戦争への自衛隊再編許すな 統合作戦司令部で一元指揮 中国侵略戦争での敵地攻撃想定
戦争への自衛隊再編許すな
統合作戦司令部で一元指揮
中国侵略戦争での敵地攻撃想定
3月24日、市谷にある防衛省に、自衛隊「統合作戦司令部」が240人体制で発足する。有事に限らず平時から、陸海空の3自衛隊に加えてサイバー部隊や宇宙作戦部隊も一元的に指揮する部署である。それは2024年4月の日米首脳会談で確認されたとおり、米軍と自衛隊が共同で「作戦」を行うための司令部だ。中国侵略戦争のための機関そのものであり、絶対に許してはならない。
米軍と共同で作戦を遂行
自衛隊は1954年に発足して以来、防衛省の内局と陸海空自衛隊の各幕僚監部が、それぞれの系統で人事・兵器整備などの軍事行政と作戦・訓練といった部隊運用に大きな影響力を持ってきた。日米同盟下、アメリカ帝国主義の圧倒的な覇権のもとで自衛隊自体が大規模な戦闘を行う必要がなかったため、部隊の集中運用を必要としてこなかったのである。
しかし、アフガニスタン・イラク侵略戦争という大戦争への突入と、自衛隊の派兵をはじめとした戦争国家への転換の中で日本帝国主義は2006年に統合幕僚監部を創設し、陸海空自の統合運用が基本となる。統合幕僚長が「首相や防衛大臣の補佐」と「自衛隊部隊の運用」を一元的に担うことになったのである。
だが、10年代以来の米日帝の中国侵略戦争体制の構築の中で、統合幕僚長が「一人二役」を担うことでは実際の作戦遂行はおよそ不可能であるという現実が突き出された。米軍との統合作戦の調整と、自衛隊全部隊の統合運用を担う司令部が死活的に求められたのである。そうして発足したのが「統合作戦司令部」だ。初めから米軍と共に中国侵略戦争を遂行するために準備された機関なのである。
統合作戦司令部は「反撃能力」と称する他国への攻撃手段の運用も担当する。敵(=中国)を攻撃するためには、その防空能力を突破するために陸海空から複数の手段を動員した集中的な攻撃をかける必要があり、統合作戦司令部なくして「反撃能力」は実際に行使できないからである。
さらに統合作戦司令部の発足とともに、「自衛隊海上輸送群」が24年度中に新編される。中国侵略戦争では南西諸島が戦場となるため、海路での物資・兵員輸送は自衛隊にとって死活の課題である。しかし海自は輸送艦を3隻、輸送艇を1隻しか保有しておらず、しかも自衛隊の中でも特に深刻な人手不足に陥っている。ゆえに陸自が中心となって構成される輸送部隊が自衛隊海上輸送群であり、中型級船舶2隻、小型級船舶4隻、機動舟艇4隻を保有する計画になっている。
これは「陸海空自の共同部隊」と説明されてきたが、要は統合作戦司令部直轄の部隊として、その発足と一体で戦時における輸送能力の確保を図るために新編が計画されてきたのである。
また、統合作戦司令部の創設を受け、米側はそのカウンターパート(対応する相手)として在日米軍司令部を「統合軍司令部」に再構成する方針だ。在日米軍の指揮権は現在、米インド太平洋軍司令部にある。在日米軍司令部はこれまで軍事行政や自衛隊との調整を担当してきたが、ここに在日米軍の指揮権を付与するというのだ。
この意味は重大だ。朝鮮戦争の際、「前線司令部」として構成された在韓米軍司令部は部隊への指揮権を持つ。対して在日米軍司令部は朝鮮戦争やベトナム戦争、イラク戦争などで補給任務が中心だったため、部隊への指揮権は与えられてこなかった。つまり、米軍は日本本土が戦場となることを明確に意識し、在日米軍を「前線司令部」にしようとしているのだ。
陸海空自衛隊の転換進む
日帝は25年3月をめどに、中国侵略戦争へ向けたさらなる自衛隊の改編を狙っている。
陸自の補給統制本部は「補給本部」に改編される。これまでは各方面隊所属の補給処を各方面総監が指揮していたが、これを補給本部の直轄とするものだ。「海上輸送群」の新編や各師団の機動展開能力の確保と並び、兵力と物資の集中運用体制を整えようとしているのである。
空自では宇宙作戦群を「宇宙作戦団」へ増強。「反撃能力」のために偵察衛星を用いた情報収集・分析の強化を狙っている。
海自は護衛艦隊を「水上艦隊」(仮称)に再編し、「情報作戦集団」(仮称)を新編するとしている。水上艦隊は三つの「水上戦群」を中心に、「水陸両用戦・機雷戦群」と「哨戒防備群」が隷下に置かれる。水陸両用戦・機雷戦群は在日米軍第7艦隊の第7遠征打撃群をモデルにしていると言われる。遠征打撃群とは戦闘艦と強襲揚陸部隊をセットにした部隊編成で、その名のとおり侵略のための部隊にほかならないのである。
以上のことからも明らかなように、統合作戦司令部の創設とは、単に自衛隊を一元的に指揮し円滑な部隊運用を可能とするためのものではない。米日帝が中国侵略戦争―南西諸島を最前線として日本すらも焦土になる大戦争―を構えたからこその自衛隊の転換なのである。
反戦闘争を爆発させ、中国侵略戦争を阻止しよう。
-----------------------------------------------------------------
横須賀
海自司令部に抗議

改憲・戦争阻止!大行進神奈川の呼びかけで3月15日、横須賀市船越町にある海上自衛隊の自衛艦隊司令部に対する抗議行動が行われた。集まった20人が交代でマイクを握り、中国侵略戦争に突進する海自を弾劾。2025年の横須賀闘争の第1波闘争としてやり抜いた
