自民・西田再び暴言 史実の歪曲・居直りを断罪する
週刊『前進』04頁(3396号02面02)(2025/05/19)
自民・西田再び暴言
史実の歪曲・居直りを断罪する
自民党参院議員の西田昌司が5月9日に記者会見を開き、「ひめゆりの塔」をめぐり「歴史の書き換えだ」との暴言を吐いた3日の憲法シンポジウムでの発言の一部を訂正・削除すると述べた。しかし西田は「TPOをわきまえるべきだった」とし、自らの事実認識は正しいとの立場に固執した。これに先立つ7日の会見では発言撤回も謝罪も拒否し、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返(くりかえ)しませぬから」と刻まれた広島・平和記念公園の碑文についても「違和感を覚える」と発言した。
これは形ばかりの「謝罪」ですらなく居直りだ。そして、会見の場を使って暴言を繰り返したのだ。恥知らずにも、〝ひめゆり学徒隊が「大東亜戦争」で「国のために献身」し「玉砕」した〟と記した自らの文章の紹介まで行った。
さらに5月10日には、極右ファシスト・参政党代表の神谷宗幣が青森県での演説で西田を擁護し「本質的に間違っていない」「日本人の誇りを失っちゃいけない。命を懸けて戦ってくれた先人に汚名を着せることをやっちゃいけない」と述べたことも判明した。天皇を頂点とする支配階級の利益と延命のための戦争に人民が動員され、命を奪われることを賛美した上、沖縄戦で日本軍が住民を無残な死に追い込んだことを、もろ手を上げてたたえているのだ。これは、日本帝国主義・石破らの本音にほかならない。
西田はシンポで、「自分たちが納得できる歴史をつくらないといけない」とも述べた。日帝支配階級は歴史を、自らの都合で好き勝手に「つくる」ことができるものだと考えている。かつて自民党最高顧問の麻生太郎は、改憲のために「ナチスの手口に学べ」と発言した。日帝は「うそも百回言えば真実になる」とばかりに史実を否定するキャンペーンを張り、あたかも「さまざまな見解がある」かのような体裁をとって歴史的事実を掘り崩し、まさに「書き換え」ようとしているのだ。
日帝の中枢から相次いでこうした暴言が飛び出すのは、中国侵略戦争において沖縄を再び地獄の戦場にたたき込もうとしているからだ。沖縄戦の史実歪曲は、新たな戦争準備の一環にほかならない。日帝はこれまでも、アジア侵略と植民地支配下で行った強制連行・強制労働や性奴隷制を告発し続けるモニュメントや碑を一貫して敵視し、群馬では昨年、朝鮮人追悼碑を重機で破壊し更地化するという暴挙に出た。西田らの暴言を決して軽視してはならない。沖縄戦体験者をはじめとする沖縄の人々の深い怒りを共有し、共に怒りの声を上げよう。
沖縄戦体験者で、高校の歴史教科書の「集団自決」をめぐる記述から削除された「軍の強制」という表現の回復を求めて2007年に開催された県民大会の中心を担った玉寄哲永氏は、「西田氏の発言の背景には、教育勅語と天皇制を価値観とする社会を再びつくろうとする姿勢がありありと感じられる」と訴えている(5月11日付沖縄タイムス)。帝国主義戦争の美化を許さず、中国侵略戦争を絶対に阻止しよう。
