エネ基本計画決定許すな 「エネルギー安保」前面に原子力の最大限活用狙う

週刊『前進』04頁(3385号03面02)(2025/03/03)


エネ基本計画決定許すな
 「エネルギー安保」前面に原子力の最大限活用狙う


 石破政権は2月18日、戦時下の「エネルギー安全保障」を叫んで「原子力の最大限活用」へ転換する第7次エネルギー基本計画を閣議決定した。その計画全体が自国帝国主義の「防衛」と戦争の論理を正面から振りかざすものとなった。日本帝国主義・石破による中国侵略戦争と一体で、なりふり構わず原発推進・核武装へ突進する大攻撃だ。怒りは地に満ちている。3・11反原発福島行動に大結集しよう。

中国侵略戦争構え歴史的転換を強行

 日帝は2011年3・11福島第一原発事故で、さらにその後も被曝を強制し、命と古里を奪い、放射能汚染水を放出し続けてきた。そして今や石破は、3・11以降エネルギー基本計画に盛り込まれてきた「原発依存度の低減」という文言すら投げ捨て、中国侵略戦争と核・エネルギーをめぐる帝国主義間争闘戦のために原子力=核の最大限活用を打ち出すに至った。
 3年ごとに見直される日帝の核・エネルギー政策の基本計画は、3・11後の第4次から前回21年の第6次までは「原発に対する国民の不安・疑念の存在は無視できぬ」状況(三菱総合研究所)ゆえに、原発の再稼働も制限を余儀なくされてきた。それを石破は「エネルギーをめぐる状況が一変した」として、ウクライナ・中東の戦争情勢、原油供給の不安定化と価格の高騰を強調。「エネルギー安定供給が損なわれることは決してあってはならない」と叫んで、今次計画での歴史的転換に踏み出したのだ。それは中国侵略戦争に向かって、核兵器製造のための大量のプルトニウムの備蓄と核武装能力の保持を狙うものでもある。
 今次計画についてマスコミは、「原発回帰」「福島の教訓を反故(ほご)にする180度の大転換」と報じた。しかしその転換の根拠とされたのは「脱炭素の国際要請や人工知能(AI)の普及に伴う電力需要増」に限られ、石破が正面から打ち出した戦争情勢下のエネルギー安全保障についての言及は皆無に近い。
 福島原発事故を過去のものとして葬り去り、原発フル稼働と核武装に突進する日帝の姿は、隠しようもない現実だ。核政策の大転換への怒りを中国侵略戦争阻止・日帝打倒の闘いとして爆発させよう。

原子力発電4倍化掲げ再稼働を加速

 資源エネルギー庁は今次計画と一体の「エネルギー基本計画の概要」(概要)で総発電量に占める原子力発電の割合を2013年度の0・9%、22年度の5・6%から40年度には2割にする「見通し」を示した。22年度と比べ4倍近くに引き上げるというのだ。
 そのために、既設炉の再稼働や建設中の炉の稼働、建て替え、運転上限の60年を超える原発の稼働継続、次世代炉の開発・設置が列挙された。それは新たな重大原発事故の危機を一層激化させるものとなる。断じて許してはならない。

フクシマの圧殺を許さず3・11へ!

 今次計画は、「再生可能エネルギーか原子力かの二項対立的議論ではなく、脱炭素電源を最大限活用すべき」と述べ、原発反対の議論自体を封じることを求めた。さらに「概要」では、「エネルギー政策について国民一人一人が当事者意識を持つこと」を強調した。〝当事者=自分の問題として考えろ〟という脅しであり、「教育の現場でエネルギーに関する基礎的な知識を学習する機会を設けることも重要」と結論づけた。
 しかし、こんな攻撃でフクシマの怒りを圧殺することなど絶対にできない。昨年12月に公表された今次計画案に対するパブリックコメントは、通常と桁違いの4万1421件も寄せられた。そのほとんどは「原子力の最大限活用」への反対意見だ。それを踏みにじって今次計画の閣議決定を強行した石破政権への怒りはいよいよ燃え上がっている。中国侵略戦争阻止・石破打倒の闘いとして、核と原発への怒りを解き放つ3・11反原発福島行動に総決起しよう。
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新エネルギー基本計画のポイント
戦争情勢下の「エネルギー安全保障」
〇ウクライナ・中東情勢に言及し「経済安全保障上の要請」を何度も強調
〇「再生可能エネか原子力かの二項対立的議論ではなく、共に最大限活用を」
「原子力の最大限活用」へ公然と転換
〇再稼働の加速、60年超の運転継続、建て替え、次世代炉の新設/核燃料サイクル推進/放射性廃棄物最終処分の抜本強化
➡発電量全体に占める原子力の割合を2022年度の5.6%から40年度には2割に
「国民の理解促進し当事者意識持たせる」
〇パブリックコメントに示された沸騰する反対の声の圧殺狙い、学校教育にも言及

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