対中軍事同盟構築図る日帝 米比大演習に本格的参加

週刊『前進』04頁(3395号03面02)(2025/05/12)


対中軍事同盟構築図る日帝
 米比大演習に本格的参加


 日本帝国主義・自衛隊は、3月の日米防衛相会談で東中国海や南中国海、朝鮮半島を一つの「戦域」と捉える「ワンシアター構想」をアメリカ帝国主義に自ら提案した。敗戦帝国主義としての制約を突破して延命を図ろうとする日帝は、積極的に中国侵略戦争―世界戦争へ向けて帝国主義軍事同盟の構築に走っている。

米軍と共に比をミサイル基地化

 4月21日から5月9日にかけて最大級の米・フィリピン共同演習「バリカタン25」が米軍約1万人、比軍約5千人を中心として実施された。昨年7月、日帝とフィリピンが自衛隊と比軍が相互に往来しやすくなる「円滑化協定(RAA)」を結んだことで、今回は初めて海上自衛隊の護衛艦が参加するなど自衛隊の本格参加となった。RAAはイギリス、オーストラリアに続く3カ国目の締結で、「準同盟」関係と言える協定だ。自衛隊のバリカタンへの本格参加は、2012年から続いてきたオブザーバー参加の延長にとどまらない、質的飛躍を伴った参加としてある。
 バリカタン25の最大の注目点は、比の最北部・バタン諸島での世界初の無人地対艦ミサイルシステム(NMESIS=ネメシス)を用いた訓練である。ネメシスは米海兵隊の対中国作戦「遠征前進基地作戦(EABO)」のために開発された兵器で、ウクライナ戦争で注目を浴びたHIMARS(ハイマース)よりさらに高い機動性を持ち、大型の輸送ヘリでも運ぶことができる。中国軍のミサイルの射程圏内にある島々を円滑に移動しながら(すなわち住民と町や農地を巻き込みながら)、中国軍の艦艇にミサイルをたたき込むための兵器なのである。中国侵略戦争の「要」となる日本―南西諸島(琉球弧)での日米共同の軍事演習にすぐにも持ち込まれようとすることは間違いない。
 昨年のバリカタン24以来、米軍は最大約2千㌔メートルの射程を持つ中距離ミサイル発射システム「タイフォン」を比のルソン島に配備したままでもある。比は長射程ミサイルの攻撃拠点とされ、最北部のバタン諸島は南西諸島に準ずるもう一つのEABOの戦場とされようとしているのである。
 日帝・自衛隊は米比海兵隊の共同演習「カマンダグ」にも、開始された17年から陸上自衛隊の幹部を派遣し、一貫して参加し続けてきた。翌18年からは発足したばかりの陸自水陸機動団も派遣し、比海兵隊に対して米海兵隊とともに「教育する側」として参加してきた。「ワンシアター構想」をめぐっても、2月の日比防衛相会談ですでに比側に構想を伝えていたことが明らかになっている。日帝は米帝にすら先んじて、帝国主義軍事同盟の積極的構築者として登場しているのだ。

戦略爆撃機配備55年ぶり三沢に

 4月18日、戦略爆撃機B1B「ランサー」4機が米軍三沢基地(青森県)にローテーションで常駐することになり、事実上の配備となった。長距離航行能力を持ち、大量の爆弾やミサイルを搭載できる大型爆撃機であり、直接に敵軍を攻撃するのではなく他国領土内に侵入して産業設備、民間人の居住地、重要インフラなどを攻撃する「戦略爆撃」を担う。戦略爆撃機は米本土などから日本に一時的に飛来することはあっても、その正式な配備はベトナム戦争時、1968~70年の沖縄へのB52配備以来のことで、55年ぶりだ。
 24日にはB1Bや最新鋭の戦闘機「F35」に加え航空自衛隊の主力機「F15」などが、「沖縄県南東の空域」で空自と米空軍の共同訓練を行っている。中国侵略戦争へ投入するための配備であることを隠そうともしていない。
 B1Bは戦略核兵器削減条約(START)に基づいて核兵器の搭載が不可能となっているが、それは戦略爆撃機としての性能を減じるものではない。「使いやすい」通常兵器を大量に搭載する強力な攻撃兵器であることに変わりはなく、その配備は中国侵略戦争へ向けた一線を画するエスカレーションである。絶対に許すことはできない。
 日帝は長射程ミサイルを米軍に依存せず独自に運用する体制も急ピッチで進め、情報収集衛星を現在の4機体制から10機体制に拡充する計画だ。
 侵略帝国主義としての本性をむきだしにする日帝・石破を打倒しよう。
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