反トランプデモ全米で拡大 既成政党、労組幹部の制動打破し

週刊『前進』04頁(3393号02面01)(2025/04/28)


反トランプデモ全米で拡大
 既成政党、労組幹部の制動打破し

(写真 パレスチナ連帯を闘う学生らへの弾圧に抗議し、学生・院生組合が中心となって行われたデモ【4月19日 ボルティモア】)

 アメリカ革命(独立戦争)の口火を切ったレキシントン・コンコードの戦いから250年となった4月19日、全米各地で行われた反トランプ集会・デモでは、「王を倒せ! 今こそ革命を!」の叫びが発せられた。トランプ政権の「国王の勅令政治」的な大統領令乱発と省庁の破壊・大量解雇、社会保障と教育の破壊に対する労働者人民の怒りが爆発したのだ。
 トランプは、中国侵略戦争・世界戦争への突進を一切の軸にして、これまでアメリカ支配体制の中にかろうじて残存していた「民主主義」「自由」「法治国家」の建前をかなぐり捨て、すべての法を超越した独裁者として登場している。戦争のための経済戦争=対中国関税戦争に突入し、民主党政権下での物価高騰にさらに拍車をかけ、高齢者年金の破壊や省庁破壊・大量解雇と生活のあらゆる分野に攻撃をかけている。こうした中で、従来から闘ってきた層をはるかに超える人々が次々と決起を開始している。
 これに恐怖し、エネルギーを体制内的な二大政党制のもとに回収しようという策動が、前回4月5日のデモを企画した「50501運動」(1日に50州で50のデモ)だった。だが、トランプ政権への怒りは予想をはるかに超え、全米約1600カ所での集会に300万人以上が結集して議会主義的な枠を揺るがした。

弾圧激化と対決しパレスチナと連帯

 そこで、次の4月19日は多くの所で「会場とデモ許可の確保が間に合わない」との口実で、抗議闘争・デモから「ピクニック」に変更するとの指示が出され、動員数にもブレーキがかけられた。これが逆に指導部への憤激を巻き起こし、通常のデモよりも戦闘的になった。この日、5日のデモでは抑圧されていたパレスチナ旗や反戦の横断幕・プラカードが多く掲げられ、人数も全米で約100万人の大結集になった。
 昨年来、バイデン政権下でコロンビア、ハーバードなど有名大学での学生運動参加者への機動隊の暴行、強制送還が激化してきたが、トランプ政権は、形式的な手続きさえ飛ばして弾圧をエスカレートさせてきた。容疑も令状も一切なしに拉致・監禁を強行している。そしてハーバード大には助成金の打ち切りで恫喝してきた。
 これに対して4月19日、ニューヨーク、ボルティモア、ボストン、シカゴ、サンフランシスコなどでは、学生・院生組合が軸となってパレスチナ旗を掲げてデモし、連帯闘争を闘う学生・教職員に対する弾圧・強制送還攻撃との闘いを呼びかけた。「反戦」「ガザ」が一言もない体制内デモが、大衆的規模で突破されたのだ。
 国際港湾倉庫労組第10支部(ILWUローカル10)やオークランド教組(OEU)など戦闘的・階級的労働運動の拠点であるカリフォルニア州オークランドなど、多くの会場では民主党系の組織などがまったく姿をみせず、労働者階級の独立した闘いとなった。
 アメリカ最大の海軍基地の街でありメキシコ国境近くに位置するサンディエゴでは、他の地域の集会場にも増して反戦退役軍人が参加し、また米国とメキシコ双方の労働者の、トランプ関税との闘いが語られた。
 自動車産業の拠点ミシガン州では、トランプ関税=サプライチェーンの分断による操業低下・解雇攻撃との闘いが大きなテーマとなった。全米自動車労組(UAW)執行部のトランプ関税賛美・翼賛に対する現場労働者の怒りは大きい。
 アメリカ階級闘争は、二大政党制と既成労組官僚の支配を急速に突破しつつある。闘うアメリカ労働者とともに、米日の中国侵略戦争を絶対に止めよう!
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