いたい」とあいさつした。
 最後に竹内良夫代表が「今日は本当にいい集会でした。この力で安倍を倒そう!」とまとめた。
(大沢 康)