サイバー・デジタル法許すな 先制攻撃と通信監視の戦争法

週刊『前進』04頁(3391号03面02)(2025/04/14)


サイバー・デジタル法許すな
 先制攻撃と通信監視の戦争法


 能動的サイバー防御法案が衆院を通過した。他国のサーバーへの先制攻撃を認め、全通信情報を監視する極悪法だ。デジタル化を口実に刑事訴訟法を改悪し、ネット事業者に通信情報の提出を強制する刑事デジタル法案の採択も迫る。ともに中国侵略戦争のための戦争法だ。戦争国会粉砕の大反戦闘争に立とう。

他国サーバーへの侵入・攻撃認める

 能動的サイバー防御法=サイバー戦争法と刑事デジタル法の制定は実質的な戦時体制構築への重大な踏み出しだ。
 サイバー戦争法は、①国家機関が、国内外で行き交うあらゆる通信情報を常時監視下に置いて帝国主義の強権支配の強化、反戦・反政府運動弾圧に使うとともに、②他国のサーバー内に「被害を受ける以前の段階」で侵入し攻撃することを認める。それは九州・南西諸島への中国本土を標的とする長射程ミサイル配備とともに、中国侵略戦争のための先制攻撃体制の構築そのものである。重要な軍事情報の入手・破壊やインフラ攻撃が想定される。
 この日本帝国主義・石破政権のサイバー戦争法制定の動きに対し、当然にも激しい危機感と怒りが巻き起こっている。しかし石破は、「国益のためにサイバー防御は必要」とする立憲民主党などを取り込み、「通信の秘密の尊重」「第三者機関による国会報告」などという空言を法案に加えて、賛成多数で衆院を通過させた。まさに許しがたい戦争翼賛国会だ。

膨大なネット記録提供命令を条文化

 刑事デジタル法案の国会審議も、まともな反対がないまま進められている。刑事デジタル法はサイバー戦争法と一体で、相互に補完しあう関係にある。
 重大なのは、捜査・捜索対象とされた個人のパソコン、スマートフォン内の電子データに加え、インターネット事業者(プロバイダー)などに保有するデータを提出させる、罰則付きの「電磁的記録提供命令」を創設することだ。
 サーバーにはパソコン上で削除しても過去の履歴を含む通信内容が蓄積し続ける。その膨大な量の個人・組織情報を国家権力が根こそぎ入手できる仕組みが盛り込まれたのである。
 現行法では事業者への罰則規定がなかったが、今後は情報提供を拒んだり、情報内容を漏らしたりすれば罰せられる。他方、捜査当局による「容疑」と無関係なデータの収集や目的外使用の禁止、データの保管期間や不要データ消去の規定はない。あらゆる個人・組織情報が国家機関に無期限・無制約で蓄積され続けることになるのだ。
 さらに現行の刑事手続きは紙や対面でのやりとりを原則としているが、今後は捜査書類や令状、訴訟記録をオンラインでやりとりできるようにする。警察官らが裁判所の発布した電子令状をタブレット端末で提示するだけで逮捕・捜索することも可能になる。電子化で当局によるデータ改ざんが容易になり、権力犯罪・でっち上げの温床となる。広島暴処法弾圧裁判でも使われたが、証人が出廷せず映像・音声のみで尋問を行うビデオリンク方式を拡大することも盛り込まれた。被告側の反対尋問権は著しく阻害されることになる。

労働者反乱恐れる日帝打倒の闘いを

 こうしたむき出しのサイバー戦争、監視国家化と戦時司法制度への大転換を狙うサイバー法案・刑事デジタル法案に対し、弁護士会・法曹関係者や新聞各社は憲法との関係で反対意見を表明している。
 しかし攻撃の根底にあるのは、労働者の反乱におびえる最末期帝国主義・日帝の中国侵略戦争への突進であり、強権支配体制への絶望的転換の衝動だ。「連帯し、侵略を内乱へ」、日帝打倒の巨大な反戦闘争を爆発させよう。「祖国防衛」を呼号して戦争に突進する総翼賛国会を粉砕しよう。
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サイバー戦争法と刑事デジタル法
サイバー戦争法  他国攻撃と通信監視
〇「被害を受ける以前の段階」で、他国への先制的なサイバー攻撃を可能にする
〇国家機関がメール・通信情報を恒常的に監視・収集・分析できるようにする
刑事デジタル法 ネット情報の提出強制
〇インターネット事業者が持つ電子データの「提供命令」を罰則付きで創設
〇サーバー上の全個人情報・組織情報を 対象にする一方、捜査当局による容疑 と無関係なデータの収集禁止規定、保 管期間や不要データ消去の規定なし
〇公判時のビデオリンク方式を拡大
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