〈投稿〉沖縄と連帯し区議会質問 天皇の戦争責任明確にせよ 杉並区議会議員 洞口朋子
週刊『前進』04頁(3399号02面04)(2025/06/09)
〈投稿〉沖縄と連帯し区議会質問
天皇の戦争責任明確にせよ
杉並区議会議員 洞口朋子

天皇の沖縄訪問弾劾の闘いと連帯し、6月4日に杉並区議会第2回定例会で一般質問に立ちました。
冒頭に、「戦後80年を迎える今年は歴史の分岐点。沖縄戦や広島・長崎への原爆投下に行き着いた侵略戦争の歴史の歪曲(わいきょく)・修正を絶対に許さないと同時に、現在進行する米日帝国主義の中国侵略戦争を始まる前に止めることが求められています」と述べました。そして、6月2日に政府や自衛隊の元高官らが「核ミサイルを搭載した米軍の原子力潜水艦の寄港や、自衛隊の戦闘機を活用した米軍の核兵器の運用を検討すべき」との提言を発表した歴史的踏み込みを弾劾しました。
岸本聡子区長は、自民党・西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」への歴史修正的暴言を「決して許されない」と批判しつつも、天皇が今年4月の硫黄島に続いて沖縄と広島を訪問することについては「意義深い」と礼賛しました。絶対に許せません。
私は再質問で、「昭和天皇ヒロヒトの戦争責任の曖昧(あいまい)化は許されないし、『天皇制』そのものの戦争責任をはっきりさせなければならない」「『天皇の戦争責任』問題は現代日本に生きる政治家全員に厳しく問われるテーマであり、戦後認識そのものであり、国会であろうが地方議会であろうが、総理大臣であろうが区長であろうがまったく関係ありません。1990年に天皇の戦争責任に言及した長崎市の本島等市長が右翼に銃撃される事件がありましたが、岸本区長は昭和天皇の戦争責任の有無についてイエスかノーかはっきり答えるべきです。言葉を濁して答えないのであれば、それは昭和天皇を免罪することと同義です」と徹底弾劾しました。
昭和天皇は戦争準備、開始、継続に関するすべての基本国策を積極的に「裁可」し、「大元帥」の自覚を持って戦争遂行を指導した存在です。歴史家の井上清氏は「天皇裕仁は、単なる捺印(なついん)機でもなければロボットでもなく、まさに自分が日本国の唯一最高の統治権者であることの責任をはっきり自覚し、主体的に判断し、決意して、あの戦争を発動し指揮した」(『天皇の戦争責任』)と批判しています。
戦後においても、ヒロヒトは連合国軍総司令部(GHQ)の対日占領政策に全面協力して戦犯訴追を免れ、1947年9月の「天皇メッセージ」で「米国が25~50年ないしそれ以上の長期にわたり沖縄を占領し続けることを希望している」と伝え、沖縄を米軍に売り渡した張本人でもあります。戦争責任を生涯開き直ったヒロヒト、そのヒロヒトを引き継いだ現天皇が沖縄・広島の地を踏むことをどうして許せるでしょうか!
今回の天皇訪問に対して、沖縄・広島では、提灯(ちょうちん)を持って天皇を歓迎する「奉迎」行事まで企画されています。1937年の「南京陥落」時のように、アジア侵略・大虐殺を行った天皇の軍隊=日本軍を提灯で礼賛した歴史を彷彿(ほうふつ)とさせるものです。沖縄では神社庁が呼びかけ、プログラムでは「万歳三唱」が予定されています。広島では広島県知事と広島県商工会議所連合会会頭の呼びかけに加え、広島県・広島市・広島県教育委員会・広島市教育委員会が後援に名を連ね、子どもの動員までもが狙われています。新たな侵略戦争に向かって天皇のもとへの「国民統合」をつくりだすための極めて政治的な策動であり、断じて許すことはできません。
杉並区は今年の平和学習中学生派遣事業を長崎で行う予定ですが、そもそも、自衛官募集事務で若者たちの専用名簿を作成して自衛隊に差し出し、自衛隊や募集相談員である自民党議員とともに入隊予定者の激励会に出席し、日の丸と杉並区の旗を並べてガッツポーズで記念撮影をしている岸本区長に「平和の大切さ」うんぬんを語る資格はありません。
2023年度に杉並区が自衛隊に名簿を提供した人数は、17歳の男子1749人と女子1679人、14歳の男子1925人で合計5353人でした。陸上自衛隊の幹部候補生学校が学習資料で、沖縄戦を担当した旧日本軍第32軍を「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と記して賛美していることが発覚したように、自衛隊の「皇軍」化・侵略軍隊化が進む中、杉並区・岸本区長が行っていることは犯罪的です。
口では「平和の大切さ」などと言いながら、実際には「お上に逆らいません」と、国策としての戦争政策に率先協力・加担していく「リベラル」の欺瞞(ぎまん)を暴きつつ、青年・学生・女性を先頭とした反戦闘争の爆発に向かって全力で闘います!
