第3滑走路5月着工粉砕を 三里塚 反対同盟、菱田でデモ

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週刊『前進』04頁(3396号01面02)(2025/05/19)


第3滑走路5月着工粉砕を
 三里塚 反対同盟、菱田でデモ

(写真 反対同盟を先頭に、「成田空港機能強化粉砕、5月本格着工阻止」を掲げ、新滑走路予定地の菱田地区を周回するフィールドワーク&デモに決起【5月7日 千葉県芝山町】)



(写真 新滑走路予定地北端に位置する菱田地区で住民が農業用シートで抗議のメッセージ)

(写真 禁圧を打ち破り稲作を続ける田んぼ)


 三里塚芝山連合空港反対同盟の呼びかけで5月7日、三里塚現地闘争(フィールドワーク&デモ)が闘われた。成田空港会社(NAA)は4月4日、国土交通省に、B滑走路延伸とC滑走路(第3滑走路)新設の工事を「5月に本格着工する」「2028年度末に供用開始する」と報告した。この攻撃に怒りをたぎらせ、反対同盟、現地闘争本部、支援連絡会議、首都圏の労働者・学生など60人が参加した。
 成田市天神峰で集会を開催。反対同盟事務局の伊藤信晴さんが「今日のデモに警察はあれこれと難くせを付けてきた。NAAにしてみれば、新滑走路敷地内でデモをするなどありえないという感覚なのだろう。しかし住民の反撃が起きている。自然破壊と気候変動・温暖化に対する危機感から抗議のメッセージを掲げている人がいる。騒音訴訟に立ち上がっている芝山町民もいる。今日はそうした住民に応え、市東さんの農地決戦を訴える非常にタイムリーなものとしてある」と説明。市東孝雄さんが「19年続いた耕作権裁判で3月24日に判決が出された。許しがたい不当判決。控訴審でがんばるが、実力闘争で闘わないと勝てないところに三里塚は来ている。今の裁判所に三権分立はない。今日は皆さんに工事の現場を見てもらうが、菱田の昔の様相を知っている方はその変わり様にびっくりするだろう。これからの闘い方を考え、一緒に闘っていきたい」と発言した。
 連帯のあいさつを動労千葉執行委員の川崎昌浩さん、婦人民主クラブ全国協議会の鶴田ひさ子さん、全学連の松本彩乃さんが行い、中国侵略戦争阻止へ軍事空港粉砕の三里塚闘争を共に闘う決意を語った。
 集会後、車両で移動。工事用道路の建設が行われている横堀を経て、故・鈴木幸司さん、謙太郎さん親子も眠る菱田の中郷墓地横に到着。ここは新C滑走路予定地の北端に位置している。「空港拡張実力阻止/工事強行許すな」と大書された横断幕を掲げデモに出た。「第3滑走路建設粉砕!」「5月本格着工粉砕!」「成田空港の戦争拠点化を許さない!」の訴えをとどろかせた。
 各所には、資材置き場や機動隊バスの駐車場が鉄のフェンスに囲われて造られている。重機と作業員が動き、上空をジェット機が騒音と共に飛来している。かつて田んぼだった場所には雑草があふれている。反対同盟の分断のための「成田用水・圃場(ほじょう)整備」がもたらしたのは豊かな実りでなく農業と地域の破壊であり、この農村一帯が新滑走路の下敷きにされ埋め立てられようとしている。その冷酷な現実を突き出す光景だ。
 デモを続けると、機能強化反対の横断幕が目に飛び込んできた。農業用シートに「温暖化で米も実らない未来」「もっと死を、もっと環境破壊、CO2を」と書き表されている。そのすぐ先に水が張られ田植えが行われた田んぼが現れた。一住民が空港による禁圧を打ち破って稲作を続けているのだ。そのメッセージと一角だけではあるが、「生きた」田んぼがデモ隊の心を大いに潤し励ました。
 1980年代の成田用水阻止決戦を闘った年配者も、初めて現地を訪れた青年・学生も、それぞれの感慨と決意を胸に菱田を一周するデモを貫徹した。
 NAAは用地確保の現状を、「必要な面積は1099㌶、うち743㌶が民有地で、550㌶(74%)を契約済み」だと説明している。「26%」の取得のめどが立っていないということだ。住民と連帯し、第3滑走路建設を粉砕し、機能強化を破産に追い込もう。

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